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★☆  日本唯一の「スカイレール」 廃止直前に乗りました ☆★
 
(2024年4月23日)

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<丘を下り、みどり口駅に近づくスカイレールのゴンドラ
(青い枠がついている画像は、クリックすると拡大画像が開きます)

1)丘の上のニュータウンへ

 広島市安芸区にあるJR山陽本線 の瀬野駅と、丘の上のニュータウンを結んでいたユニークな交通機関「スカイレール」が、2024年 4月30日正午発の便で営業終了となり、5月1日に廃止されました
 瀬野駅と東隣の八本松駅の間は、山陽本線で最も急勾配の区間で、鉄道ファンには「瀬野八(セノハ チ)」として知られています。
 そのこともあって、スカイレールのことは以前から知っていたのですが、これまで訪問する機会があ りませんでした。ようやく廃止の1週間前に乗車することができました。
 残念ながら訪問時は小雨模様でした。瀬野駅に近づくと、前方に丘の上へ延びていくモノレールのよ うな軌道が見えてきました。
 スカ イレールの路線は、瀬野駅に直結する「みどり口駅」から、丘の上のひろがる住宅地、「スカイレール タウンみどり坂」にある「みどり中央駅」へ延びています。全長は約1.3kmで、途中に「みどり中 街駅」があります。途中の停車を含めて、所要時間は約5分です。
 住宅地の名前でわかるように、スカイレールはこの住宅地と一体のものとして建設され、1998年 8月28日に開業しました。運行会社は「スカイレールサービス株式会社」で、路線の正式名称は「広 島短距離交通瀬野線」というようです。
 上が「みどり口駅」の全景です。 正面左手の瀬野駅は橋上駅で、改札を出て通路を北側へ進むと、同レベルでみどり口駅の改札につな がっています。
 左の写真の奥に改札があります。「スカイレールサービス株式会社」の表札がかかっているのは、駅 の建物に同社の本社があるためです。

 同社は住宅地を開発した積水ハウスと青木建設(現・青木あすなろ建設)、それにスカイレールを開 発した神戸製鋼所と三菱重工業が主体となって設立されました。
 同社の公式ホームページは、残念ながら見つけられませんでした。
 左は改札の様子です。自動改札機 が2台設けられています。正面奥に見えるのは出発ホームへ上がる階段です。写真には見切れています が、右手に到着ホームから降りてくる階段があり、そちらには改札ゲートはありません。
 正面右に2台並んでいるのが乗車券の自動券売機です。料金は全線均一の170円で、小人は90円 です。
 改札口の周辺には色々なお知らせや注意書きが掲示してあり、運行終了と定期券等の払い戻し に関するお知らせも ありました。
 左は自動改札機のアップです。写 真をさらに拡大してもらうとわかりますが、ICカードが使えるのに、ICOCAなどの交通系IC カードは使えません。使えるのは専用のICカードだけです。「観光客のみなさまへ」という注意書き がありました。非接触型ICカードの導入は、ここが日本で最初だということなのに、その後の ICOCA等の普及に追い越されてしまったようです。
 上に書いた自動券売機もICカードが使えるようでしたが、タッチ式ではなかったため、こちらも専 用のICカード専用かもしれないと思い、現金で購入しました。乗車券を現金で購入したのは久しぶり でした。
 また切符は改札機に投入するのではなく、切符に印字されたQRコードを 読み取らせる方式です。読 み取らせてからバーが開くまで少しタイムラグがあるため、「とびらが開くまでお待ちください」と掲 示されていました。
2)モノレールとロープウェイのいいとこ取り
 改札を通った正面の壁に、ス カイレールの仕組みについての解説が掲示されていました。よくわかるので、拡大して読んでみて ください。
 左の図のとおり、ゴンドラを動かすのロープウェイのような回転しているロープです。駅間はゴ ンドラの台車がロープをつかみ、駅部分ではロープを放して、リニアモーターカーのような仕組み で移動します。
 右の図の台車部分で、重要なのは「握策機」と「リアクションプレート」です。
  「握策機」は文字通り、ロープをつかんだり放したりする部分です。右の写真は、みどり中街駅に 到着するみどり口行きのゴンドラです。写真を拡大すると、ゴンドラから上に延びている「?」型 の腕の先端部分が、手のようにロープをつかんでいるのがわかります。
 そして駅の前後にある「握策ガイド」と「放策ガイド」を通ることで、その動作が行われる仕組 みです。

 上の写真はみどり中街駅を出たゴンドラが、握策ガイドにさしかかるところです。写真を拡大す ると、腕の先端部分の様子がよくわかります。
 握策ガイドを通過した後の写真がこちらです。 遠くなったので少し不鮮明ですが、先端部分の違いがわかりま す。
 車両というかゴンドラの見た目はロープウェイそのものですが、レール周りはモノレールか新交 通システムですね。
  左の写真は、みどり口駅到着前、放策ガイドを通過するゴンドラです。レールの下面を見ると、 ちょうどここからリニアモーターの地上コイルが設置されています。


 上はゴンドラから見た様子です。このコイルと台車のリアクションプレートが電磁石の仕組みで 吸引、反発することで進んで行く仕組みです。
3)思ったより揺れる乗り心地
 改札 付近を観察したあと、8時20分発のみどり中央行きに 乗りました。左は改札から階段を上がったホームの様子。完全な密閉空間で、発車を待つゴンドラの部 分に、ホームドアが開いています。
 廃止が決まって撮影者が増えているのか、「他人を写すな」「駅に到着したらすぐに降りろ」など、撮影マナーの注意表示が ありました。

 ゴンドラは定員25人で、座席は左下の写真のように8席です。乗車時間はわずかなので、簡易な座 席です。乗り込んだのはほかに同好の士が2人と、運行会社の技術スタッフさんだけでした。
 発車 する時は少し前傾姿勢になります。リニアモーター駆動ですが、ゴンドラは台車からピンを介してぶら 下がっているので、ロープウェイのような動きです。加速度は2.5km/h/sとのことで、通勤電 車の加速度と同じくらいです。
 発車するとすぐに急坂を上り、右上の写真のように瀬野駅を見下ろします。右の写真は急勾配の途中 で、下に見えているのは、先の地図では瀬野西1丁目の10番地と11番地の間にある階段です。
 運航速度は時速20km程度とゆっくりですが、予想とは違ってガタガタという揺れがあります。写 真を撮るためにつり革や手すりを持たずに立っていると、不安定でした。
 最初 の急坂を登り切ると、上の写真のようにしばらくは勾配が緩くなり、前方右手にみどり中街駅が見えて います。右の写真は到着直前の様子です。
 「JTB時刻表」にスカイレールは載っていますが、「7〜15分毎、所要約5分」とあるだけで す。「全国鉄道地図帳」には、みどり口-みどり中街が0.7km、みどり中街-みどり中央が 0.6kmと、駅間距離が載っていました。
 両端の駅は同時に出発していますが、下の写真のように、みどり中央発のゴンドラが少し速くみどり 中街に到着していました。
 みどり中街駅を出ると、右下の写真のように大きく右カーブしてまた坂を登ります。