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★☆ 特急「ひだ25号」で長良川鉄道へ ☆★
(後編・2024年9月22日) 前編へ
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<郡上八幡駅に到着した美濃白鳥行き普通列車。茶色い駅舎に赤い車体が引き立っています>
(青い枠がついている画像は、クリックすると拡大画像が開きます)
3)開業当時の姿が甦ったお洒落で優美な駅舎
郡上
八幡の駅舎は屋根の2か所のドーマー窓がネコ耳のようで、優美でお洒落な木造建築です。全国で古い
木造駅舎は数多くありますが、屈指の美しさだと思います。
1929年(昭和4年)12月8日、越美南線の延伸開業時の建築ですが、屋根や窓などは後に改修
されていました。
2015年8月4日に駅本屋など4件が登録有形文化財となったことを受け、2016年10月から
翌年4月まで、開業時の姿に戻すリニューアル工事が行われました。
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右は
下り線ホームとホーム後ろ寄りにある待合所です。木製ベンチもいいですね。トップに掲げた写真とと
もに、ホームの玉石積みがよくわかります。
下は跨線橋で、右側は帰りに上り列車の先頭から写しました。ちょっと見にくいですが、通路部分の山形のハウトラスの斜材や、階段を支えるトラスは木製で
す。外側の色が違う鉄骨トラスは後の補強でしょうか。
物置きは残念ながら写真を撮り忘れましたが、本屋上り側のこれでしょうか。
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左は駅舎の入り口から改札口を見たところです。農産物を売っています。淡いグリーンの桟が美しいですね。右下に撮影者の手が映り込んでしまいました。
下の写真の左は左側で、窓口と券売機、ドアの中はカフェと観光案内所。お土産も売っていました。
右側には「赤ちゃんの駅」と書かれた授乳室がありました。
この日は下り列車で美濃白鳥へ行き、折り返して戻る途中の美濃市で下車。そして美濃太田へ戻りま
す。運賃表で調べ
ると合計2800円。このため、土日・祝日のみ販売の「1日フリーきっぷ」
(2700円)を買いました。定期券のようなシンプルなデザインです。
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4)ロングシートのソファに座って
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9時40分発の美濃白鳥行きは、「ナ ガラ500形502号」の1両です。外観は
観光列車「ながら」の「ナガラ300 形」と似ていますが、中はまったく違いました。
下のように、ロングシートなんですが、1人掛け、2人掛けの席、そしてソファ席が並び、ひじ
掛けやヘッドレストもあります。乗客が少ないから、こんな贅沢な座席でも大丈夫なんですね。
左側の写真は美濃白鳥で全員が降りた時に撮影しました。網棚の上には長良川鉄道の車両や沿線
風景の写真が飾られていました。何かのコンテストの応募写真のようでした。
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定刻の10時12分に美濃白鳥に着き、改めて車両を眺めてみると、「3」と「ながらかわかぜ」
という名前が描かれています。
「ナガラ300形」の1号車の森号、2号車の鮎号とともに、ホー ムページには、平成30年(2018
年)4月18日「川風号(3号車)運行開始」 と記されています。
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左は美濃白鳥の駅舎です。「ながら川風号」が見えます。停車位置がずいぶん後ろ寄りに思えます
が、ワンマン列車は前降りなので、降り口が改札の前になるように停まっているのでしょう。
この駅には、1978年9月26日にも訪れています。その時の様子が下の写真です。現在は玄
関の右手側が短くなっています。 |
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いわゆる「減築」です。また駅名表示は昔のほうが風情がありますね。そのほかは電話ボックスの位置など、当時とあまり変わっていません。
1978年当時の美濃白鳥は、県境を越えて長距離を走る国鉄バスの重要な乗り継ぎ地点でし
た。 |
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左右の地図は、今年6月、左の地図に見える「線路のない牧戸駅」を訪ねた記録から再掲し
ています。
左はJTB時刻表
2024年3月号の巻頭地図で、今回の前編に載せたものと同じです。右は1975年4月号の巻
頭地図です。
1978年9月26日、富山県の五箇山から乗った国鉄バスは、白川郷や牧戸を経て14時15
分頃に美
濃白鳥に到着。そして15時14分発の越美南線の2両編成の気動車に乗り、15時40分に北濃に着きました。
今回、美濃白鳥以南を乗ったことで、越美南線を完乗できました。
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美濃白鳥駅には同駅のスタンプと共に、無人駅である北
濃駅のスタンプも一緒に置いてありました。
白川郷へ向かっていた路線バスがなくなった今も、スタンプには「白川郷への玄関駅」とありま
す。
北濃駅には転車台が描かれています。1978年に北濃に着いた時は、6分後の列車ですぐに折
り返したため、転車台には気がつきませんでしたが、今年6月に車で牧戸駅を訪ねた後、北濃駅を
再訪してきました。
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5)転車台が残る、緑に包まれた終着駅
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本当は今回も長良川鉄道で北濃まで乗り通したかったのですが、この時間帯は北濃まで行く列車が
なく、断念しました。
そのかわりというわけではありませんが、この場を借りて、6月に訪れた時の写した駅の写真を
紹介します。緑があふれる素晴らしい駅でした。
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上の写真は今年6月7日に車
で訪れた時に撮影、左の写真は1978年9月26日に写した駅舎です。
撮影位置がず れていますが、やはり向かって右側が減築されています。1978年は右側の
建物がトイレでした。現在のトイレは駅舎左側に少し見える別棟になっています。駅名板は同じよ
うです。 |
現在は駅舎の左側、事務
室部分は「終着北濃駅」という食堂になっており、右側は波板屋根の自転車置き場があります。電
話ボックスは同じ位置にあります。
今は無人駅ですが、1978年当時は駅員さんがいました。国鉄職員
だったのか、委託の駅員さんだったのかはわかりません。この時は国鉄線と国鉄バスの乗車券を一緒にまとめたうえ、少し複雑な「連続切符」を使って2泊3日
の旅行をしていたのですが、日記を見ると、「北濃の改札の人は、ためらわず切符をちぎってくれ
た」 と書いていました。
以下の写真はすべて今年6月の撮影です。改札をくぐると、線路を横断して左手に延びている
ホームに向かいます。
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左が改札を出てホームを見たところ。下の左は、構内踏切を渡って駅舎を振り返ったところです。
その右は、ホームに上がったところで、列車の停止位置表示やワンマン運転用のミラーがありま
す。
3段目の左の写真は、そのあたりから美濃白鳥方面を望んだところ。ホームは長いです。3段目
の右は、左の写真の中央に見える電柱のあたりから前方を見たところ。ホーム上の大きな樹木の枝
が、左側の線路上をふさいでいます。
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左はホームの反対側で、こちらに列車が停まります。白線が引いてあります。ワンマン運転用のミ
ラーも見えます。ここが先頭になるのは何両編成でしょうか。ホームは緑に占領されています。
下の左の写真は、構内踏み切りのほうを振り返ったところです。線路を隔てた左側に、案内看板
が見えます。ここに転車台が残っています。下の右の写真が、ホームから見た転車台です。
説明板によると、
1902年(明治35年)のアメリカ製で、元々は岐阜駅で使われていたそうです。
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1934年(昭和9年)の北濃駅開業時に岐阜駅から移設され、蒸気機関車の方向転換のために
1969年まで使われていたようです。また長良川鉄道に転換後も、レールバスの方向転換に使わ
れたことがあると記されていました。
構内踏み切りまで戻って本線の線路を渡ると、転車台のそばまで行くことが出来ます。
人力による手押し式で、回転部分の全長は15.24m、幅が1.8mです。線路は現在もつな
がっています。2005年7月12日に登録文化 財となりました。
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6)鉄ちゃん乗りで、清流とともに走る
おまけの話が長くなりました。美濃白鳥に話を戻しましょう。美濃白鳥に着いた「ながら川風号」
が折り返す、10時39分発の普通列車美濃太田行きで帰途につきました。
かつて国鉄バスの乗り継ぎ地点だった美濃白鳥は、今でも交通の要衝です。発車すると右手に
は、東海北陸自動車道から分かれて福井県に向かう中
部縦貫自動車道の高い高架橋が見えました。
さて右の写真は、「ながら川風号」の車内に展示してあった絵はがきです。こんなふうに長良川
のすぐそばを走る場所があったでしょうか。帰りの列車では運転席横に立つ「鉄ちゃん乗り」で前
方を眺めることにしました。
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左は山田と自然園前の間で、川べりを走りました。長良川は浅瀬のようで、激しく波立っていま
す。
線路の左側は国道156号です。今は東海北陸自動車道ができましたが、何度もドライブで走っ
たことがあります。
下は郡上八幡での7分停車中にすれ違った列車で、2両編成でした。先頭は「長良川わくわくた
んけん号」(ナガラ500型01号)、後ろは前日も見た「食品サンプル列車」です。
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相生を過ぎると、前方に古そうなトラスの鉄橋が見えてきました。手前には「指定列車は制限速
度30キロ」の標識があり、観光列車「ながら」が案内のために徐行するポイントを示していま
す。
この鉄橋は「第五長良川橋梁」で、1959年9月27日の伊勢湾台風で流失し、同年12月の
仮復旧を経て、翌年に架け直されました。その際、1912年から1958年まで静岡県の大井川
にかかる東海道本線下り線で使われていた曲弦プラットトラスの1連(62.4m)を再利用して
います。1911年(明治44年)のアメリカンブリッジ社製という由緒ある鉄橋です。
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上の写真は大矢に到着するところです。前日、観光列車「ながら」がトイレのために停車した駅で
す。同じ時刻なので、「ながら」がすでにホームに停まっていました。右手には貨物用だったと思
われるホームの跡も残っていました。
駅に停車すると、ホームに降りていた「ながら」の乗客が、こちらを撮影しているのが見えました。
大矢の次、みなみ子宝温泉は、駅舎に「日本まん真ん中温泉 子宝の湯」という温泉施
設になっていましたが、9月29日で温泉の営業を終了 しました。このため名残を惜しむ利
用者も多く、運転士さんが下車する乗客に割引券 を渡していま した。
右はその先、「第二長良川橋梁」から見た上流側の勝原橋です。前日の「ながら」のアテンダン
トさんが、「絶景ポイントです」と案内していました。
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7)うだつの上がる町並みと美濃橋、そして本社のある駅
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美濃市には定刻より3分遅れて12時6分に到着。駅舎は外側に増築部がありますが、1923年
10月5日開業時からの木造駅舎です。
ホームは高い位置にあり、下の写真のように、地下道で改札へ向かいます。有人駅で昔ながらの
改札ブースが残っています。
駅舎と共に、ホームとホーム上の待合所も2013年12月24日に登録文化財となりました。古いレールが屋根を
支えています。
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美濃市の中心部には重要伝統的建造物群に指定された古い町並みが残り、「うだつの上がる町 並み」と名付けられた観光地
になっています。
また橋好きとして見逃せないのは、現存する日本最古の近代吊り橋として重文に指定された美濃
橋です。左の写真です。これについては「橋が好き」
に紹介ページを作りまし た。近くの見どころと一緒に解説しています。ぜひ見てください。
美濃市では昼食も食べ、時間をとってゆっくり見て回りました。駅の近くにも見逃せないスポッ
トがあります。
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それが右の写真、1999年4月1日に廃止された名古屋鉄道美濃町線の終着駅だった美濃駅で
す。説明板はこちら。
越美南線より早く、1911年に上有知(こうづち)駅として開業した時は少し手前にありまし
たが、1923年10月1日に現在地へ移転。その時に建てられた駅舎が残っています。越美南線
の美濃市駅よりお洒落です。2005年2月9日、プラットホーム及び線路と共に登 録文化財となりました。
駅舎の中に
は解説パネルが掲げられ、鉄道グッズの売り場があります。
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2面の頭端式ホームに面して3両の静態保存車両があります。
右から、旧塗装に復元された「モ590形593号」、「モ510形512号」、「モ600形
601号」です。そして左のホーム上にあるのは、札幌市電時代の塗装に塗り直された「モ870
形875号」のカットボディです。
「旧美濃駅保存会」が維持活動を行っておられま
す。
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美濃駅の横の公園には、美濃市出身の歌手・野口五郎さんのデビュー50周年を記念した「私鉄沿線」の歌碑もありました。
さて長良川鉄道の美濃市駅へ戻り、ホームに上がると、側線に古い車両が止まっていました。
1994年から2019年まで使われた「ナガラ200形201号」で、長良川の四季をイメージ
したイラストが描かれています。
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15時30分に下り線ホームに列車が到着しました。これは関始発で美濃市止まりの列車です。こ
れが折り返し15時40分発の美濃太田行きとなります。
この駅を境に、郡上八幡、北濃方面と、関、美濃太田方面とでは、列車本数に大きな違いがあり
ます。北部は半分程度に減ってしまいます。
平日ダイヤだと、美濃市ー郡上八幡は上り11本、下り12本。郡上八幡ー美濃白鳥は上下各
11本。美濃白鳥ー北濃は上り8本、下り9本です。
これに対し、美濃市ー関は上り22本、下り25本。関ー美濃太田は上下各22本です。なお観
光列車「ながら」は含みません。
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上の写真、15時40分発の美濃太田行きは、「ナ ガラ300形306号」で、「We♥長良川
鉄道」という八幡信用金庫のラッピング
車両です。そして写真を拡大すると少しわかりますが、都市圏の電車のようなロングシートでし
た。
美濃市から美濃太田までは長良川から離れ、線路も真っすぐ敷かれています。右は約2.7km
の直線が続く区間で、線路の右側に関下有知(せきしもうち)駅のホームが小さく見えています。
前日の観光列車「ながら」では、「最前部へ行って前方を眺めてください」と案内があった区間
です。
駅間距離も短くなり、関市役所前ー関は1kmちょうど、関ーせきてらす前は0.8kmです。
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15時49分に関に到着。行き違いのため4分停車し、駅舎側のホームに着いたので、途中下車し
て駅舎を撮影しました。
左手の建物は長良川鉄道の本社です。駅舎内には「ながてつ鉄道ジオラマ館」があり、Nゲージの
模型を走らせることができます。
富加では、この日の営業を終えて関の車庫に戻る観光列車「ながら」とすれ違いました。 |
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そして17時11分、定刻
より2分遅れで終着の美濃太田に到着しました。遅れたのは線路上の障害物を取り除いたためで
す。
高山本線と比べ、長良川鉄道のホー ムは短くて目立ちません。
大阪へ直通する17時18分発の「ひだ36号」は指定席が満席のため、岐阜から名古屋へ向か
い、新幹線で帰りました。これで旅の記録は終わりです。
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