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★2024 年8月31日(土) 戦前の車 窓風景を追体験 「旅窓に学 ぶ」 ガイドブックが好き (12)
 2021 年に、戦前の国内旅行ガイドの決定版として「日本案内記」を紹介しました。これは鉄道省編纂で、 いわば政府公式ガイドでした。
 これに対し、個人の立場で全国の鉄道沿線を紹介しているのが1936年(昭和11年)から38年にか けてダイヤモンド社が発行した「旅窓に学ぶ」です。左の通り、「中日本版」のみカバーがついていまし た。また最初に発行された「東日本版」だけ、少し判型が小さいです。
 戦前なので、「西日本版」には台湾、朝鮮半島、旧満州の鉄道路線も詳細に紹介されており、大変貴重で す。
 最初の2冊では著者の名前はありませんでしたが、最後の「西日本版」では、3冊とも長野喜一郎氏が独 力で執筆したと、同社による序文で明らかにされました。
 各巻とも700ページ前後と分厚いですが、文庫本サイズで携帯可能です。
 単なる車窓風景の紹介だけでな く、沿線の名所・旧跡や、産業経済についても詳しく説明されていますが、面白いのはやはり当時の状況がわかる車窓風景 です。上の写真の右側は、東海道本線の神戸到着時の様子です。1931年に高架化、37年に複々線化が 完成したばかりの路線について、「往年の三ノ宮や神戸駅の景観は全く一変した」と記されています。
 神 戸港 の紹介を読むと、「入港ト ン数また香港、上海に優り東洋一の大貿易港になった」とあります。左の 口絵を見ても、現在の第1突堤から第3突堤が貨物船で埋まっており、昔日の繁栄がしのばれます。
 また「中日本版」発行時は木次線が備後落合まで達しておらず、芸備線の東城から備後庄原間は1934 年から36年に開通したばかりでした。また三次と広島の間が私鉄の「芸備鉄道」だったために「三神線」 と呼ばれていた芸備線について、長野氏は、山間へき地であるものの木次線、福塩線、三江線とこの線に接 続する新線を建設中であり、「将来、中国中部の地方開発と発展は一にこの線を中心としてなるので使命は 大きい」と述べています。
 「西日本版」では木次線が全通しており、上の写真の左側のように、「出雲大社と安芸宮島をめぐる絶好 の中国中央横断の新観光コースが生まれ出た」と期待しています。
 実際に 山陽新幹線が開通して伯備線が整備されるまでは、広島と米子を結ぶ急行「ちどり」が何本も走っていたの ですが、存続問題が生まれている現在の状況を知れば、長野氏はどう思うでしょうか。
 また、あちこちで地名についてのこだわりが見られます。たとえば北陸本線の「動橋」と「石動」につい て、「前者はいぶりばし(注・現在はいぶりはし)であり、後者はいするぎである。さすがに動という字だ けあって、いろいろと動いて訓(よ)ませるものと思う」とつぶやいています。
 また三次の隣の「八次」では、「三次と同訓なら『やよし』のはずであり、地名辞書も疑義をはさんでい る」と述べています。辻本も同じことを考えていたので、思わず笑ってしまい ました。
 「西日本版」の序文によれば、長野氏は「十七八歳の頃より鉄道に趣味を感じ、新線開通ときけば生活上 のいかなる支障を排しても必ずころを試乗し(中略)二十余年間、倦むところを知らない」とあります。 「乗り鉄」の大先輩だったのですね。
 同様の本はほかにもあります。右は1918年(大正7年)発行の「汽車の窓から(西南部)」です。こ ちらは鐵道院運輸局で「鉄道旅行案内」を編纂していた谷口梨花氏の著作なので、同書の姉妹編と言えま す。
 関連記事は以下にあります。
ガイドブックが好き (11)  優れものの金沢市観光パンフレット (2024年3月20日)
ガイドブックが好き (10)  金沢ガイドブックの変遷 (2021年9月16日)
ガイドブックが好き (9)  戦前の旅行案内「日本案内記」 (2021年6月25日)
ガイドブックが好き(8) 「ミシュラン レッド・ガイド」 (2020 年11月20日)
ガイドブックが好き(7) 「地球の歩き方」事業譲渡 (2020年11 月20日)
ガイドブックが好き(6) 大正7年版「鉄道旅行案内」 (2019年6 月29日)
ガイドブックが好き(5) 1979年の「ミシュラン・レッドガイド」(2018 年6月27日)
ガイドブックが好き(4)「ミシュラン グリーン・ガイド」(2017年 12月2日)
ミシュランガイド100th Edition (「スイス鉄道の旅」 2009年3月28日&3月10日)
ガイドブックが好き(3) 鉄道旅行案内 (2017年9月30日)
ガイドブックが好き(2)「Eyewitness Travel Guides」(2016 年6月29日)
ガイドブックが好き(1)「望遠郷」(2013年8月11日)
切り絵で魅せる金沢の四季 磯松 剛さんの絵はがき (2023年9月18日)
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桜花 爛漫の金沢(2017年4月12日)
★2024 年8月23日(金) 関西にあ る「2/3トンネル駅」 武田 尾駅
 今春、新 潟県のトンネル駅・筒石を訪ねましたが、関西にも「ほぼトンネル駅」と呼 べる駅があります。それは福知山線(JR宝塚 線)の武田尾駅です。上の写真は三田側のトンネル内から見たところで、停まっているのは新三田行きの7 両編成の電車です。
 左は尼崎側で、こちらは武庫川の橋の上にホームが延びています。ホームには8両分の乗車位置番号が表 示されていますが、停まるのは7両、6両、4両で、いずれも左の位置を先頭にして停まります。写真を拡 大すると、2両目の中ほどからトンネル内にあることがわかります。このトンネルは第1武田尾トンネル (566m)です。
 福知山線の有馬口駅(現・生瀬駅)か ら三田駅間が1899年1月25日に開業した時は、武庫川の渓谷沿いに線路が敷かれていました。しかし 複線電 化するにあたってトンネルが多い新線となり、1986年8月1日に新線が開通。武田尾駅は現在地に移転 しました。
 左の写真で、武庫川の左手に見える道路が旧線跡で、前方数百mのところに旧武田尾駅がありました。
 その先の旧線跡は生瀬駅の近くまで、「自己責任を原則としたハイキングコース」となっています。生瀬 駅にあった「廃 線 敷マップ」によると、武田尾駅からコース入り口までは徒歩約8分です。
 右は尼崎 方面行き(上り)ホームの列車の先頭停止位置付近から尼崎方面を見たところです。武庫川を渡るとすぐに 名塩トンネル(2970m)に入ります。
 このトンネルは次の西宮名塩駅まで続いており、西宮名塩駅もホー ムのごく一部がトンネル内にありま す
 複線電化の新線によって新駅が橋の上になったのは、山陰線の保津峡駅と状況が似ています。ただし保津峡駅 はホーム全体が橋の上にある点が違っていま す。

 右はトンネルの入り口付近から三田方 面を見たところです。このあたりは明るいので、トンネル内という感じがしません。
 筒石駅との大きな違いは、ホームの広さですね。トンネル内を感じさせない十分な広さがあります。前方 に はガラス張りの待合室があり、3人掛けのベンチも並んでいます。

 列車の案内表示を見ると、停車位置は2番から後方であることがわかります。しかし一番最初の写真を見 ると、新三田行きの7両編成は停車位置が尼崎方面行きとは違い、トンネル最深部まで来ていないように見 えます。下り方面は2番から8番ではなく、1番から7番に停まっているのでしょうか。
 トンネル と橋の境界が1番から8番の乗車案内の3番にあることから、武田尾駅を「2/3トンネル駅」と呼ぶこと にしました。上り線列車に限れば「3/4トンネル駅」でもいいかもしれません。
 上の写真の列車案内表示付近から尼崎方向を見たのが左の写真です。出口に向かう階段が見えます。
 階段を降りるとすぐに改札口です。下の写真は改札を出て振り返ったところです。簡易型の自動改札機、 券売機があります。トイレと飲み物の自動販売機。それになぜかベンチやテーブルもあります。
 改札を出 ると、正面に武 田 尾温泉の案内看板があり、 右は階段、左はスロープです。道路沿いには有料の駐輪場が設けられており、階段を降りた先には管理事務 所もあります。

 左手のスロープを降りると阪急バスのバス停があります。思ったよりも路線が延びており、ハイキングや温泉利用者だけの駅で はないようです。
 ここから見ると、武庫川を越える鉄橋の半分までがホームになっていることがよくわかります。