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今年 4月11日、JR西日本は「ロー カル線に関する課題認識と情報開示について」 と題して、管内で「輸送密度」(1日 1kmあたりの平均通過人員)が2000人未満の線区、いわゆるローカル線の実情を明らかにしました。 その中で、2020年度の輸送密度が最も低かったのは、芸備線の東城–備後落合間。わずか9人 と、驚きの一桁でした。2番目が木次(きすき)線の出雲横田–備後落合間で、18人でした。 芸備線はかつてのSL撮影地、また木次線の出雲横田–備後落合間には、3段式スイッチバックと ホームに湧く名水「延命水」で知られる出雲坂根駅があり、いずれも鉄道ファンには昔から有名な線区 でしたが、今回のJR西の発表で、両線は鉄道ファン以外の多くの人に知られることとなりました。 鳥取市に住んでいた約40年前、両線の沿線は何度も車で走りましたが、これまで乗車したことはあ りませんでした。山陰地方と山陽地方を結ぶ「陰陽連絡線」のひとつだった三江線は、乗りに行こうと 思っているうちに廃止されてしまいました。 木次線、芸備線も、この厳しいデータを見ると、いつまで存続できるかわかりません。このため、鉄 道開通150年の記念の年に、乗り放題パスを使って乗りに行くことにしました。 最初は観光列車「奥出雲おろち号」に乗ることを予定し、土日のスケジュールを組みました。 3連 休は避けて、15、16の土日を狙いましたが、「奥出雲おろち号」は全車指定で定員が64席しかな く、1か月前に買おうとしたところ、満席でとれませんでした。もちろんそれより早い日も満席で した。 このため、その後の普通列車に乗ることにしました。ところが「JTB時刻表」10月号を見ると、 宍道11:19発の列車は「第3日曜は宍道–木次間運休」となっています。それで10月9日に乗る ことにしました。
10月8日(土)は松江市に泊まりました。「奥出雲おろち号」に乗るなら、松江駅を9:02に出発し、宍道での乗り換えは6分しかありません。しかし宍 道が11:19発となったため、松江10:42発、宍道11:01着と余裕が出来ました。 「奥出雲おろち号」だと、沿線の駅で弁当の発売などがありますが、普通列車では期待はできませ ん。そのため、松江駅で駅弁を調達しておきました。伯備線の特急「やくも」の50周年を記念したカ ニ寿司がありました。「一文字屋」 さんです。 松江から宍道までの山陰線は、ワンマン運転の気動車2両編成。先頭車のキハ126-14は、名探 偵コナンのラッピング車両でした。 松江 を3分遅れの10:45発。宍道にも少し遅れて11:04?に到着。木次線の発車まで時間があるの で、外へ出て駅舎を撮影。宍道駅は石州瓦を載せた和風の駅でした。 ホームに戻ると、木次線の列車がちょうど入線してくるところでした。予想より多い、30人くらい が並んでいます。ほとんどが観光客、鉄道ファンと思われ、カメラを構えている人や、大きなスーツ ケースを引っ張っている人もいます。 列車は気動車2両編成。先頭はキハ126-14で、両運転台で半室がクロスシートのワンマン仕様 です。
宍道 は11:19発車。地元の方も乗ってきて、立ち客がいる混雑ぶり。まあ「奥出雲おろち号」が満席 だったことで、こういう状況は予想できました。 木次には11:53着。対向列車と行き違いとなり、7分停車です。対向列車は1両です。 木次は雲南市の中心市街地で、桜の名所としても知られています。2006年には車で桜を見に来たことがあります。 駅舎にも大きな桜のモザイク画があしらわれ、「桜とトロッコの町」として「おろち号」も描かれて います。木次駅は木次線の運行基地でもあります。 ホー ムには通常の駅名標のほか、「き♡(すき)」という駅名標があり、この駅名標を取り込んだ「ようこ そ木次線へ」という横断 幕も掲げられています。 木次線沿線は八岐大蛇(ヤマタノオロチ)伝説の地で、地元の専門学校生が描いた竜のイラストもあ りました。手作りで木次線を盛り上げようとする気持ちが伝わってきます。 木次 を12:00に出発。ここから本格的な山間部に入り、次の日登駅を過ぎると、線路の傾斜も急になり ます。列車の速度も落ち、「時速25キロ制限」の標識が現れるようになります。 この速度制限については、「線路を傷めないようにして保線の手間を省くためだ」との説や、「土砂 崩れなどが多いため、その場合にすぐ止まれる速度にしている」との説など、諸説あります。 次の下久野駅を出ると2,241mの下久野トンネルに入り、雲南市から奥出雲町に入ります。 亀嵩(かめだけ)駅は松本清張の「砂の器」に登場し、駅舎でそば屋が営業していることでも有名で す。予約しておけば「そば弁当」を受け取れるようです。下の左の写真は2006年に車で来て食べた 時のものです。 下の右は出雲横田駅で12:59着。出雲大社にちなんだ太い注連縄があり、全国的にも有名な駅舎 です。背後に見える黄色いラインの入った気動車が2両目のキハ120-3で、12分停車のこの駅 で切り離しとなります。