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★☆  鉄道三昧の三が日 JR西の未乗路線を巡る ☆★
           (2024年1月1 日〜3日)前編    中編へ 後編へ

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<県道脇にひっそりと存在する小野田線支線の終着駅・長門本山駅
(青い枠がついている画像は、クリックすると拡大画像が開きます)

1)ローカル線、近郊線、到達困難線・・・

 これ まで本気で乗り潰しを考えたことはありませんでしたが、ローカル線(地方交通線)の現状が日に日に 厳しくなる中、今のうちに乗っておかないと…という気持ちが強くなってきました。
 上と左の地図はJR西日本の資料集、「デー タで見るJR西日本2023」から借用しまし た。今回はまだ乗っていない可部線、岩徳 線、宇部線、小野田線、福塩線、芸備線、それに錦川鉄道を踏破してきました。ローカル線だけでな く、電化されて列車本数も多い都市近郊路線もあります。

2)可部線 横川ーあき亀山(15.6km)
  今回は青春18きっぷを使った旅ですが、広島へは新幹線でワープしました。途中、未訪問だった 新倉敷と新尾道に降りてきましたが、話は省略です。
 最初の可部線は山陽線の横川(よこがわ)が起点ですが、すべての列車は2駅東の広島まで乗り 入れています。右の写真は広島駅4番乗り場に到着する折り返しの9時27分発、緑井(みどり い)行きです。9時48分には終点のあき亀山行きがありますが、「乗り鉄」というより「降り 鉄」「駅鉄」である辻本は、こういう途中駅までの列車がありがたいです。この記録でも、列車よ り駅の話が多くなっています。
 列車は227系電車の4両編成。先頭車はクモハ226-95です。2015年から広島地区の 電化路線で活躍している電車で、愛称は「Red Wing」です。
  緑井には9時50分の到着。横川からは単線ですが、緑井までのすべての駅が行き違い可能です。 緑井の手前、大町はアストラムラインとの乗り換え駅です。
 緑井の駅舎はクラシックで簡素ですが、駅前広場は広く、向かいには映画館もあるショッピング モールがあります。
 時刻表を見ると、緑井 までは日中でも1時間に3本の列車があり、完全な大都市近郊路線です。この先は本数が減ります が、それでもローカル線とは言えない本数が走っています。10時11分の列車に乗り、10時 27分に可部に到着しました。
 もともと可部線は軽便鉄道と して明治時代に開通した古い路線で、可部までは1911年に開通。その後、国鉄となって延伸 し、1954年に加計まで、1969年には三段峡まで開通しました。
 1992年の世界大百科事典日本地図を見る と、よくこんな 所まで線路を敷いたなと思います。結局、JRとなった後の2003 年、可部ー三段峡間は廃止となりました。
 しかし地元住民の熱心な運動があり、2017年3月4日、可部から新設駅・あき亀山までの 1.6kmが延伸開業し ました。廃止された路線の復活は、極めて珍しいことです。
 延伸開業に合わせて可部駅は 大きく変身。東口(上の写真)と西口(左)は自由通路で結ばれており、各ホームそれぞれに改札 があります。西口側は広いバスターミナルになっています。
 西口側の改札から出ましたが、ここは無人で、簡易型の自動改札ではないため、インターホンで ゲートを 開けてもらう必要があります。しかし回線混雑でなかなかつながらず、不便でした。
  青春18きっぷは自動改札が通れないので、簡易型でない改札機の場合はこのように手間がかかり ます。「秋の乗り放題パス」は自動改札が通れるのだから、18きっぷも改善を望みたいです。な お、東口には職員がおられました。
 可部を10時47分に出発し、10時52分、終点のあき亀山に到着しました。乗り場は1面2 線の頭端式ですが、側線もある広い構内で す。
 広い駅前広場に面して広島 市立北部医療センター安佐市民病院があります。延伸開業にあたっては、2022年にオープンし たこの病院の存在が大きいと思います。
  帰りは11時03分の広島行きに乗車し、11時41分、広島の手前、山陽線の新白島(しんはく しま)で降りました。
 アストラムラインとの乗り換え駅として2015年3月14日に開業した新しい駅で、相対式 ホームの2面2線。北口(広島方面行き)と南口(横川方面行き)は別々の改札です。右の写真は 南口で、JRの改札やアストラムラインへは左手の階段を上ります。北口へは右下のトンネルで駅 をくぐり抜けます。
 北口は無人で、簡易型ではない自動改札のため、今回も出るのに時間がかかりました。南口改札は規模が大き く、有人でした。

3)岩徳線 岩国ー櫛ヶ浜(43.7km)
 次は 岩国から岩徳線に乗車します。
 しかし新白島を出る次の列車は、途中の大 野浦止まりでした。スマ ホの乗り換え案内アプリなどではこういう場合、次の列車が案内されるのですが、辻本は「降り鉄」な ので、降りる駅を増やすことを選びます。
 大野浦行きは4両編成(レッドウィング?)で、観光客で満員でしたが、ほとんどは宮島口で降りま した。大野浦はその2駅先です。下車した人たちはホームで岩国生き列車を待っていますが、辻本は外 へ出ました。
 駅舎 は2016年11月26日に使用が始まった橋上駅で、簡易型の自動改札がある無人駅です。上の写 真は南口です。
 次の岩国行きは12時48分発の5両編成。車両はメモするのを忘れました。
 岩国には13時4分着。今回は乗り換えただけですが、2023年8月29日に新岩国駅を訪ねた際、岩 国駅に降り立ちました。右の写真です。 2017年11月26日に完成した新しい橋上駅です が、前面のひさしが邪魔をして、写真に撮りにくい駅舎でした。
 岩徳 線の徳山行きは1番線から、13時28分の発車です。 列車はキハ40形気動車の2047機1両で す。前面展望が見づらい車両で す。手前が進行方向で、ホームを進んだ先に、錦川鉄道錦川清流線の乗り場である切り欠き型の0番線 乗り場があります。
 岩徳線で岩国から徳山までの実キロは47.1kmで、1時間19分から1時間30分かかります。 これに対して山陽本線で岩国から徳山までの実キロは68.8kmと長いのに、線形が良いため1時間 11分で到達します。
 このため岩国まで乗り通す人はほとんどおらず、沿線に大きな都市もないため、1両で十分という わけです。「デー タで見るJR西日本2023」によると 2022 年度の平均通過人員(輸送密度)は、1日 1,071人で、ローカル線としてはまずまず で す。
 岩国 の次は西岩国です。今回は下車しませんでしたが、新岩国駅を訪ねた際、錦川鉄道で西岩国まで乗り、 ここで降りて岩国まで歩きました。左はその時の写真です。
 ローカル線にしては立派な駅舎です。玄関のアーチは錦帯橋をイメージしています。2006年には 登録有形文化財になっています。駅舎内は古びてはいますが、シャ ンデリアがあります
 この駅がこんなに立派なのは、1929年4月5日(15日?)の開業から42年3月31日まで は、岩国駅を名乗り、岩 国市の代表駅だったからです。
 岩徳 線自体も1934年12月1日に全通すると、山陽本線を名乗りました。先に述べたように距離が短い ことと、海岸部は海からの攻撃に弱いという軍部の意向があったのでしょう。しかし44年10月11 日には再び岩徳線に戻りました。
 さて列車は14時17分、高水に停車。事前に「乗換案内」アプリで3分停車することを確認してい ました。そして改札前のホームに停まったので、下車して写真を撮ってきました。ここは近くにナベヅ ルの飛来地があり「ツ ルと温泉のまち」という 案内看板がありました。
 高水での3分停車は、対 向列車との行き違いのた めでした。14時20分に発車し、山陽本線との分岐駅・櫛ヶ浜に14時44分に到着しました。列車はすべて次の徳山まで 行きますが、分岐駅には出来るだけ下車することにしています。
 ここは本線の駅ですが、やっぱり無人駅で、簡易型の自動改札でした。でもタクシーが待っていまし た。時 刻表を見ると、山陽本線 と岩徳線の本数の違いがわかります。山陽本線も、1時間に1本しかない時間帯があります。
 とこ ろで、岩国より東側の駅と、櫛ヶ浜より西側の駅を行き来する場合、山陽本線と岩徳線のどちらを利用 するかにかかわらず、運賃は距離が短い岩徳線経由で計算するという特例があります。なお岩徳線は 「地方交通線」なので、運賃計算は実キロではなく、割高の「運賃計算キロ」を使います。
 仮に岩徳線が廃止されたり第三セクターに転換したりすると、特例が使えず、山陽新幹線を含む多く の運賃が変わってしまうことになるので、岩徳線は廃止、転換されないという噂もあります。
 さて櫛ヶ浜14時52分発の下関行きは、黄色い115系電車4両編成。発車は3分遅れました。

4)宇部線 新山口ー宇部新川ー宇部(33.2km)
 15 時43分、宇部線と山口線が分岐し、新幹線も停まる主要駅、新山口に着きました。ここは2003年 10月1日の改称までは「小郡(おごおり)」駅でした。その時代に降りていますが、写真を撮ってい なかったので、今回下車しました。
 左は北口で、バスターミナルがあります。駅名がある橋上駅の本屋部分を撮影したので地味ですが、 右手の自由通路の向こう側は、開放的なデッキとオープンスペースが広がっています。
 2階の南北自由通路は広く、 壁面は「垂 直庭園」と名付けられて 135種類、1万7000株の植物が植えられています。そのすべてを写 真で紹介する解説板もあり ました。南 口は新幹線側で、駅前広場 には種田山頭火の銅像が建っています。

 新山口は在来線だけで5面8線あり、宇部線は8番乗り場から発車します。16時23分発は105 系電車の2両編成です。先頭車はクハ104-15でした。
 8番乗り場へ降りる階段には「まちじゅうエヴァンゲリオン」というス タンプラリーのポスターが 貼ってありました。エヴァンゲリオンの監督、庵野秀明氏は宇部市出身で、映画にはリアルな宇部新川 駅が登場するなど、「聖地」でもあります。
  105系は前面展望が見づらく、運転士の指導役も乗っていたため、あまり風景は見られませんでし た。そして17時14分、宇部新川に到着しました。このまま宇部まで行くと、日が暮れて宇部新川の 写真が撮りにくくなるので、この日はここで下車しました。
 上は1番乗り場に到着したところです。駅舎とのあいだには、白鳥の模型がある池も設けられていま す。沿線の見どころである常磐湖のイメージでしょうか。
 2021年に公開された「シン・エヴァンゲリオン劇場版」には3番、4番乗り場側から見た駅舎 や、緑色の跨線橋なども出てきます。
 宇部線内はICOCAなどが使えませんが、ここは有人駅です。駅舎も下のように大きく、コンコー スも天井が高く広々としています。
 完全 に暗くなる前に村野藤吾さんの建築作品を見て歩きました。まず駅のすぐ近くにある「渡辺翁記念会館」 です。左の写真で、1937年に宇部市民会館として建てられました。村野さん自身が「出世作」とい う傑作で、今もバリバリの現役。2005年に国の重要文化財に指定されています。
 次は「宇部興産ビル」。最晩年の 1983年の建築で、完成時は「宇部全日空ホテル」、現在は「ANAクラウンプラザホテル宇部」な どが入っています。
 そして「ヒストリア宇部」。1939 年に宇部銀行本店として建てられた、小さいけれどお洒落なビルです。

5)宇部線(続き) 小野田線 居能ー小野田(11.6km)、 雀田ー長門本山(2.3km)
 2日 目の1月2日(火)、まだ明けやらぬ宇部新川から出発です。前日は寄らなかった待合室を見ると、エ ヴァの登場人物が出迎えていました
 1番乗り場には、5時45分発の宇部行き始発列車が停まっています。前日と同じ105系電車2両 編成ですが、塗装が違っていました。先頭車はクハ104-14でした。
 改札口はまだ無人です。青春18きっぷに日付印を押してもらうため、発車前に運転士に声をかける と、「スタンプがないので駅で押してもらってください」とのこと。宇部駅に人がいるかと訪ねると、 「営業時間前です」とのこと。結局この日、スタンプが押せたのは9時前の新山口駅でした。
 出発 前に宇部新川の時刻表を撮影しま した。宇部線内はそこそこ列車がありますが、1時間以上空く時間帯もあります。「デー タで見るJR西日本2023」によると 宇 部線の2022年度の平均通過人員(輸送密度)は、 1日あたり2,037人と立派で す。それでも1987年度の5,568人と比べると36.5%に減っていま す。
 また冒頭に掲げた路線図を見てもらうと、宇部線は「地方交通線」ではなく、「幹線」になっていま す。これは貨物輸送が多かったことも影響しています。美祢線が幹線なのも同じ理由です。
 これ に対し、前日に乗った可部線の2022年度は平均通過人員は1万5,934人もあるのに、地方交通 線のままです。
 さて宇部には5時56分に到着。上の写真のようにまだ夜明け前です。6時23分発の列車で折り返 し、小野田線との分岐駅、居能まで戻ります。本当なら初めての路線は明るい時間帯に乗りたかったの で すが、宇部新川を優先しました。
 居能には6時32に到着。左の写真です。小野田線の列車はほとんどが宇部新川を発着しているた め、ここで降りる人は少ないようです。
 小野 田線の列車は、6時43分発の長門本山行きです。さっきの時刻表を見ると、小 野田線列車10本のうち、宇部新川6時39分発のこの列車だけが長門本山へ直通します。
 車両はクモハ123-2の1両です。クモハ123系電車は1986年から88年にかけて13両だ け造られました。以前は可部線で使われていましたが、1991年に宇部線、小野田線に移ってきまし た。
 宇部線、小野田線ともICOCAなどのICカードは使えないため、整理券、運賃箱が活躍するワン マン車両です。2扉のロングシートなので車内は広々としています。他に 乗っているのは、同好の士と思われる男性1人だけでした。
 雀田 から小野田線の支線に入り、7時3分、終着の長門本山に到着しました。車止めの前方には瀬戸内海が 見えます。道路沿いに電車を描いた壁画も見えます。 折り返しの7時9分発まで6分しかありませんが、絵を見に行ってきました。
 描かれているのは1930年代に製造された旧型電車クモハ42形で、雀田ー長門本山間では全国で 最後の2003年3月14日まで運行されており、全国から車両ファンが撮影に訪れていました。
 車止めの先の道路から駅を振り 返ったのが左の写真です。この日の宇部市の日の出時刻は7時20分だったので、まだ日の出前です が、夜明けの駅の風景は風情があって美しかったです。駅の入り口側から見たロングショットが、この ページの最初に掲げた写真に なります。
 さて7時9分発のこの列車が、長門本山の始発列車です。雀田で折り返してきて7時35分発の列車 になりますが、その後は18時37分発まで列車がありません。あたりの風景は開けており、住宅も いっぱい建っていますが、列車で訪問するのはなかなか難しい「秘境駅」と言えます。ホー ムの時刻表が読めるでしょ うか。
 長門 本山を7時9分に出発し、7時15分に雀田に到着しました。この駅は小野田線の本線と、長門本山へ 向かう支線のホームがV字型に設けられており、その間に駅舎があります。右の写真は本線ホームの居 能寄りから写しました。
 左に見えるのが今乗ってきた列車で、折り返しで7時22分の長門本山行きになります。右側は宇部 新川から7時17分着の小野田行き列車が到着したところです。何人かの鉄道ファンが長門本山行きに 乗り換えました。
 この小野田行きは宇部線と同じ105系電車の2両編成でした。
 急げ ばこの列車に乗ることもできましたが、今回は見送り、ゆっくりと雀田の駅舎を撮影しました。駅舎 は2018年8月1日に改装されたようで、真新しい感じでした。
 待合室は広く、大きな机があっ て学校の教室のような雰囲気でした。時刻表を見ると、各方面とも昼間時間帯の列車の少 なさが目立っています。
 駅の向かって左側、かつてトイレだったと思われる建物には「山口東京理科大学前の駅」と書 かれています。大学は駅の南、徒歩数分です。
 さて 小野田に向かう7時45分発の列車がやってきました。さっきは105系2両でしたが、この列車はク モハ123-5の1両です。列車の間隔が30分以内なのは、宇部新川方面の7時50分、8時0分 と、この列車だけです。
 宇部線とともにかつてはセメント輸送で賑わった小野田線ですが、2022年度の平均通過人員(輸 送密度)は、1日あたり371人で、宇部線の2,037人とは大きな差があります。まあこの数字は 雀田ー長門本山間も含まれているので、仕方ないのかもしれません。1987年度の1,471人と比 べると25%まで減っており、減少の度合いは宇部線よりも大きくなっています。
 雀田 の次の小野田港は大きな駅舎なのに閉 鎖されていて、廃虚感がありました。ホームから建物脇を通って直接道路へでる形式でした。ここでは5分も停車したのに、事前調べ が行き届いておらず、下車できなかったのが残念でした。
 そして8時5分、終点の小野田に到着しました。山陽本線にある山陽小野田市の代表駅なのに、改札 は簡易型の自動改札で、駅員はまだ不在でした。
 次は8時23分発の新山口行きに乗ります。


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