OLYMPUS μ(ミュー)

オリンパスの35ミリシリーズXAシリーズに続く、第三世代で、
XAに勝るとも劣らない傑作コンパクトカメラ。
いや、古今東西のカメラの長い歴史の中でも、
スタイルが美しいという点では、ピカイチではないか、とも思えるカメラです。

XAの伝統を受け継ぎ、前面のスライドバリアは、
閉じるとファインダーはもちろん、ストロボ発光部も隠してしまい、
そのままバッグに放り込むことが可能です。

そしてその美しい曲線、というか曲面。
持ったときに指が引っかかる部分にゴムなどを使うことなく、
曲面の盛り上がりだけで、うまく指がかりを作っています。

1991年3月の発売で、ロングセラーとなっていましたが、
現在ではμ-IIに、そのポジションを譲りました。
でも、デザイン的にはこちらのほうが優れていると思います。
オリジナルの強みでしょうか。
比べてみると、μの美しさがよくわかります。
上がμ、下がμ-II。右はスライドバリアを開けた状態 です。
μはかなり小さいのですが、μ-IIはさらにコンパクト です。
正面から見ると、ともにそれほど驚くスタイルではありません。
特徴が良く出ているのは、上から見た場合です。



μμ-IIの大きな違いは、左手がひっかかる部分の処 理です。
μ-IIがつるんと流しているのに、μはここにも顕著な ひっかかりを作り、
デザイン上の目立つ特徴になっています。
このため、上から見ると、靴を横から見たような形に見えます。
日付を入れるデート表示の窓を、背面ではなく上部に持ってきたのも、
μの特徴でしたが、μ-IIではまた背面に戻っていま す。

こんな美しいμでしたが、スペック的にはひとつだけ不満がありました。
それはシャッター速度の下限が15分の1秒までということです。
これでは夜景や、夜景をバックにしたスローシンクロ撮影が不可能です。
もちろん、手持ち撮影が基本のコンパクトカメラにとって、
これ以上のスローシャッターは手ぶれが必至なために、
あえて設けなかったのかもしれませんが、
ユーザーにとっては、
ブレるかもしれないが、いちおう写せるというのと、
はじめから写せないというのは大きな違いがあります。

それでも、μは酷使に耐えてくれました。
さすがに疲れが見えてきたので、μ-IIも買いましたが、
これからも手元に置いておきたい1台です。

μ-IIは、4秒までのスローシャッターが可能になり、
さらに日常生活防水機能まで加わりました。
あいかわらず、単焦点のカメラとしては良い出来です。
でも辻本としては、
μのボディーにμ-IIの機能を盛り込んだカメラが欲し かったと、
思ってしまうのです。

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