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スイスの滝めぐり

走破記録

港の見 える街から
(辻本のホームページ)

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ライン川とパステルカラー
Schaffhausen > Stain am Rhein > KonstanzWil
Thurbo
トゥルボ(チュルボ)
(2011/08/09、10)



(ラインの滝の上流でライン川を渡るRABe526形電車。パステルカラーのドアが目立つ)

ラインの滝と時計産業の町

 8月9日(火)、Schaffhausen(シャフハウゼン)には定刻の17:51に着きまし た。
 駅舎は石造りの立派な建物。この日に 訪れた駅舎はどこも立派でした。駅前には普通のバスのほか、トロリーバスも見えます。
 シャフハウゼンはラインの滝があるため、水運の積み替え地点として発展しました。人口は約3万 5000人です。ラインの滝の見物は翌日ゆっくり行くので、日が暮れるまで町を散策しました。
 まずは丘の上のムノート城塞をめざします。高いところから町を見下ろすのは基本です。
 ムノート城塞は円形で、上部は広場風になっており、この日は野外映画会の準備が行われていました。右の写真は城塞から 南東側を見たところ。ライン川は向こう側から手前に流れています。中央の鉄橋はシャフハウゼンからロマンスホルン方面へ 向かう幹線で、明日はあの鉄橋を渡っていきます。
 目をライ ン川の下流方向へ転じると、町の中心部が見えます。小雨模様で、屋根瓦がちょっと濡れていて良い雰囲気 ですね。右側の教会の塔の右奥に見える白い建物がこの日の宿、Hotel Kronenhofです。教 会の左手の道を、画面の右奥方面へ進んでいくと駅の方角です。
 シャフハウゼンは時計産業でも知られていて、その代表がIWC(International Watch Company)です。左側の塔の左手、ライン川沿いの木立を背景に、白い大きな建物群が見えますが、これがIWCの本社です。シャフハウゼンはドイツと 接しているため、IWCの時計は、フランス語圏で作られる時計と比べると精密感が感じられます。
 左はそんなIWCの代表作の一つ、Little Da Vinci。文字盤には「Schaffhausen」の文字が誇らしげに描かれています。

人気のパステルカラー
 さて翌日、8月10日(水)は、まずラインの滝を見に行きました。
 朝 8:46発の電車で滝に向かいます。(以下、「スイスの滝めぐり」のページも参考 にしてください)。
 逆光で見にくいですが、S33系統のヴィンタートゥール行き。このページのトップに掲げた写真と同じ タイプ、RABe526形の739-8です。時間が無くて、いい写真がとれませんでした。
 シャフハウゼンにはドイツの列車も入ってきます。これは Singen(シンゲン)行きのようです。
 ところでこの時は急いでいて気づかなかったのですが、RABe526形はユニークな構造の電車です。
 前日にフォアアルペン急行の中から見たSOBのRABe526形も、あまり構造はわかりませんでしたが、ライン川を渡 る全景を写してみると、独特の姿がよくわかります。3両が1編成ですが、真ん中の短い1両には座席も窓もなく、2軸の台 車をもった動力車となっています。2ユニットつないで運行しています。スタイルとともにパステルカラーに塗られたドアが 目立っています。

 2003年発行の長真弓さんの「スイスの鉄道」には、RABe526形について「乗降のしやすさや、パステルカラーを 多用した塗り分け、アニメ的表示類など、親しみやすさを優先して成功している」とあります。シャフハウゼンなど古い町並 みは茶色を基調にした落ち着いた色合いなので、こういうパステルカラーがたまには好まれるのかもしれません。なお、この 本で書かれているの は1998年に登場したフロントが角張ったタイプで、厳密には「RABe526.6」形です。これに対してフロントが曲 面のタイプは2003年に登場し、「RABe526.7」形となります。
 滝から戻り、次の列車は11:31 発。ロマンスホルンを経由して、ザンクト・ガレンの隣り、St.Gallen Haggenまで足を延ばすS2系統。
 やはりRABe526.7形の759-6ですが、上の739-8とは編成の長さが違います。こちらは 動力車1両+客車3両の4両編成になっています。そのかわり1ユニットです。
 定刻に出発すると、すぐにトンネルに入り、ムノート城塞のある丘をくぐります。そして前日に城塞から眺めた鉄橋を渡り ます。
 右側の丘の上がムノート城塞。その左下、大きな傾斜屋根を持つ建物の前が、ライン川をさかのぼってボーデン湖に向かう 観光船の船着き場です。
にぎわう「ライン川の宝石」
 さて次の目的地、Stain am Rhein(シュタイン・アム・ライン)までは24分。ここで本日の行程を示しておきましょう。前日の路線図を流用しま す。
 このあたりの路線はThurbo(トゥル ボ)と呼ばれる組織が運行しています。この組織のことは、わかりにくいのですが、長真弓さんの「スイスの鉄道」による と、もともと、Konstanz(コンスタンツ)と接続するKreuzlingen(クロイツリンゲン)から、 Weinfelden(ヴァインフェルデン)を経て、Wil(ヴィール)を結ぶ路線を運行していた Mittelthurgau-Bahn(ミッテルトゥールガウ鉄道、MThB)と国鉄が、このあたりのローカル線を一緒 に運行するために合弁組織を作る計画だったところ、2002年にMThBが破綻したために、国鉄主体の路線として機能す ることになったようです。Thurboの発足は2002年12月15日です。
 Thurboのホームページはドイツ語しかないので、それ以上のことはわかりません。スイスの鉄道のデータ本である 「Schienennetz Schweiz」によると、Thurboとは「Thurgau und Bodensee(トゥールガウ州とボーデン湖)」の意味とありました。
 RABe526形は、ワンマンカー だったのかどうか確認しませんでしたが、小さな駅では停車要求のボタンを押さないと通過してしまいま す。左は「St.Katharinental駅停まります」という表示です。


 定刻の11:55にシュタイン・アム・ラインに到着。小さな駅です。右は駅前にあった地図。左下の赤 い点のあるところが駅で、中央の空白部分がライン川。中央の橋を渡った対岸、建物が密集しているところ がシュタイン・アム・ラインです。
 この地図はエッチング風でお洒落ですが、どちらかというとデザイン優先の感じです。
 Stain am Rheinというのは直訳すると「ラインの石」ですが、まあここは「宝石」という意味でしょう。城壁とライン川に囲まれた旧市街は、壁 画に彩られた古い建物が並んでおり、中世から時間が止まったような町並みが観光客の人気を集めていま す。
 上はライン川の橋から眺めたところ。 川べりにはレストランが並び、左手には船着き場があります。背後の丘の上にはお城も見えます。
 左は中央の広場。観光客でにぎわっています。橋は車も通れますが、旧市街地に入るとすぐに城壁の外へ 誘導され、中心部は完全に歩行者天国になっています。ヨーロッパの市街地が歩きやすいのは車がいないた めです。
 建物の壁画はこんな感じ。南蛮人風(!)の王様の行列みたいな絵が描かれています。それぞれ意味があるのでしょうが、 わかりません。船着き場にはシャフハウゼンとボーデン湖を結ぶ観光船がやってきました。船の名前も「シャフハウゼン」号 です。船もにぎわっています。
 ライン川のような大きな川は、そのまま国境になることが多いと思うのですが、ライン川の場合は単純に国境線ではなく、 川の北側までスイスになっているところが何か所かあります。ここシュタイン・アム・ラインもそう。シャフハウゼンもそう で、第二次世界大戦中、川の北側だからドイツだろうと思った連合国側から爆撃を受けたこともあったそうです。

スイスパスで行ける ドイツ
 シュタイン・アム・ラインで2時間余り過ごし、13:57に出発。次の目的地はコンスタンツで す。
 線路沿いはのどかな田舎の風景。サイクリングの家族連れが走って行きます。シュタイン・アム・ラインから29分、 14:26に乗り換え駅のクロイツリンゲンに到着しました。ドイツの機関車もいました。
 5分で乗り換え。同じホームの前後で乗り換えだったのかな。黄色のドアがアクセントになっています。白いボディーにカ ラフルな「thurbo」のロゴもお洒落です。クロイツリンゲンを14:31に発車。予定では2分間で国境を越え、 14:33にコンスタンツ到着ですが、実際は少し遅れました。
 左にはドイツ国鉄の電気機関車。クロイツリンゲンにも停まっていましたが、2001年から製造されているボンバルディ ア製の146形です。スイスでもRe485形などの姉妹機が活躍しています。この列車はフロントの方向幕によると 「Karlsruhe(カールスルーエ)」行きのようで、二階建て客車を押していくようです。
 右側はEngen(エンゲン)行き。シャフハウゼンの北東にある町です。車両はスイス国鉄のRABe521形。エンゲ ンまではボーデン湖の西につながるGnadenseeの北岸を進み、ずっとドイツ国内を走りますが、スイス国鉄が運行し ています。以前はThurboが運行していたようですが、今はスイス国鉄が担当しているようです。国鉄の公式路線図など を見ると、国内と同じ赤色で路線が示されています。ただしスイスパスが使えるのはコンス タンツまでです。
 地図を見るとコンスタンツはライン川の南側にあり、スイスのクロイツリンゲンと市街地もつながっています。普通に考え るとスイスでいいのにと思いますが、歴史的な経緯があるのでしょう。クロイツリンゲンの駅は下の方のほぼ中央部。そこか ら線路は左(北側)へ90度カーブします。そして港の左側、線路がいっぱいになっているところがコンスタンツ駅です。こ の町では約1時間半、散策しました。

 ボーデン湖に面して美しい公園が広がっています。そして埠頭の先端には左の写真のように派手な格好を した女性の像があり、ゆっくりと回転しています。
 この女性はインペリアという名前で、「コンスタンツ公会議」のころの高級娼婦。公会議は1414年か ら18年に開かれ、カトリック教会の分裂状態を収拾させたのですが、インペリアは会議に 参加した聖職者や欧州の貴族らに愛され、影響を与えたそうです。像は両手に皇帝と教皇を載せ、「手玉に取って」います。
 旧市街は細い路地まで観光客でいっぱ い。お土産を買ったらユーロでした。スイスではないので当然なんですが、この時に初めてスイスではない ことを意識させられました。もちろん駅でも、電車の中でも税関や入国審査のたぐいはありませんでした。
 コンスタンツの駅は教会のような尖塔がある大変印象的な建物でした。旧市街の中心部からも塔が見え隠 れし、これを目印に戻れました。
「知らない町」を歩いてみたかった
 コンスタンツを16:03に出発した 電車はヴァインフェルデン行きです。上の地図でわかるように、クロイツリンゲンを出ると少し西へ走って から大きく南へカーブします。
 ヴァインフェルデンで5分の乗り換え。16:55にヴィールに着きました。左のようにそっけない駅舎 でした。
 シュタイン・アム・ラインやコンスタンツを歩き回って少し疲れていた ために、コンスタンツからの電車ではあまり写真を写しませんでした。でもこの区間が、Thurboの説明の時に 書いたように、旧MThBの路線です。1911年12月20日にヴィールからクロイツリンゲンまで41kmが一 気に開通しています。 
 駅前広場の向かい側には、赤白のストライプ模様の派手な電車が停まっていました。これはヴィールから Frauenfeld(フラウエンフェルト)に向かうFrauenfeld-Wil-Bahn(フラウエンフェルト・ ヴィール鉄道、FW)です。1887年9月1日に開通しており、軌間1000mmで全長17.44km。Thurboの 勢力圏に囲まれていますが、FWは単独で頑張っているようです。
 ヴィールはザンクト・ガレンとチューリッヒを結ぶ国鉄幹線にある乗り換え駅というイメージしかなく、15分の乗り換え で先を急いでしまいましたが、スイス政府観光局の案内を見ると、この町はザンクト・ガレンの修道院のお膝元で発展し、 13-15世紀の教会や17世紀の裁判所など由緒ある建物が並ぶ旧市街は、かつての町の雰囲気をそのまま残しているそう です。まだまだ知らない町がそこかしこにあります。

 さてヴィールからチューリッヒまでは特急でわずか43分です。17:10発のICNに乗りました。ザンクト・ガレンか らジュネーブ空港まで走っている長距離特急です。
 チューリッヒ中央駅に到着する直前 に、チューリッヒ湖から流れ出ているリマト川を渡ります。チューリッヒの街も緑が多いですね。
 手前の左側、川を囲った部分はプールです。裸で日なたぼっこしている人たちが見えます。
 中央のアーチ橋は1998年まで使われていたLetten鉄橋です。今は遊歩道になっているのかもし れません。
 予定通り17:53にチューリッヒ中央駅に到着。2日前にルツェルンで預けたスーツケースを受け取り、ホテルに向かい ました。さらにこの日は、Uetliberg(ユートリベルク)線にも乗りに行ったの ですが、その話は改めて書くことにします。


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