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★☆ 「タブレット交換」が残る名松線 ☆★
(2024年12月22日)
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<名松線(めいしょうせん)の家城(いえき)駅では、全国でも珍しい「タブレット交換」が行われています>
(青い枠がついている画像は、クリックすると拡大画像が開きます)
1)6年半の運休を乗り越えて存続
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三重県に名松線というローカル線があります。左は「JTB時刻表」の2014年10月号です。松阪
から伊勢奥津(いせおきつ)まで、路線延長(実キロ)は43.5kmで、全線単線非電化の路線で
す。
線名は松阪と名張を結ぶ目的で付けられました。1929年8月25日に松阪ー権現前間が開通し、
順次延伸して35年12月5日には伊勢奥津まで開業しました。
国鉄末期には、代替道路未整備で廃止対象から外れましたが、2009年10月8日、台風18号の
豪雨被害で全線不通となり、家城ー伊勢奥津間17.7kmが復旧したのは2016年3月26日でし
た。
左の地図には「名松線」の文字の隣に※印があり、地図を拡大するとわかりますが、欄外に不通の説
明があります。
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しか
し最近のローカル線に厳しい情勢では、いつ廃止になってもおかしくない路線です。「青春18きっ
ぷ」で乗りに 行きました。
三ノ宮を6時25分の快速で出発し、草津、柘植、亀
山、津と乗り継いで、松阪には10時45分に到着しました。遠いです。南口の駅舎は、1979年4月4 日に来た時とあまり変わっていま
せんでした。
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松阪はJRと近鉄の共同使用駅で、JRが1から5番線(2番線は欠番)、近鉄が6から8番線を使っています。
中間改札はなく、JR側の南口、近鉄側の北口とも、自動改札機には両方のきっぷが区別なく通せま
す。もちろん18きっぷも問題なく使えました。ただし交通系ICカードの利用には制限があるようで
す。
名松線は5番ホームから出発します。11時33分の発車までまだ時間がありますが、列車はすでに
ホームで待っていました。11時1分に到着した列車でしょう。
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車両はキハ11形303号機。JR西日本のキハ120形と
同様、両側に運転台があり、トイレもついたワンマン運転用のディーゼルカーです。他のJR東海の車
両と同じく、オレンジ色のラインが車体を巡っています。
車内はこんな感じの
セミクロスシートで、発車時刻になっても他の乗客は1人だけ。同好の士かもしれません。
定刻に発車した列車はしばらく単線の紀勢本線の本線上を走り、約1分後、下の左の写真のように名
松線が左へ分離します。
しかしその後も約2分間、まるで複線区間のように紀勢本線と並走し、
松阪駅から約2.5km先で、ようやく分かれていきます。
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松阪
から2駅目の権現前は、名松線の最初の開通区間の終点ですが、ホーム上に小さな待合室があるだけの
簡素な駅でした。
4駅目が左の一志で、ホームは1面ですが駅舎がありました。この駅の北側、200m余りのところ
に近鉄大阪線の川合高岡駅があります。JRも近鉄も案内はしていませんが、時刻さえ合えば十分乗り
換えが可能な距離です。
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2)高校生たちが応援
小雨
で濡れた前面ガラス越しに、Y字形分岐が見えると、沿線で唯一、列車の行き違いが可能な家城(いえ
き)です。ホームから一段低い位置に立派な古い駅舎がありました。
12時10分に到着し、13分も停車するので、いったん降りました。 伊勢奥津側から見たのが右
の写真。反対側ホームにはベンチが見えます。
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駅舎がある松阪側には構内踏み切りがあります。駅の近くには三重県立白山高校があり、訪れたのは日曜日でしたが、何人もの高校生が松阪行きの列車に乗り込
みました。
駅の待合室には、名松線の各駅や沿線で高校生らを写した写真が何枚も壁に飾られていました。よく
見ると「名松線 勝手に応援団」というロゴが入っています。
調べてみると、白山高校が地域課題解決型キャリア教育として2020年度に始めた、PR用ポス
ターを作る企画でした。白山高校のホームページに、3年間で作った作 品が紹介されています。いずれも文章付きで、青
春真っ盛りが感じられる秀作ぞろいで す。
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3)
タブレット交換とはどういう作業か
さて家城では「タブレット交換」が行われていると、トップの写真の説明で書きましたが、これはどういう意味でしょうか。鉄道ファン以外はほとんど知らない
言葉でしょう。
ごく簡単に言うと、「単線区間で衝突しないために、列車が持ち運ぶ“通行手形”の受け渡し」のこ
とです。
列車の正面衝突や追突を防ぐため、鉄道では定められた一定区間には1列車しか立ち入れないという
大前提があり、この区間、または仕組みのことを「閉塞(へいそく)」と言います。現在では信号機に
よる「自動閉塞」が普通ですが、かつては駅員を介して様々な“通行手形”をやりとりする閉塞方式が
あちこちで見られました。
閉塞については「ねとらぼ」の「月刊乗り鉄話題」にある「な ぜ単線の路線で電車はぶつからないの?」などを
参考にしてください。
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最も
簡単な閉塞の仕組みが「スタフ閉塞」、より一般的だったのが「タブレット閉塞」です。
上の 写真は、2016 年に訪れた京都鉄道博物館の1階、信号や
閉塞、ポイントの説明コーナです。手前のガラ
スケースに並ぶ4枚の円盤がタブレットです。その向こう側、ヤリのような形をしたものがスタフだと
思います。説明が読めず残念です。
右手の螺旋形の柱(通票受器)に引っかかっているのが「タブレットキャリア」で、下の鞄のような
ところにタブレットを収めます。
本来、タブレットとは中に入っている円盤のことなのですが、キャリア全体をタブレットと呼ぶこと
が普通にありました。左の写真は2022年11月に「み まさかスローライフ列車」に乗った時、美作加茂
駅で行われた演出で、「タブレット交換 のデモン ストレーション」と称されていました。
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右上
の写真は、往路のキハ11-303の運転席に架けられていたキャリアです。ケースが2つ付いていま
す。
実は
家城でのタブレット交換は事前に把握しておらず、トップに掲げた写真と左右の写真は復路で撮りました。
左は列車が運んできたキャリアを対向列車へ持っていく駅員さん。キャリアのバッグ部分はよくわか
りません。
右は対向列車が運んできたキャリアを持ってきた駅員さん。キャリアには下の鞄部分に加えて、黒い
クッション状のケースがついています。
ウィキペディアによると、家城ー伊勢奥津間は「スタフ閉塞」で、松阪ー家城間はスタフ閉塞を改良
した「票券閉塞」だということです。
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ただ
「テツ語辞典」には、
スタフについて、「本来棒状の金具だが、タブレットで代用されるケースも多かった」とあります。
このように人手を介した閉塞方式は複雑で例外もあるようなので、実際のところ、どういう閉塞方式が使われていて、キャリアの中にどんなものが入っているの
かはわかりません。
なおウィキペディアによれば、「スタフ閉塞」を行っているのはJRでは名松線と、越美北線のみ
で、地方の私鉄では数か所あります。「票券閉塞」はJRではここだけで、私鉄も3か所だけだという
ことです。
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4)急勾配を登って終着駅へ
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