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★ 木次線と芸備線の旅(2022年10月9日)
(その1)

<出雲坂根駅で行き違う「奥出雲おろち号」と、備後落合行き気動車。iPhoneの超広角なので、DE10形 機関車が長い!

1)JR西日本で一番のローカル線
 今年 4月11日、JR西日本は「ロー カル線に関する課題認識と情報開示について」 と題して、管内で「輸送密度」(1日 1kmあたりの平均通過人員)が2000人未満の線区、いわゆるローカル線の実情を明らかにしました
 その中で、2020年度の輸送密度が最も低かったのは、芸備線の東城–備後落合間。わずか9人 と、驚きの一桁でした。2番目が木次(きすき)線の出雲横田–備後落合間で、18人でした。
 芸備線はかつてのSL撮影地、また木次線の出雲横田–備後落合間には、3段式スイッチバックと ホームに湧く名水「延命水」で知られる出雲坂根駅があり、いずれも鉄道ファンには昔から有名な線区 でしたが、今回のJR西の発表で、両線は鉄道ファン以外の多くの人に知られることとなりました。

 鳥取市に住んでいた約40年前、両線の沿線は何度も車で走りましたが、これまで乗車したことはあ りませんでした。山陰地方と山陽地方を結ぶ「陰陽連絡線」のひとつだった三江線は、乗りに行こうと 思っているうちに廃止されてしまいました。
 木次線、芸備線も、この厳しいデータを見ると、いつまで存続できるかわかりません。このため、鉄 道開通150年の記念の年に、乗り放題パスを使って乗りに行くことにしました。

 最初は観光列車「奥出雲おろち号」に乗ることを予定し、土日のスケジュールを組みました。
 3連 休は避けて、15、16の土日を狙いましたが、「奥出雲おろち号」は全車指定で定員が64席しかな く、1か月前に買おうとしたところ、満席でとれませんでした。もちろんそれより早い日も満席で した。
 このため、その後の普通列車に乗ることにしました。ところが「JTB時刻表」10月号を見ると、 宍道11:19発の列車は「第3日曜は宍道–木次間運休」となっています。それで10月9日に乗る ことにしました。
2)「コ ナン君列車」で出発
 10月8日(土)は松江市に泊まりました。「奥出雲おろち号」に乗るなら、松江駅を9:02に出発し、宍道での乗り換えは6分しかありません。しかし宍 道が11:19発となったため、松江10:42発、宍道11:01着と余裕が出来ました。
 「奥出雲おろち号」だと、沿線の駅で弁当の発売などがありますが、普通列車では期待はできませ ん。そのため、松江駅で駅弁を調達しておきました。伯備線の特急「やくも」の50周年を記念したカ ニ寿司がありました。「一文字屋」 さんです。
 松江から宍道までの山陰線は、ワンマン運転の気動車2両編成。先頭車のキハ126-14は、名探 偵コナンのラッピング車両でした。

 松江 を3分遅れの10:45発。宍道にも少し遅れて11:04?に到着。木次線の発車まで時間があるの で、外へ出て駅舎を撮影。宍道駅は石州瓦を載せた和風の駅でした。

 ホームに戻ると、木次線の列車がちょうど入線してくるところでした。予想より多い、30人くらい が並んでいます。ほとんどが観光客、鉄道ファンと思われ、カメラを構えている人や、大きなスーツ ケースを引っ張っている人もいます。
 列車は気動車2両編成。先頭はキハ126-14で、両運転台で半室がクロスシートのワンマン仕様 です。
3)ようこそ 「き♡線」へ
 宍道 は11:19発車。地元の方も乗ってきて、立ち客がいる混雑ぶり。まあ「奥出雲おろち号」が満席 だったことで、こういう状況は予想できました。
 木次には11:53着。対向列車と行き違いとなり、7分停車です。対向列車は1両です。
 木次は雲南市の中心市街地で、桜の名所としても知られています。2006年には車で桜を見に来たことがあります。
 駅舎にも大きな桜のモザイク画があしらわれ、「桜とトロッコの町」として「おろち号」も描かれて います。木次駅は木次線の運行基地でもあります。
 ホー ムには通常の駅名標のほか、「き♡(すき)」という駅名標があり、この駅名標を取り込んだ「ようこ そ木次線へ」という横断 幕も掲げられています。
 木次線沿線は八岐大蛇(ヤマタノオロチ)伝説の地で、地元の専門学校生が描いた竜のイラストもあ りました。手作りで木次線を盛り上げようとする気持ちが伝わってきます。
 木次 を12:00に出発。ここから本格的な山間部に入り、次の日登駅を過ぎると、線路の傾斜も急になり ます。列車の速度も落ち、「時速25キロ制限」の標識が現れるようになります。
 この速度制限については、「線路を傷めないようにして保線の手間を省くためだ」との説や、「土砂 崩れなどが多いため、その場合にすぐ止まれる速度にしている」との説など、諸説あります。
 次の下久野駅を出ると2,241mの下久野トンネルに入り、雲南市から奥出雲町に入ります。
 亀嵩(かめだけ)駅は松本清張の「砂の器」に登場し、駅舎でそば屋が営業していることでも有名で す。予約しておけば「そば弁当」を受け取れるようです。下の左の写真は2006年に車で来て食べた 時のものです。
 下の右は出雲横田駅で12:59着。出雲大社にちなんだ太い注連縄があり、全国的にも有名な駅舎 です。背後に見える黄色いラインの入った気動車が2両目のキハ120-3で、12分停車のこの駅 で切り離しとなります。
4)様変わりし た「延命水」の駅
 出雲 横田を13:11発。1両になったので、車内はさらに立ち客が増えました。そして13:32に出雲 坂根に到着。上の写真のように相対式2面2線の構内に大きな駅舎があり、横に東屋があって人が集 まっています。
 停車中の気動車の向こうには、国道314号線の「奥出雲おろちループ」のひとつ、赤い三井野大橋 が見えます。

 2006年に訪問した時は、下の左の写真のように古い小さな駅舎でした。それが下の右のように大 きな駅舎になっています。2009年10月新築のようです。立派な駅舎ですが、無人駅です。駅名の ほか、「奥出雲延命水の館」という看板も掲げられています。駅舎内の様子は確認できませんでした。 国道に立つ駅の案内標識は2006年にもありました。
 標識にも描かれている「延命水」は、2006年当時は上の写真の駅舎側ホームの階段を下りたあた りにありました。現在は東屋の中に移動しています。
 右が 現在の「延命水」。ひしゃくの代わりに紙コップが置いてありました。タヌキは左の写真の2006年 当時と同じもののようです。
 「延命の水由来」の説明版は、少し離れた場所に 建っていました。これも以前と同じものですが、文字はかすれ、屋根はボロ ボロでした。
4)超満員でス イッチバック

 左は「地理院地図」の出雲坂根駅付近。右は2006年訪問時に駅に掲示してあった古い地図です。
 そも そも、スイッチバックとはどういうものなのか。駅に降り立っても、あまり実感できません。
 上の右側、古い地図には出雲坂根駅の標高が、1センチ単位で564.583m、三井野原駅が 731.413mと記されています。両駅間は直線距離では約1.3kmしか離れていません。標高差 約167mを一気に登ると、傾斜が急すぎるため、スイッチバックで距離をかせぎ、傾斜を緩くしてい るわけです。
 駅間の距離は6.4kmで、平均の傾斜は26パーミルとなり、一般的な鉄道の限界といわれる30 パーミル以内になんとか納まっています。
 左の写真は2006年訪問時に望遠レンズで撮影したもので、左側が宍道方面への下り坂、右側がス イッチバック2段目の登り坂になります。駅の部分は平坦ですが、分岐後の急傾斜がわかるでしょう か。
 出雲 坂根では18分の停車で、三井野原から降りてくる「奥出雲おろち号」と行き違います。定刻より少し 遅れ、「おろち号」がやってきました。左の写真では傾斜があまりわかりません。
 そして「おろち号」がホームに停車しました。iPhoneの超広角でも先頭が切れてしまいまし た。もう少し後ろから撮影したかったんですが、遅れていたため発車時刻が気になり、これであきらめ ました。


 さて 満員の乗客を載せて、備後落合行き気動車が出発しました。スイッチバックの二段目を登ります。前面 は写真をとる人たちでいっぱい。なんとか写したのが左の写真。これから右側へ進みます。 
 踏み切りに写真を撮っている男の子がいますが、列車が来ているのに踏切内に立ち入るため、出雲坂 駅のホームにいる駅員が何度もマイクで注意していました。
 二段目を進んで止まると、運転士が満員の車内を通って反対側に移ります。反対側の前面もすでに人 がいっぱいで、写せませんでした。
 スイッチバックの三段目は上の 地形図や古い絵地図のように、9か所のトンネルをくぐりながら、地形に沿ってゆっくり登っていきま す。登り出してすぐに右側に二段目の線路が見え、その後、右下の樹木の間に出雲坂根駅が見えるので すが、うまく写せませんでした。
 やがていくつかのトンネルを抜けると、右手に国道314号線の「奥出雲おろちループ」が見えま す。全国でも珍しい二重ループですが、全容はわかりにくいです。最後に見える赤いアーチ橋「三井野 大 橋」は、全長392mです。
 「奥出雲おろちループ」は1992年4月23日に開通しており、全体の区間長が2,360m、標 高差が105mです。全容は途中の展望台にあった左の写真でよくわかります。「日本 一の雄大な二重ループです」という説明版もあ りました。
 最後 に2006年の訪問時に出雲坂根駅にあったスイッチバックの解説を掲げておきます。よくわかる説明 です。これも標高は1センチ単位ですが、三井野原駅の標高が、726.081mになっており、先の 絵地図よりも5mあまり低くなっています。こちらのほうが信憑性は高そうです。ただし、「デー タで 見るJR西日本2022」によると、三 井野原駅はJR西日本管内で最も標高の高 い駅で、その高さは 726.81mとなっています。
 もう1枚、木次 線と延命水にも触れた説明書もありました。
 さて予定より2分ほど遅れ、14:10ごろ、三井野原に到着しました。




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