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える街から
(辻本のホームページ)
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観光鉄道でお客の世代を考
える(前編)
Rorschach >
Heiden > Walzenhausen
>
Rheineck > Altstätten > Appenzell
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Appenzeller Bahnen
アッペンツェラー鉄道
(2011/08/11) |
(Rorschach Hafen駅に進入してくる折り返しのHeiden行き列車。3種類の客車が連なる)
★高原地帯のラックレールを訪ねて
この日は、スイスの東北部にある4か所のラック式鉄道を訪ねました。ラック式鉄道というと、アル
プスの山岳鉄道、登山鉄道を思い浮かべ、ボーデン湖のある東北部には似つかわしくないと思えますが、なかなか本格的な登
山鉄道があるのです。今回は最初に地図を見てみましょう。
まずチューリッヒからザンクト・ガレンを経て、湖畔のまちRorschach(ロールシャッハ)に向かい、そこから高
原の町Heiden(ハイデン)へ。ここが最初のラックレール区間。次いでバスでハイデンの東にある
Walzenhausen(ワルツェンハウゼン)へ。ここからRheineck(ライネック)へ下る路線もラックレール
です。そしてAltstätten(アルトシュテッテン)からGais(ガイス)に登る路線と、ガイスからザンクト・ガ
レンに下る路線もラックレール区間です。
スイスの東北部は前日に見たようにThurbo(トゥルボ)の路線が多いのですが、今回のラックレール区間は、いずれ
もAppenzeller
Bahnen(アッペンツェラー鉄道=AB)になります。アルプス地域の登山鉄道と比べると、日本では知名
度が低いですが、いずれも地元の人たちに愛されている鉄道でした。
★ボーデン湖畔の港町
チューリッヒ中央駅8:09発のICN1511列車で出発です。
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8番線の案内表示です。これは詳しく
て、列車の編成まで出ています。さすがスイス有数の幹線とあって、食堂車1両、1等車3両、2等車8両
の計12両編成です。
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ICNは何度も乗っているので、写真を撮るのも忘れてリラック
スしているうちに、定刻の9:15、ザンクト・ガレン駅の2番線に到着しました。
ここからは隣のホームから近郊列車S2系統に乗り継ぎ、9:20の発車です。
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牛の放牧などのどかな風景が広がり、やがて左手から複線の鉄道線路が合流してくると、ロールシャッハ駅はもうすぐで
す。
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定刻の9:40にロールシャッハ駅に
到着しました。湖に向かって立派な駅舎が建っています。でも人がいません。
ハイデンに向かうABの路線はこの駅から分かれているのですが、列車は1駅ロマンスホルン寄りの
Rorschach Hafen(ロールシャッハ・ハーフェン)駅が始発になります。
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事前に調べたところ、西向きの列車を待って1駅だけ乗るより、歩いた方が早くて、ハイデン行きの列車に間に合うことが
わかっていたので、湖沿いの道を歩き始めました。
途中、町の地図がありました。右手の線路が複数集まっているところ、道が凸型になっているところがロールシャッハ駅。
駅前に建物はなく、人の姿が見えないのも当然です。地図の左側が町の中心部です。
航路が集まっているところが船着き場で、その下、線路に列車のマークが付いているところがロールシャッハ・ハーフェン
駅、Hafen=港です。さらにその下(南)のほう、広い道をたどっていくと、ザンクト・ガレン方面へ向かう線路にまた
列車のマークがあります。ここはRorschach
Stadt(ロールシャッハ・シュタット)駅。Stadt=都市で、こちらが町の中心のようです。
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写真を撮りながらゆっくり歩いて約
20分。湖畔の道はそのままハーフェン駅のホームにつながっていました。改札のないホームは開放的で良
いですね。
右手は船着き場の駐車場で広々しています。前方、ホームの西寄りに駅舎などの施設があるらしく、その
まま進んでいきました。
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ホームの西端、この黄色い建物が駅舎です。駅舎の右側に踏切が
あって、町の中心部へ行けます。画面にはサイクリングの家族連れも見え、なかなかにぎわっています。
ちょうどThurboの列車がやってきました。ロールシャッハは、クロイツリンゲン、ヴァインフェル
デンとSバーンで結ばれています。
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駅舎の反対側に出ると、都会らしい風
景が広がっていました。カフェもありますが、それほど人影は多くはありません。
ハイデン行きの列車の発車時刻まで、ほんの少しですが、町を歩いてみました。
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静かな町並みと対照的に、船着き場はご覧のとおりの賑わいぶり
です。
ボーデン湖の対岸、ドイツ側には、湖に浮かぶ島に栄えた観光都市リンダウがあります。この船は
10:25発のリンダウ行きです。
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★子供たちの歓声を乗
せて
やがて、ハイデン行きとなるR5019列車がやってくるのが見えました。
様々なタイプの客車がつながっているようです。左の写真の次の場面が、このページのトップに掲げた写真になります。手
前のおじさんも列車の写真を撮っていました。
先頭はBDeh3/6の25号機。1998年の製造で、2車体3台車の低床式連接車です。
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そして最後尾には、こんな開放的な客
車が3両つながっていました。ボギー車ではなく、旧型の2軸車です。
ホームで待っていた子供たちが歓声をあげて乗り込んでいきます。もちろん辻本もこれに乗りました。
ところで車体の会社名は「Rorschach - Heiden -
Bergbahn」となっています。これが元々の会社名でした。
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「ロールシャッハ・ハイデン登山鉄道=RHB」の歴史は古く、1875年9月6日にロールシャッハとハイデン間
5.6kmが開通しています。スイスでは1871年から75年にかけて開通したリギ鉄道に次いで、2番目にリッゲンバッ
ハの手でラックレール式鉄道として開業しているようです。
そして2006年1月1日に旧アッペンツェル鉄道など4社が合併し、新アッペンツェル鉄道(アッペンツェラー鉄道)と
なりました。しかし車両の表記などは以前のままのようです。
定刻の10:31に発車。到着時の編成のまま、動力車であるBDeh3/6の25号機が最後尾になって推進運転で出発
です。こんな格好で山を登っていくようです。
ロールシャッハまでの0.95kmは、複線の国鉄路線を走ります。始発がロールシャッハ駅ではなく、ロールシャッハ・
ハーフェン駅になっているのは、乗客の利便を考えれば当然と言えます。
ロールシャッハ駅ではザンクト・ガレン方面からやってきたThurboの列車と並んで停まりました。向こうの列車の窓
ガラスに、開放的な客車から身を乗り出して外を見ている子供たちが映っています。
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ロールシャッハ駅を出発すると国鉄路線から離れ、すぐにラックレール区間が始まります。最急勾配は
90パーミルです。子供たちも興味津々の様子で前を見ています。
しばらく走ると、左手の車窓いっぱいにボーデン湖が見えてきました。景色を見るには開放型客車にまさ
るものはありません。
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ハイデンの手前、Schbendi
bei
Heiden駅でハイキング客が降り、発車しようとしたとたんに急停車。どうやら大きなベビーカーを下ろそうとしていたお母さんたちが、完全に降りきらな
いうちに発車し掛かったようです。
運転士は最後部の動力車にいるわけですが、車掌さんはどこに乗っているのでしょう。同じような推進運
転のシーニゲ・プラッテ鉄道で
は、先頭の客車に女性車掌が乗り込んでいました。
上の写真の中央に写っている黒い服の男性は、コントローラーのような物を操作しています。この人が車
掌でしょうか。もうひとり右端の写真のように、トランシーバーを手にした女性も乗っていました。この人
が車掌なのかもしれません。
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あたりが高原の様相になると、まもなく終点。標高792mのハイデン駅は思ったよりも立派な駅でした。ロールシャッハ
駅は標高399mなので、標高差は393m。定刻の10:53より3分ほど遅れて到着しました。
左はハイデン駅に到着した列車。中央部の客車には自転車のイラストと「VELOWAGEN」の文字。自転車積み込み用
の客車のようです。駅舎は右の写真のように、山小屋風のかわいらしい建物でした。
★前身はケーブルカーのミニ鉄道
ハイデンは、赤十字社を創設して第1回のノーベル平和賞を受賞したアンリ・デュナンが晩年を過ご
した町として知られており、デュナンの博物館やモニュメントなどがあります。
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駅から数分歩くと町の中心の広場。途中に観光案内所があり、地
図をもらいました。左手に黄色いバスが停まっているところがバス乗り場です。11:46の出発まで少し
時間があったので、近くのコープで昼食用にパンを買い、広場で食べました。
ワルツェンハウゼン行きのバスは右の写真。ボーデン湖を見渡しながら走って行きます。
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走ること20分でワルツェンハウゼンの駅前に到着。ところがバスを降りて周囲を見回しても、駅が見当たりません。右の写真の建物は、周囲を道路で囲まれ
ており、線路もホームもありません。
ちょっと焦りましたが、乗用車の向こう側の軒下に「Eingang
Bergbahn(登山鉄道入口)」と表示が出ているのに気がつきました。
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入口に入ると下りの階段があり、その先に電車が停まっていました。
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真っ赤な電車がホームに埋まったよう
な形で斜めになって停まっていました。ホームは階段状になっており、見た目はケーブルカーそのものでし
た。
前方はトンネルになっており、駅の周囲の道路の下をくぐっていく形になっているのでした。
乗り込むとすぐ12:15の発車でした。
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1両だけの車内はこんなふうに大混
雑。最前部も最後部もいっぱいでした。牧草地や林の中をなだらかに下っていきます。
ワルツェンハウゼン駅は標高672m。399.9mのライネックまでの距離は1.92kmと短いです
が、最急勾配は253パーミルと本格的です。ラックレールはリッゲンバッハ式で、軌間は1,200mm
と独特です。
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この鉄道、Bergbahn
Rhineck-Walzenhausen(ライネック・ワルツェンハウゼン登山鉄道=RhW)は、19世紀末の1896年6月27日、ケーブルカーとし
て開業しました。麓の駅と、ライネックの国鉄駅が少し離れていたので路面電車で結ばれていました。それが1958年に合
わせてラック式の登山鉄道に改築されたのです。その時から、この電車がたった1両で、両駅間をピストン運行しています。
中途半端な軌間は、ケーブルカー時代の名残です。
またロールシャッハ・ハイデン登山鉄道と同じく、2006年1月1日に旧アッペンツェル鉄道などと合併し、新アッペン
ツェラー鉄道(アッペンツェル鉄道)となっています。
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わずか9分の走行で、定時12:24
にライネックに到着。大勢の人たち、文字通りの老若男女が降りてきました。
電車は大きなパンタグラフが目立っています。
ライネックのには下の左の写真のように立派な駅舎がありましたが、これは使われていないようで、右の
写真のように新しい駅舎ができていました。
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反対側のホームに移ると、まもなく国
鉄の列車がやってきました。ザンクト・ガレンからクールに向かう地域急行「Rheintal-
Express」です。久しぶりに国鉄の電気機関車を見ました。12:27の発車です。
ところでこの写真を見ると、RhWの電車がホームの上に停まっていることがわかります。架線の位置が
高いからでしょうか。
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(後
編に続く)
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