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有終のトロリーバスに乗車 大混雑のアルペンルート ☆★
(前編・2024年10月12日) 後編へ
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<大観峰に着いたトロリーバス。大勢の人が写真を撮っていました。屋根上のトロリーポールは判別しにくいです>
(青い枠がついている画像は、クリックすると拡大画像が開きます)
1)富山地方鉄道 電鉄富山→岩峅寺→立山
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様々な乗物を乗り継いでいく「立山黒部アルペンルート」は、乗物好きには大変興
味深い観光ルートですが、なかなか行く
機会がありませんでした。しかし立山を抜ける日本唯一のトロリーバスが今シーズン限りで電気バスに切り替わることを知
り、訪問することに決めました。
アルペンルートの全容は下の図の通りです。これは「VISIT富山県」にあったマップからの引用です。距離付きのルート図は、こちらに。
乗物はそれぞれ個別に切符を買うことができ、様々な切符が発売されていますが、今回はJRの「立山黒部アルペンきっぷ」 を使いました。
スタートは富山地方鉄道の電鉄富山駅です。左の写真、正面の背の高いビルです。
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ここ
で、JRの切符を見せてアルペンルートの乗車整理票をもらう必要があります。
富山で前泊したので、夕方に行ってみると、切符の引き換えは「乗車当日」のみと
のこと。このため窓口が開く朝7時半前にやってきました。
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7時
25分に着きましたが、三連休の初日とあって、すでに行列ができています。
アルペンルートの一番のネックは、乗客が集中する「立山ケーブルカー」で、ここでその乗車時刻を
指定する仕組みです。事前にルートの時刻表を
見て、8時発の特急に乗り、9時20発のケーブルに乗り継ぎたいと思っていました。しかし希望の便
はすでに満席で、10時10分発の臨時便になってしまいました。
電鉄富山駅から当初の予定通り8時発の特急列車に乗りました。元は西武鉄道の特急電車だった
20020形で、2022年2月から富山地鉄で運行されています。23年11月に「CANYON
EXPRESS」という愛称が決まり、今年3月に赤い鉄橋をイメージした前面のデザインに変更
されました。
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3両
編成の先頭車モハ20021に
乗りました。転換クロスシートですが、全席自由席です。
本線から立山線が分岐する寺田駅に近づいたので、運転席の後ろに立って前方を眺めました。立山線
は駅の手前で右側へ分かれていきます。
停まっているのは元京阪特急だった10030形です。
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特急
列車の立山駅到着は8時51分なので、ケーブルカーの発車時刻までずいぶん時間があります。このた
め、岩峅寺(いわくらじ)駅で途中下車することにしました。
駅舎ファンには有名な木造の古い立派な駅で、2009年公開の映画「劒岳
点の記」では、明治時代の富山駅として使われました。
歴史は複雑で、1921年(大正10年)に立山鉄道(現・立山線)の立山駅と、富山県営鉄道
(現・上滝線)の岩峅寺駅が開業。その後、富山電気鉄道が立山鉄道を合併し、36年(昭和11
年)8月18日には富山電鉄が立山駅を廃止し、県営鉄道の岩峅寺駅に乗り入れました。
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路線図はこちらで
す。現在の駅舎の建築年代については、開業時と「昭和戦前」という2つの説がありますが、富山県教
委による「とやまの近代歴史遺産100選」では、「1921
年竣工」としています。
ホームは3面4線で
すが、駅舎に面した立山方面行きホームが2番、構内踏み切りを渡った向かいの寺田方面行きが1番、
さらに奥の上滝線が3番、4番と変則です。上の写真のように、通路やホームの屋根も古い木造で、独
特の雰囲気が残っています。
駅舎の待合室には「劒岳 点の記」のロケ風景の写真が多数掲示されていました。
岩峅寺駅8時50分発の普通列車で立山駅に向かいました。地鉄オリジナルの14760形2両で
す。発車時刻には3番ホームに上滝線の電車が到着しました。
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2) 立山ケーブルカー 立山(475m)→美女平(977m)
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普通列車は9時15分に立山駅に到着しました。10時10分のケーブルカー発車まで、まだ時間
があるので、すぐにケーブル乗り場には向かわず、駅の西口?を出て、踏切からホームの様子を眺め、駅前広場を巡って駅正面へ
出ました。
右手には切符売り場があり、ここでも行列ができています。マイカー客や、電鉄富山の窓口オー
プン前に乗った人は、ここでアルペンルートの切符を購入します。
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鉄道ファンにとっては富山地鉄の利用が当たり前なのですが、団体ツアーの場合は、ここまでバス
で来て、ケーブルに乗り換えることになります。マイカーの利用も多く、長野県側へマイカーを回
送するサービスもあります。
左の案内図を拡大すると、駅の周辺には800台以上もの駐車場が設けられています。
また「立山カルデラ砂防博物館」では立山の自然と砂
防の歴史を学ぶことができます。その隣にある砂防工事専用軌道は、一般人は乗ることができ
ませんが、常願寺川に沿う延長18km、標高差640mの路線で、途中の18段スイッチバック
が有名です。宮脇俊三さんは取 材で訪れています。
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アルペンルートの公式ページには、各駅の案内図があって便利です。立山駅はこちら。
2階のコンコースはよく賑わっていました。時刻は9時30分で、右は9時40分発のケーブル
を待つ列です。拡大するとわかりますが、個人客用の改札が1か所、団体客用の改札が2か所あり
ます。この先も常に団体客用の改札が多く設けられていました。
左手の壁に、「ありがとう!日本最後の立山トンネルトロリーバス」というポスターがありまし
た。イベントの案内もあります。
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実は9月1日に行われたトロリーバスの「バックヤードツアー」に申し込みましたが、残念ながら
抽選に漏れてしまいました。
ポスターの右には、ルート上の各所のライブ映像が映されていました。室堂は良い天気で、立
山がくっきりと見えています。しかし辻本は雨男なので、ウェザーニュースを見てみると、好天続きの三
連休の中で、室堂周辺は本日の午後のみ曇りになっています。このため、
期待しないことにしました。
その隣にはデジタルサイネージで、トロリーバスの解説が流れています。せっかくなので写して
おきました。1枚目、2枚目、3枚目、4枚目、5枚目で す。
改札の右側の階段にケーブルカーの装飾があり、「70周年」の表示が見えます。アルペンルー
ト全体の開通は1971年6月1日ですが、立山ケーブルカーは1954年8月13日に開
業しています。開業時は立山開発鉄道が 運行していましたが、2005年10月1日から立山黒部貫光が運行を担当しています。「観
光」ではなく「貫光」なのは、乗物ファンには有名です。
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コンコースには広い土産店があり、トロリーバスのキーホルダーやピンバッジを探しましたが、見
当たりませんでした。他の乗物はあったので、売り切れでしょうか。
さて発車時刻の近づいてきたので、改札口に並びました。10時10分発の案内に「臨時」の文字が見えます。10分前に改札が
開き、階段になったホームに向かいました。
右は、ほぼ先頭から見下ろしたところです。ケーブルカーの定員は120人なので、横6人で
20列になっているはずです。1両なのに、意外と大勢乗れるものです。
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やがてケーブルカーが降りてきました。ふもと側には荷物車?が連結されています。先の公式ペー
ジによれば「荷台」です。もともと黒部ダム建設の資材を積むためのもので、今でも大きな荷物は
載せるようです。運転席のように見えるのは車掌室です。
標高差は502mで、延長は1.3km。所要時間は7分です。
進行右側の窓際座席に座りましたが、先頭に立ったほうがよかったかもしれません。動き出すと立山駅を見下ろし、後は森の中を進みました。
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3) 立山高原バス 美女平(977m)→室堂ターミナル(2,450m)
立山ケーブルカーは10時17分に美女平駅に到着しました。時刻表に よれば、室堂へ向かう立 山高原バスは10時20分発で、乗り換え時
間があまりありません。次の便は11
時発まで間があきます。臨時便については情報がありませんでした。
とりあえずバス乗り場へ向かうと、目の前で改札口が閉められてしまいました。間に合わなかっ
たのかと思うと、「満席になりましたが、続いて発車します。最前部列に座れますよ」とスタッフ
が声をかけてくれました。「続行運転」ですね。ホッとして、バスの写真を撮り忘れました。

室堂へ向かう道は一般車通行禁止ですが、次々と対向のバスがやってきます。車内では車窓のガ
イドが流れ、見どころでは徐行してくれます。右の写真は、幹回り9.4mと沿道で一番太い「仙洞スギ」です。
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美女平を出て約10分、一番の見どころに到着しました。日本一の落差350mを誇る称名滝です。ルート中の急カーブのところに展
望スポットがあり、「大観台」と名付け られています。
バスは少し停車し、そろそろと動きます。逆光ですが、左のようにスマホでも写せるくらい見え
ました。特徴のある4段の流れがわかります。秋なので水量は少なめです。雪解けの季節にはもっ
と迫力ある姿が見られ、右側には落差約500mのハンノキ滝も現れます。

左の写真の右手には滝の名を記した碑があるのですが、一緒に写すと滝が隠れてしまいそうにな
りました。立山駅からは称名滝の手前約1kmのところまでバスの便があり、滝を間近で見ること
もできます。滝も好きなので、また近くまで行ってみたいです。
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バスはどんどん高度を上げていきます。高木が少なくなると、左上の写真のように、除雪の目安に
なるポールが並んでいました。赤い印が3mの位置でしょうか。
上の写真、左側奥が劒岳です。残念ながら雲がかかっています。手前の大日連山はきれいに見えていたのに……。
やがて前方に室堂ターミナルとホテル立山が見えてきました。背後の立山の頂上は、やっぱり雲
に隠れています。残念です。
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4) 立山トンネルトロリーバス 室堂ターミナル(2,450m)→大観峰(2,316m)
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高原バスは11時15分ごろに室堂ターミナルに到着しました。バスを降り
て、建物に入れば、すぐ目の前が次のトロ
リーバスの乗り場で、改札口や切符売り場、広い土産店、待合室などがあります。
切符売り場の右手に、立山トンネルトロリーバスの模型や部品などの
展示コーナーがあり、「室堂駅 2450m」「日本最高所の鉄道駅」と記した撮影用看板があり
ました。「バス」という名前です
が、正式には「無軌条電車」といいます。「レールのない電車」、つまり法律的には鉄道に分類さ
れます。このため室堂ターミナルはバスの「停留所」ではなく、電車の「駅」なんです。
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まずトロリーバスの出発時刻を確
認しました。室堂では1時間余りは散策したいし、軽く食事もしたいので、13時15分発を目標
にしました。窓口に「個人のお客さまは予約不要です」とあるのも確認しました。
次は切符売り場の反対側にある売店です。立山駅では見つけられなかったトロリーバスのピン
バッジやキーホルダーを探しました。他の乗物はあるのに、やっぱりトロリーバスだけありませ
ん。そこで、6種の乗物バッジをまとめたセットを購入しました。2,200円(税込み)です。
アルペンルートは厳密には立山駅から扇沢ターミナルまでなんですが、乗物ファンとしては、富
山地鉄と扇沢から信濃大町駅までの路線バスもピンバッジにしてほしかったです。
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ターミナルの屋上から外へ出ることができます。周辺は「室堂平」と呼ばれる高原で、一番の名
所は「みくりが池」です。室堂ターミナルからみくりが池往復なら30分なので、手軽なコース
です。
左の写真は少し高い位置から見たところです。池の向こうの右手に見えるのが立山室堂山荘。池
を巡ってそこまで歩いていきました。その後ろの鞍部が一ノ越(いちのこし)で、立山への登山
ルートになります。
雲に隠れた立山には、右から雄山(おやま、3,003m)、大汝山(おおなんじやま、
3,015m)、富士ノ折立(ふじのおりたて、2,999m)という三つのピークがあり、その総称
が「立山」です。雲は晴れそうにありませんでした。
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立山と、南側の浄土山(2,831m)、北側の別山(2,874m)を合わせて「立山三山」と
呼び
ますが、立山の三つのピークのことを「立山三山」と呼んでいる資料もあって、ややこしいです。
「歩こう立山」にある地図がわかりやすいです。
みくりが池のあと、エンマ台から白煙が上がる地獄谷を眺 め、立山室堂山荘の隣にある「立山室堂」を 目指しました。
右の写真の中央奥に見える建物で、現存する日本最古の山小屋として2棟が重要文化財に指定さ
れています。「室堂」の地名の元なんですが、散策ルートから外れているため、訪れる人は少なめ
でした。
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ターミナルに戻り、立ち食いそばの店で、「白海老かき揚げそば」
と「ますのすし」を食べ、改札
口に並びました。出発案内を見ると13時30分の臨時便もあるようです。13時に改札が開きましたが、右上の写真のように、ホームの手前でまた待たされま
した。
通路にあった解説を
読むと、トロリーバスの形式は8000型、定員は72+1人、車両数は8両です。路線の全長は3700mで、乗車時間は8分です。1971年の
開通時はディーゼルエンジンのバスでしたが、排気ガスが充満するため、1996年4月23日か
らトロリーバスになりました。当時は今のように電気自動車は発達していなかったため
でしょう。
ホームに出ると、4両のバスが待っていました。同時刻に反対側からも出るので、4両ずつの運
行です。3号車に乗り込みました。
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進行右側の座席に座りまし
た。左の写真のように途中ですれ違いがあるので、それを写すためです。走り出すと、思ったより
もスピードが速いと感じました。
室堂まで乗ってきた立山高原バスは全員着席でしたが、こちらは立ち客ありでした。それなら一
般の鉄道とおなじく、最前部に立って、前方を眺めるべきでした。
乗車時の写真や左の写真では、トロリーバスの一番の特徴である屋根上のトロリーポールが見え
ません。下の写真のように大観峰駅に着いて、最前部から写した写真で、ようやくトロリーポール
が判別できました。でも後付けのような柱が邪魔でした。
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左はトロリーボール部分のアップです。根元部分はよくわかりますが、架線に接する部分は、残念
ながら柱の陰で見えません。

降りたあと、車両の真横からも写しましたが、屋根の上は暗いため、やはり細いトロリーポール
がよくわかりません。拡大画像はかなり明るくしましたが、それでもよくわかりません。このペー
ジの一番最初に掲載した後方から写した写真でも同様です。
本当はゆっくりと車両のディテールを撮影したかったのですが、とにかく三連休で大混雑してい
るため、「降りた方は立ち止まらないで出口へ向かってください」のアナウンスが何度も流れ、
ちょっと心のこりでした。
なお4両は先頭から8004、8008、8001、8002でした。
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