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 Sバーンでチューリッヒ の駅めぐり(後編)
Stadelhofen >  Altstetten > Enge  
 Saalsporthalle > Giesshübel  


Zürcher Verkehrsverbund(S-Bahn Zürich )
チューリッヒ交通ネットワーク
(チューリッヒのSバーン)
(2011/08/12)



(ホームの広いEnge駅に到着したオール二階建てのS8系統の近郊線電車)

(前編はこちら)
 前編に掲載したSバーンの系統図(中心部)と、今回通ったルート図を再掲しておきます。
 上の地図がSバーン系統図の中心部。 今回乗ったルートを箇条書きすると以下の通りです。
1)Stadelhofen -Dietlikon
2)Dietlikon - Oerlikon
3)Oerlikon -Schwerzenbach ZH
4)Schwerzenbach ZH - Stadelhofen
5)Stadelhofen - Altstetten
6)Altstetten - Zürich HB
7)Zürich HB - Enge
番外 Enge -(トラム)- Saarsporthalle
8)Saarsporthalle - Giesshübel
貨物列車が似合うス イスの吹田駅?―Altstetten駅
 シュタデルホーフェン駅での寄り道は 10分間。次は14:08発のS12系統でアルトシュテッテンへ向かいます。
 ガラス屋根の同駅は明るいので表示板も見やすいです。屋根と空がきれいに映り込んでいます
 シュタデルホーフェン駅を発車するとすぐにトンネルに入り、中央駅の地下ホームへ。中央駅を過ぎて地上に出ると、そこ には線路が何本も並んでいます。
 乗車時間12分で到着したアルシュ テッテンの駅舎はビルの1階でした。上は集合住宅のような感じです。
 中央駅からこの駅までの間は、かつての操車場で、いまは客車の車両基地や列車のメンテナンス施設があ ります。
 そのため駅前広場は明るくて大きな樹木もあるのですが、周囲には工業地帯のムードが漂っています。



 北のエリコンと同様、西へ向かう大幹線の途中なので、長距離旅客列車や、Re4/4 II型の重連が引く貨物列車が次々と通り過ぎていきます。

 左の写真は翌日、チューリッヒ空港を飛び立った飛行機から見下ろした風景。手前に島式ホームが並んで いるのがアルトシュテッテン駅、正面突き当たりがチューリッヒ中央駅です。
 この写真は配線がよくわかるので、大きいサイズも入 れておきます(別窓で開きます)。中央駅の手前、白く輝く列車の左側に、シュタデルホーフェン駅方面へ向かう地下ホームへのトンネルの入口が見えます。
 中央左側の高層ビルの右にあるのがHardbrücke(ハルトブリュッケ)駅。その名のとおり、橋の下にあります。 その向こう、線路をまたいで画面の左の方へ延びているのが、エリコン駅方面へ向かう線路です。エリコン駅方面へはもうひ とつ、ハルトブリュッケ駅の手前からも画面の左に延びる線路があります。
 さらに現在、写真の手前側、アルトシュテッテンより西側方面からの電車や、画面の右側、南からの電車が中央駅で折り返 す ことなく、エリコン方面へ直通できるよう、中央駅の地下に新たなホームが建設中です。中央駅を通り抜けると地下で大きく 左へカーブを切り、エリコンに向かうわけです。SBBの「Zurich Cross - City Link」というプロジェクトページを見ると、中央駅からエリコン駅までは 2014年の中頃、アルシュテッテン駅から中央駅までは2015年の完成のようです。ドイツ語しかありませんが、こ のページには地図が載っていてわかりやすいです。
 次の目的地はエンゲ駅ですが、アルト シュテッテン駅から直行する系統はないので、S15系統で中央駅へ向かい、乗り換えです。
 アルシュテッテン駅からのS15系統は中央駅の地下ホームに着きます。エンゲ駅方面へは地上ホームからの出発になりま す。このため表示板で何番線から出るのかを確認します。
 上が中央駅の発車表示板。さすがに他 の駅とは格が違いますね。
 左は中央部を拡大したところ。上から4つめ、14:44発のS8系統に「Enge」の文字が見えま す。「52番線」であと5分。急がないと!
 中央駅の51番ホームから54番ホー ムは、駅の中心からは離れているのです。通称「中央郵便局駅」とも呼ばれたりしているくらいです。
 2002年、初めてスイスに来た時、空港駅から中央駅に着いた列車が停まったのが53番ホームでし た。ここには思い入れがあります。
 奥に二階建て電車が見えています。あれでしょう。
まるで古代ローマの 神殿?それとも両国駅?― Enge駅
 シュタデ ルホーフェン駅とともに、エンゲ駅に行きたかったのは、地図で見たその形に興味をひかれたからです。
 地図の左下、赤く塗った「く」の字型をした建物がエンゲ駅舎です。右端に同じく赤く塗ったシュタデル ホーフェン駅舎と比べると、その大きさがわかります。駅前も広場になっているようだし、どんな立派な駅 なんだろうと思ったわけです。
 到着したときの写真は、このページの最初に掲げた写真です。ホームもゆったりと広く、立派です。


 外に出てみると圧倒される存在感でした。大きすぎて、全景をうまく収めることができません。駅前のトラムと比べて、駅 舎の大きさを想像してみてください。正面の屋根に掲げられた時計も凝っています。
 エンゲ駅の開業は、1875年9月20日、スイス北東鉄道によるチューリッヒから湖の西岸に沿って南東へ向かい、 Ziegelbrücke(ツィーゲルブリュッケ)からNäfels(ネーフェルス)に至る路線が開通した時です。この 時の路線は現在より湖に近い位置(上の地図では駅と湖との間の広い道路の位置)を走っており、駅はも少し南東側にありま した。1927年3月1日に、駅の両側がトンネルになった現在の路線が開通しました。
 この時の完成したのが現在の駅舎です。英語版ウィキペディアによると、駅舎はティチーノ地方の花崗岩を使って建てられ ており、そのことから駅前広場はテッシーナ広場と名付けられたそうです。駅を建てた建築家はOtto PfisterとWerner Pfisterの兄弟で、2人はドイツ・シュツットガルト中央駅のファサードを参考にしたとされています。
 確かに角柱のジャイアントオーダーが並ぶところは似ていますが、シュツットガルト中央駅は直線であり、カーブしたエン ゲ駅とは印象は全く違います。
 駅舎の中はこんな風に店が並んでいま す。天井が明かり取りになっているので、外観から想像する暗さはありません。なぜかミゼットのような三 輪車が停まっています。
 ただ、人通りは少ないですね。シュタデルホーフェン駅と同様に市街地中心部からはそれほど離れていな いのに、ずいぶん場末の雰囲気がしています。
 その原因のひとつは、2003年6月6日、駅の西側を通るZimmerberg-ベーストンネル(9,478mと 9,419m)が開通し、長距離列車のほとんどがトンネルを通り、エンゲ駅を通らなくなったためでしょう。
 このページのトップに掲げた写真を見ると、ホームの立派さは、長距離列車にこそ似合いそうです。壮大な駅舎と、長距離 列車が通らなくなったことなど、どこか東京の両国駅に似ているかもしれません。
 駅舎の北側は、トラムが通る広い道路 に面しており、こちら側にも時計塔のある第二のファサードがあります。
 こちらは鎧戸をつけた縦長の窓がいくつも並び、学校か修道院のような雰囲気です。
 道路は線路をまたぐ跨線橋になっており、駅前広場からはかなり急な坂道になっています。こちら側の入 口からは階段をおりてコンコースに向かう形になっています。
 跨線橋から見下ろしたエンゲ駅のホームです。対向型の2面2線 です。駅舎と向かい合ったホームも広いです。
 ただ、ツィンマーベルク・ベーストンネルが出来るまでは西側(写真では右側)のホームは島式ホーム で、写真の右側に3本目の線路が通っていたそうです。トンネル開通後に線路は外されました。
 線路は減りましたが、現在、Sバーン はS2、S8、S21、S24と4系統も通っているので、次々と列車がやってきました。

 左の写真はグーグルマップの航空写真です。最近グーグルマップの写真は拡大すると斜めに見た写真が増 えてきているので、建物の形がよくわかって面白いです。この写真もエンゲ駅のユニークな形状や、トラム が駅前広場から急カーブを曲がって跨線橋のほうへ登っていこうとしている様子がよく見て取れます。
 駅前の電停をはさんで広がる広場の造りもユニークです。
通勤路線のアルマジ ロ列車― Saalsporthalle駅とGiesshübel駅
 エンゲ駅の次は、SZUのユトリベルク線とジールタール線が分岐するGiesshübel(ギースヒューベル)駅を見に行こうと思いました。エンゲ駅か らわりと近くです。ただジールタール線も少しでも乗ってみたかったので、よりエンゲ駅に近いジールタール線の Saalsporthalle(ザールシュポルトハーレ)駅をめざすことにしました。
 これは街角にあった地図です。右上隅がエンゲ駅。中央下の青い建物がsporthalle、つまりスポーツホールのよ うです。
 「Saalsporthalle」の 文字の右側の黒丸が鉄道駅の位置、上の黒丸はトラムの停留所です。そして鉄道駅の右側にある Sihlcityという大きな建物は、イオンのようなショッピングモールです。
 駅は高架上に対向型のホームがあるだけの簡素な造りです。左側に見える大きな建物がSihlcity です。その右側にはSihl川が流れているのですが、現在は上に高速道路がかぶさっています。
 列車を待っていると、反対側の車線に面白い列車がやってきました。
 赤い機関車が客車3両を押していますが、真ん中の2両は二階建て車両で、背丈が機関車よりもずいぶん高いため、全体が 凸型をしています。背中が丸いこともあって、まるでアルマジロのような雰囲気です。
 二階建て車両の形は、このページの トップに掲げた国鉄の二階建て電車の中間車両と似ています。塗装が違うので全く違う車両に見えますが、 同じタイプなのかもしれません。

 チューリッヒ中央駅行きの列車も同じタイプでした。15:24発の列車に乗り込みます。次のギース ヒューベル駅まではわずか640mなのであっという間です。いちおうダイヤ上は2分後の到着です。
 到着したギースヒューベル駅は片面だ けのホームが1面あるだけ。線路は複線ですが向かい側にホームはありません。ブルーの駅名表示が取り付 けられているので、この建物が駅舎でしょうか。外へ出てこの建物の前に行ってみましたが、駅舎らしい感 じはしませんでした。
 見えている線路のうち、右へ延びている手前の2本がチューリッヒ中央駅方面。前方へ分かれているのは Wiedikon駅へ延びる貨物線です。
 ユトリベルク線の電車が通り過ぎていきました。ユトリベルク線 のことを書いたページで、「途中のギースヒューベルまでは(ジールタール線と)同じ線路を走ります」と 書きましたが、ギースヒューベル駅にはユトリベルク線のためのホームはないので、上の文章は厳密に言う と正確ではありません。
 ギースヒューベル駅があるのはジールタール線だけです。
 両路線が分かれていく間の部分は車両基地でしょうか、多くの引き込み線があります。そちらに目をやると、またあいつが いました。
 今度は二階建て車両が1両だけで、よりいっそう尻尾がのびたアルマジロに似ていると思えました。愛嬌がある列車です。
エピローグ―美術館で思わぬ出会い
 これで「Sバーンの駅めぐり」は終了です。ギースヒューベル駅からジール川に沿って少し南へ歩 き、トラムに乗って中央駅方面へ向かい、買い物していた妻と合流。まず中央駅北側の国立博物館へ。閉館までの1時間で駆 け足の見学。次にまたトラムに乗って市立美術館へ。こちらは閉館までまだ時間があったので、ゆっくり見学することができ ました。
 ジャコメッティの彫刻や、印象派の絵 画、特にシャガールの多数のコレクションなどを楽しく眺めて、出口に近づいた部屋に、この絵が掛かって いました。
 2005年の「ゴッ タルド線の旅」の 時、ルツェルンの交通博物館のトンネル・ショーの中、アルフレッド・エッシャーの執務室に掛けられていたとして紹介したあの絵です。本物はここにあったん ですね。
 改めて「The Swiss Railway Saga」の説明文(拙訳)を載せておきます。
 「たぶん最もよく知られているアルプスの郵便馬車の絵は、Rudolf Kollerによって描かれた。御者は五頭立て馬車を巧みに操り、(ゴッタルド峠の南側の)トレモラの急カーブをフルスピードで駆け下りる。ゴッタルド・ トンネルが開通する前、ヨーロッパ中から来た旅行者がこんな旅を続けていた」
 鉄道に乗り続けた今回の旅の一番最後に、鉄道開通以前を描いた絵に出会ったことは、忘れられない思い出になりました。
2013.10.02追記】「参考文献」のページにも紹 介した「観光大国スイスの誕生」で、この絵が紹介されており、「1873年、スイス北部鉄道(NOB)の依頼を受けて描 いたもので、この会社の創業者アルフレード・エッシャーに捧げられた」と書かれていました。つまり交通博物館のエッ シャー執務室は、本当に忠実な再現だったのです。



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