▽ お城めぐり

▽ 日本のあちこち
 「秘境駅号」で巡る飯田線
 
木次線と芸備線の旅
 伊那と山梨の桜
 
さよなら500系 のぞみ
 苗 代桜と下呂の桜
 
日光滝めぐり
 
横浜の建築と産業遺 産
 
「あさかぜ」「さくら」
 
三井寺の夜桜
 
坂の町・金沢
 
石鎚山登山記録
 
海から見たしまなみ 海道
 
来島海峡大橋塔頂体 験
 
ワンダーランド手柄 山
 
灘のけんかまつりル ポ
 
姫路の地名

▽ Macのある生活

▽ 好きなもの色々

▽ リンク

▽ 過去の日記



★☆ 「ディスカバー号」と「秘境駅号」で巡る飯田線 ☆★
(前編・2023年11月18日) 後編はこち ら

このサイトは、MacのFirefoxでの閲覧に最適化されています。
Windows環境なら、Google Chromeを使い、「設定→デザイン→フォントサイズ→小」でご覧ください。


<田本駅に停車中の「ディスカバリー飯田線号」を見下ろす乗客たち
(青い枠がついている画像は、クリックすると拡大画像が開きます)
1)飯田線と秘境駅
 今年 8月8日に、長野から松本、岡谷を経て、辰野駅から豊橋駅までの飯田線195.7kmを普通列車で乗り通しました。飯田線に初めて乗った のは1978年4月3日で、この時の記 録を見ると、全線は196.0kmでした。その後、平岡ー鴬巣間と時又ー天竜峡で路線の変更があ り、全長が変わっています。
 左の図は交通新聞社の「JR版 西日本時刻表 2023冬号」からお借りしました。中央本線と比 べると、駅が多いのが一目瞭然です。これはもともと飯田線が4つの私鉄だったことによるものです。
 今回乗車した豊橋ー飯田間は129.3km。駅の数は両端を含めて60駅で、平均の駅間距離は 2.19kmになります。ちなみに中央本線の名古屋ー木曽福島間133.1kmは31駅で、平均駅 間距離は4.44kmになります。
 豊橋ー飯田間には特急列車も走っているのですが、青春18きっぷなどを使って普通列車に乗る鉄 道ファンにとっては、難易度の高い路線のひとつです。
 ところで「秘境駅」とはどういう駅でしょうか。
 アマゾンで検索すると多くの本やビデオ作品が見つかりますが、この言葉を世に広めたのは牛山隆信 さんです。1999年10月15日にウェブサイト「秘境駅へ行こう!」を開設され、それを元にして 小学館文庫から2001年8月1日出版された「秘境駅へ行こう!」が、多くの人の目にとまりまし た。もちろん駅が好きな「駅鉄」である辻本も、すぐに購入しました。
 牛山さんのサイトでは、「秘境駅ランキング」が載っていますが、牛山さん自身が「筆者の独断的な 判断によるもの」と書かれている通り、人によって考えは違うでしょう。牛山さんの選択基準は「秘境 度」「雰囲気」「列車到達難易度」「外部到達難易度」「鉄道遺産指数」の5種類ですが、辻本なら 「外部到達難易度」を最も重視したいと思います。
 つまり、周囲に人家がなく、駅に通じる道がないか、あっても細い登山道のような道しかないところ です。車道がある場合は、秘境度はぐっとダウンすると思います。トップの写真に掲げた田本駅は、こ の外界との隔絶感がたまりません。牛山さんのランキングでは、トップ20位までに飯田線の駅が6駅 含まれており、今回、そのすべてを訪ねることが出来ました。

 さて今回乗った列車の時刻表です。左が11月18日(土) の下り「ディスカバー飯田線号」、右が19日(日)の上り「飯田線秘境駅号」です。
 JR 東海の資料を見てもらえばわかりますが、両方乗ってもらうことを想定して、停車駅を選 んでいます。「み まさかスローライフ」号と同様、駅好きには貴重な列車です。
 この 秋の運行は、「ディスカバー号」が11月3日(金・祝)と、18日(土)で、「秘境駅号」が4日 (土)と19日(日)です。これはまず「ディスカバー号」に乗って飯田線の知識を得た上で飯田、あ るいは豊橋で宿泊してもらい、翌日は秘境駅を楽しんでもらおうという戦略だと思いました。
 辻本はたまたま飯田市に大学時代の友人が住んでいることから、飯田で宿泊するのは好都合でした。

 さて左は「秘境駅号」のヘッドマークで、描かれているのは小和田(こわだ)駅です。ここは立派な 駅舎があるのに、人家に通じる道がないという特異な駅で、皇后陛下の旧姓と漢字が同じなので、ご成 婚の際には一躍脚光を浴びました。飯田線の秘境駅を代表する駅です。あとでまた詳しく紹介します。
2)豊橋駅から 出発
  前置きが長いのはいつものことですが、もう一言だけ。今回、秘境駅だけをしっかり紹介しようか とも思いましたが、上記、JR東海のコンセプトを尊重し、その他の沿線も紹介していくことにし ます。

 ということで、豊橋駅です。新神戸から新幹線で余裕をもって到着しました。まず新幹線待合室 にある「壷屋」 さんで駅弁を確保しました。「秘境駅弁当」というのもあるのですが、ここは豊橋名物の稲荷寿司 を買うのが筋なので、「三色稲荷」を選びました。ウナギ好きの妻は「うなぎまぶし」です。在来 線通路の売店では、「秘境駅弁 当」が山積みになっており、どんど ん売れていました。
  飯田線乗り場の1番線に向かうと、9時38分発の普通列車が停まっており、「ディスカバー号」 はその発車後に入線してくるようです。出発表示板には列車名はなく、「臨時」となっていまし た。
 ホームの先端まで行くと、前方に「ディスカバリー号」が待機しているのが見えました。このあ たりが飯田線列車の基地である「豊橋運輸区」になります。拡大写真を見ると、手前に「城海津 (しろかいづ)跨線橋」が見えます。1953年に架設された長さ188mのこの陸橋が豊橋駅の すぐ近くにあるため、東海道新幹線の豊橋駅は高架駅にすることができず、地平ホームになってい ます。
 「ディスカバリー号」はヘッドマークはありませんでした。急行列車ですが、車両は特急用の 373系電車で、転換クロスシートの3両編成です。探訪に便利な真ん中2号車の席を横並びで確 保できました。
 ちなみに「ディスカバー号」と「秘境駅号」の指定席は、JR西日本のネット予約 「e5489」では買えませんでした。JR東海は在来線のネット予約サービスはありません。1 か月前の発売日は仕事があったので、昼休みに京橋駅まで買いに行きました。「みどりの券売機」 でも購入できません。それなのに最近は有人のみどりの窓口が少なくなっており、とっても不便で す。

 さて定刻の9時50分に出発すると、車掌さんのアナウンスが始まります。最初は「右側で豊橋 運輸区の仲間たちがお見送りしています」でした。上の写真のように、飯田線へようこそ」の看板 が立てられ、大勢の職員が手を振っていました。「秘境駅号」のヘッドマークも見えます。左端の 絵は、職員手作りのペットボトルのキャップアートです。何が描かれているのかは、車内で配布さ れた「見どこ ろガイド」をご覧下さい。
3)愛知県 の駅 新城(しんしろ)、三河槙原(みかわまきはら)
 車掌 さんの放送は、「駅では絶対に線路には出ないように」などの注意事項から、乗務員の紹介、SNSで の拡散お願いなど、延々と続きました。でも乗っているのは鉄道ファンと旅行好きばかりなので、みん な拍手で応えていました。
 最初の停車駅は新城です。ここは新城市の中心駅なので、比較的大きな駅です。「秘境の玄関口」と いう位置づけで、駅の表示もそうなっていました。待合室では酒まんじゅう、シフォンケーキ、唐揚げ などの物販がありました。
 こういう列車の良い点は、見どころの案内と、その場所で徐行してくれることです。8月の旅ではう まく写せなかった長篠城跡も 写せました。城跡にいた観光客も手を振ってくれました。
 湯谷 温泉を過ぎると右手を流れる宇連川(うれがわ)の川底が一枚の板を敷き詰めたように見えることから 「板敷川」とも呼ばれていますという案内がありました。左側の座席の乗客も立ち上がって美しい川をのぞき 込みました。こういうことが出来 るのも観光列車ならではです。

 次は「水墨画のような風景がある」三河槙原。どんな風景だろうと思っていると、確かに駅近くに水 墨画に出てくるような断崖絶壁がありました。みんな外へ出て思い思いに写真を撮っています。
4)愛知県の駅  柿平(かきだいら)、三河川合(みかわかわい)
 次は 隣駅の柿平です。ここは牛山さんの秘境駅ランキング(2023年3月17日改定版)では174位 で、「ディスカバリー号」でも秘境駅扱いされています。
 しかし写真でわかるように、駅の出入り口は遮断機のある車道に面しており、グーグルマップを見る と、すぐ近くに小さな集落もあります。ここは秘境ではないなあと思います。

 「飯田線秘境駅号」は、2010年春に運行された団体ツアー列車が好評だったため、一般客も乗れ る臨時急行として、同年8月から11月にかけて運行が始まりました。
 次は 3駅連続の停車で三河川合です。ここも新しい簡素な駅舎です。
 この駅は1923年2月1日、新城市の大海駅から延びてきた「鳳来寺鉄道」の終点駅で、今でも入 れ換え用の線路など広い構内が残っています。
 飯田線の歴史を見ると、豊橋駅から大海駅までは「豊川鉄道」で、1897年7月15日の豊橋ー豊 川間を皮切りに順次延長し、1900年9月23日に大海まで開通しています。三河川合駅から天竜峡 駅までは「三信鉄道」で、1932年から部分開通を繰り返し、1937年8月20日に開通。この日 が飯田線の全線開通日となりました。
 な お、天竜峡駅から竜野駅までは「伊那電気鉄道」で、1909年12月28日に辰野ー伊那松島間が軌 道線として開業したのを皮切りに、順次延長と改良を続け、1927年12月26日に天竜峡に達して います。
 さて左は愛知県内最後の駅、東栄(とうえい)で、最徐行の通過です。駅舎は豊橋出発時のキャップ アートになっていました。写真は8月に撮影したものです。初めて見た時は猫かと思いましたが、地元 の祭りで使う鬼の面にちなんでいるようです。
5)静岡県の駅  浦川(うらかわ)
 三河 川合を少し遅れて11時51分に出発すると、次に停まる浦川までは少し時間があるため、駅弁を食べ ました。左が「うなぎまぶし」、右が「三色稲荷」で通常の稲荷寿司に加えてワサビ菜とちりめん山椒 が載っています。壷屋の稲荷寿司はそうとう甘いとの評判ですが、子供のころに食べた懐かしい味でし た。
 浦川は「鮎と歌舞伎の里」です。駅舎内には地元の子供たちと静岡文化芸術大の学生が一緒に描いた 壁画が掲げられています。駅舎横のトイレは 電車の形をしています。また上りホームの横には大きなイチョウが美しく色づいてい ました。