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海外の短波放送を受信して楽しむBCL (Broadcasting Listening)が
大きなブームとなっていた1970年代後半には、ソニーの「スカイセンサー」やナショナルの「クーガ」
などの大きなラジオが次々と発売されていました。
その後、ソニーが1977年7月に発売したICF-7600は、「カッパブックスサイズ」という
キャッチフレーズで、海外で活躍するビジネスマン向けにコンパクトさをアピールしていました。上に集めた4台は、いずれもその流れにあります。ソニーでは
「ワー
ルドバンドレシーバー」と呼んでおり、左の写真のラジオ、1982年3月発売のICF-7600Aには「マルチバンドレシーバー」と表示されています。
上の写真には並んでいませんが、カセットケースサイズにこだわったICF-SW1も、 この仲間で
す。そしてこの種のラジオはICF-SW1のようにデジタルでダイレクトに周波数を打ち込んで選局する
のが便利なんですが、ダイヤルを回して周波数表示の指標を動かすアナログ選局も、不便なりの楽しさがあ
ります。 まあ、趣味なんだから、不便さも楽しめるわけです。ここではそんな機種を紹介します。
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ICF-7600AはICF-7600の改良型で、短波が5バンドから7バンドに広がり、電源オフのスイッチに
ロックが付きました。サイズは幅179mm、高さ117mm、奥行き31mm、重さ600g(単3電池
4本含む)です。1982年6月のカタログで
は、在庫僅少のマークのついたICF-7600と並んで紹介されています。ボディサイズや操作ボタンの大きさに比べ、周波数の表示は窮屈そうです。
右は1984年発売のICF-4900。
7600Aと同じ短波7バンドですが、幅144mm、高さ76mm、奥行き24.5mm、重さ
245g(単3電池2本含む)とコンパクトになりました。それなのに周波数はゆったりと表示され、短波で良く聞くNSB(当時のラジオたんぱ。現在はラジ
オNIKKEI)が黄色 と赤色で目立っています。デザインも洗練され、FM、MW、SW切替
スイッチの色分けはカラフルでお洒落です。LEDランプもついて見分けやすくなりま
した。ボリュームも使いにくいスライドスイッチではなく、ボディ左のダイヤルにな
りました。辻本はこの機種が一番好きです。
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左は1989年4月発売のICF-SW20。サイズはさらに小
さくなり、幅116.5mm、高さ72.5mm、奥行き28mm、重さ203g(単3電池2本含む)
と、
ICF-SW1と同じくカセットケースサイズです。ワールドバンドレシーバーの中では末弟ですが、携帯に
便利で1万2800円と比較的安く、よく聞こえ
るため、人気を集めました。93年9月にはICF-SW22、2009年3月にはICF-SW23とマ
イナーチェンジを経て、最近まで作られていました。
短波を聞くためのラジオなんですが、安いコンパクトラジオと比べるとFMもAMも格段によく聞こえる
ので、日常使いできます。写真でわかるようにこれらのラジオはFMが76MHzから108MHzまでの
ワイドバンドになっています。当時はテレビの1-3チャンネルの音声が聞こえたのですが、今は地デジに
なったため聞こえません。その代わり、2014年末から始まったAM放送局のFM補完放送が受信できま
す。神戸では毎日放送(90.6)、ラジオ関西(91.1)、ラジオ大阪(91.9)、朝日放送
(93.3)が聞こえます。
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右は1987年4月発売のICF-7600DA。デジタル選局
なのにアナログの表示板も持ったハイブリッド機です。選局ダイヤルを回すと上の周波数表示が変わり、下
のパネルにある黒い横線も上下します。リニ
アに動くのではなく、ちょっとカクカクと動くのがご愛敬です。こういう大きな液晶表示はノイズの発生源になるので無駄だという意見もありますが、こういう
遊び心は嫌いではありません。ただ周波数の数字が小さいですね。また本当は選択した受信バンドの上に、
黒いマークが付くのですが、この機種では短波の一部にしか出てきません。プリセットもFM、中波・長
波、短波各5局と少なく、人気機種とはならなかったようです。サイズは幅
191.5mm、高さ117mm、奥行き31.5mm、重さ607g (単3電池4本含む)で、
7600Aとほぼ同じです。
手元に1989年4月のワールドバンドレシーバー総合カタログが残っています(表紙、2-3、4-5、6-7、8-9、10-11、裏表紙)。
ICF-SW20とICF-7600DAは6-7ページ、各機種のスペックは
10-11ページに載っています。
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