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 チューリッヒから見るユングフラウ
Zürich
> Uetliberg (SZU)     Zürich Römerhof > Zürich Dolder (Db)
Sihltal Zürich Uetliberg Bahn
ジールタール・チューリッヒ・ユトリベルク鉄道
ユトリベルク線(2011/08/10)
Dolderbahn ドルダー鉄道
(2011/08/12)


(夕暮れのUetliberg駅に到着したSZUのBe556型電車)

大都会にある「登 山鉄道」
 人口約39万人、スイス最大の都市チューリッヒに登山鉄道があるというと、驚く人もいるでしょう。でも、本当なんで す。上の左の写真はチューリッヒ中央駅に近いホテルから西南の方角を眺めたところ。正面に見える山が Uetliberg(ユ トリベルク)山です。標高869mで、チューリッヒ市内の最高峰です。
 上の右の写真は頂上付近の拡大。右はアンテナですが、左側の建物の隣りにある鉄塔は展望台です。この山頂近くまで、中 央駅から鉄道が延びています。
 赤いラインがその鉄道。Sihltal Zürich Uetliberg Bahn(ジールタール・チューリッヒ・ ユトリベルク鉄道=SZU)のユトリベルク線です。標高395.9mのチューリッヒ中央駅から、812.8mのユトリベ ルク駅まで、10.36kmで416.9m登ります。最急勾配は79パーミルなので、ラックレールは使いません。
 中央駅では地下の1、2番線から発車し、しばらく地下を走ります。現在は近郊線のS10系統として運行されており、所 要時間は約20分です。
 SZUにはこの路線のほか、ジール川沿いにジールブルックへ向かう「ジールタール線」もあり、途中の Giesshübel(ギースヒューベル)までは同じ線路を走ります。上の地図でいうと、中央部の上よりにある中央駅を 出た路線が南下し、大きく西へカーブする地点がギースヒューベルになります。

 出発前にユトリベルクのことを調べていると、ここからユングフラウが見えるという記述がありました。チューリッヒから ユングフラウまでは直線で約100キロ。もちろん市街地からは見えません。本当に見えるのでしょうか。
美 しい展望塔」から見る美しい風景
 最初の計画では、8月12日のチューリッヒ市内乗り回しの日に、ユトリベルク線も乗るつもりでし た。しかし、8月10日(水)、コンスタンツから18時ごろにチューリッヒに戻り、ホテルで休憩していると、妻が「今か らでも行けるんじゃない」と言い出しました。
 ユトリベルク線は1時間に1本。調べてみると中央駅20:05発だと、なんとか日没までに間に合いそうです。時刻をみ るとあとわずか。駅まで駆け足で向かいました。
 幸い、ユトリベルク線の乗り場、地下の1、2番ホームは、一番ホテル寄りでした。駅の手前の階段から地下に降り、迷う ことなくホームに到着。乗り込むとすぐに発車でした。そのため、電車の観察は後回しになりました。
 乗客は少なめで、帰宅ラッシュなどはなさそうです。しばらくは住宅街を走り、途中からマウンテンバイクの男の子が乗り 込んできました。混んでいないので大丈夫です。
 Triemli 駅を過ぎると周囲の景色は山の中になりました。そして20:25に終点、ユトリベルク駅に到着です。マ ウンテンバイクの男の子は、ここから自転車で山を下っていくようです。


 駅の建物には「814m」との表示がありますが、データ本「Bahnprofil Schweiz」2010年版によると、標高は上にも書いたように812.8mです。いずれにせよ、上の左の地図のように、駅から山頂までは少し歩く必要 があります。山頂部までは標高差50数m。帰りの電車は21:06発で、あと40分しかありません。
 とりあえず、到着した列車の写真だけ 撮って出発しました。このページのトップに掲げた写真が全景。3両編成です。
 左の写真はややアップ。中央の車両のところだけ、日本のようにホームが高くなっています。
 この写真の手前側に駅の建物があります。
 駅から頂上へ向かう道の脇には、動物のような(鹿?)変な像が建っていたりするのですが、写真を撮る時間も惜しく、と にかく展望台へと急ぎました。

 左の写真が展望台のある鉄塔の全景。降りてきてから撮影したので、すっかり暗くなっています。中央の 出っ張っているところが展望台です。
 上の写真は展望台へ上る階段の登り口にあった看板です。展望台の名前は「UTO KULM」で、1990年に完成したようです。
 また塔の高さは70mですが、展望台の位置は高さ30mにあり、展望台の標高は900mになるとの説 明が書かれています。
 中央には「スイスで最も美しい展望塔」との宣伝文句があり、そのしたのロゴは塔を建てた会社の名前の ようです。
 【5月11日・訂正】「UTO KULM」は、左の写真にも写っているホテル・レストランの名前のようです。塔もセットなのかな。
 まず、東側のチューリッヒ市街地のほうを眺めました。
 夕陽に照らされた市街地が美しく見渡せます。ただ、夕暮れでスローシャッターになったことと、展望台の階段を急いで 上って息が切れていたこともあり、この写真はブレブレでした。中心部の4つの教会の尖塔もしっかり見分けられたので、上 手に写せていたら、きれいな写真になったのにと残念です。

 そして問題のユングフラウの方向、南南西に目を向けました。
 見えました!。手前の黒い山の背後に、特徴あるピラミッド型の雪山が、夕陽を受けて輝いていました。間違いなくユング フラウ(4,158m)です。
 アップにするとこんな感じです。ユン グフラウの左には、メンヒ(4,107m)とアイガー(3,970m)が重なっています。「左にアイ ガー、中央にメンヒ」というのが3山の定位置ですが、チューリッヒから見ると、メンヒの山頂より、手前 のアイガーが右側に見えます。
 ユングフラウ3山のほかにも、ティトリス(3,238m)らしき雪山も見えました。夕方だと、夕陽のあたった高山の頂 が見分けやすくなるのではないかと考えていましたが、その通りになりました。
アンバランスなパン タグラフ
 眺望に満足し、急いで駅へ戻りました。改めて列車を観察しました。
 駅に到着 したときは、急いでいたので逆光で写しましたが、今度は西側、順光です。上の写真で、特徴のあるパンタ グラフの様子がわかるでしょうか。一番手前のパンタグラフが畳まれているので、少しわかりにくいです が、左の写真だとどうでしょう。
 パンタグラフが屋根の中央でなく、片側の端に張り出すように付いていることがわかるでしょう。一番上 の反対側の写真も見比べて下さい。
 実はユトリベルク線は直流1200ボルトですが、ジールタール線は交流1万5000ボルト。チュー リッヒ中央駅からギースヒューベルまでは両方の架線が張られており、ジールタール線の列車は通常通りの 中央の架線。ユトリベルク線は端に寄った架線と使い分けているのです。

 ユトリベルク線は1875年5月12日、Zürich Selnau(チューリッヒ・セルナウ)駅からユトリベルクまで、ユトリベルク鉄道として開通しました。セルナウ駅は中央駅とは離れていたため、1990 年5月5日に地下化して中央駅に乗り入れました。
 一方、ジールタール線は1892年8月3日にギースヒューベルから、ジールブルックの手前のSihlwaldまで、 ジールタール鉄道として開通。1897年6月1日にジールブルックに達しました。両社は1973年1月1日に合併して SZUとなりましたが、電化方式の違いはそのまま持ち越されたのでした。
 ちなみにこのBe556型電車は1992年から93年にかけて8両が造られています。写真の電車は、ユトリベルク寄り が525号機、チューリッヒ寄りが525号機。中央の車両は型番不明です。
高級ホテル行き登山 鉄道
 ユトリベルク線はラックレールを使わない粘着式の登山鉄道でしたが、チューリッヒ市内にはラック 式の登山鉄道もあります。それがDolderbahn(ドルダー鉄道=Db)です。
 チューリッヒ湖をはさんでユトリベルクとは反対側、赤い線で示したのがドルダー鉄道です。その線形から想像がつくよう に、Dbも元々はケーブルカーでした。
 8月12日(金)、チューリッヒ市内乗り回しの最初に、Dbを訪ねました。麓駅のRömerhof(レーマーホフ)前 でトラムを降りても、駅らしい施設はありません。大きなビルがあるだけです。
 しかし、前身がケーブルカーといえ ば、前回のワルツェンハウゼン駅での経験があります。ビルの正面玄関の左側を見ると、右側の写真のよう に、Dbの入口がありました。入口の上にお洒落な表示が出ており、左側にも看板が建っていました。
 中へ進んでいくと、1両だけの電車が見えました。ただし、ホームは階段状ではなく、平らです。
 11:21の発車間際だったので、車 内はそこそこ混み合っており、前が見える場所に行くことは出来ませんでした。後ろで我慢します。
 乗客はハイキング客のほか、カップルもいます。左側のおじさんは日本人のような服装です。平日の中途 半端な時間なのに、意外と利用客がいました。

 動き出すとあっという間。全長1.33kmを所要6分で走り、山上のDolder(ドルダー)駅に到着。左の写真は下 りの電車から撮ったものです。右はドルダー駅に到着した電車。1973年製のBhe1/2型の1号機です。ちなみにドル ダー鉄道にはもう1両、同型の2号機があり、ケーブルカー同様に両側の駅をほぼ同時に発車して、中央ですれ違います。
 ケーブルカーとして開通したのは1895年7月13日。そして1972年8月27日からラック式鉄道への改築が始ま り、1年後の1973年9月30日に鉄道として再オープンしました。軌間はケーブル時代と同じ1000mmです。最急勾 配は196パーミル。ラックレールは1枚歯のフォンロール式です。(「Bahnprofil Schweiz」による。長真弓さんの「スイスの鉄道」には「ラメルン式」とあるが、よくわかりません)。
 ドルダー駅の外観はこんな感じで、こ こも駅らしくありません。麓駅と同じ、小さな看板がなければ駅とわからないくらいです。
 近くには高級リゾートホテルの「ドルダー・グランド」があるはずなんですが、建物は見えません。


 他に見ることもないので、すぐに折り返して帰ることにしました。この時間帯は10分間隔に電車があり ます。ほどなく麓駅を11:31に出た電車がやってきました。こんどは2号機です。これが11:40発 車になります。写真の右はラックレールです。
 下りは他に乗客はおらず、貸切状態でした。最前部で景色を楽しみました。林の中の左カーブを過ぎて直線部にさしかかる と、前方にチューリッヒ湖が見えました。


 やがてすれ違い場所が見えてきました。その向こうから登りの電車がやってきます。右の上の写真のように、すれ違い風景 はケーブルカーと同じです。違うのはレールとポイント。ケーブルカーの交差部のように固定式のレールではなく、ラック レールを含めて3本のレールが、一体となって左右に動き、ポイントを切り替えています。
 すれ違い部を過ぎると途中駅がありました。Titlisstrasse(ティトリスシュトラッセ)駅です。片側だけの 簡単なホームですが、バス停のようにきれいな屋根がついています。なお、乗っていたときは気がつきませんでしたが、資料 によると、上のチューリッヒ湖を望む写真で線路をはさんで建っている建物部分にも途中駅があるようです。
 やがて右の写真のように麓のレーマーホフ駅が見えてきました。電車をまつ乗客の姿も見えます。下りも登りと同じく所要 時間は6分の短い旅でした。



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