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ツアー定番のSL登山鉄道
Brienz > Brienzer Rothorn > Brienz


BRB
ブリエンツ・ロトホルン鉄道
(ブリエンツ・ロートホルン鉄道)
(2011/08/08)



(小さな蒸気機関車が開放的な赤い客車を押し上げるBRBの観光列車はツアーの定番)

★スイス有数の観光路線へ

 インターラーケンは2002年と2005年の旅では乗り換えで通り過ぎただけでしたが、今回2泊 してみると、思ったより良い街でした。今までは観光客が多すぎるガヤガヤとした街の印象を持っていたのですが、美しい町 並みもあり、アルプス観光の拠点として賑わっている理由が納得できました。
 今回は拠点としてのメリットを最大限 に生かすため、ホテルはオスト駅の駅前(北側)にしました。鉄道メインの旅の場合、駅前ホテルは本当に 楽です。
 北東の角部屋だったので、東側の窓から身を乗り出すと、オスト駅のホームがよく見えました。朝の6時 過ぎ、Re460機関車が引く長距離列車が出発を待っています。
 この日は、SLによる登山鉄道とし て団体旅行でも有名なBrienz Rothorn Bahn(ブリエンツ・ロトホルン鉄道、BRB) を目指します。
 左の写真は市街地を離れ、アーレ川を渡るところ。雨は降っていませんが、空には一面の雲。ロトホルン 山上からの眺望が心配です。
 乗ったのは前日、マイリンゲンを目指 したのと同じ、インターラーケン・オスト駅9:04発のツェントラル鉄道、ルツェルン行きIR2215 列車。
 一等の車内はこんな感じ。観光客でそこそこ賑わっています。
 立っているのは女性の車掌さん。ドイツ系らしく厳格な感じで、写真に見える韓国の若者らしきグループ がスイスパスを提示すると、「パスポート番号が書かれていません」と注意していました。
★けなげに頑張る登山鉄道
 定刻の9:22にBrienz(ブリエンツ)駅に到着。駅前、道路を挟んでBRBの駅がありま す。クラシックでかわいらしい駅です。改札の向こうに赤い列車が停まっているのが見えます。
 【2013年1月28日・追記】BRBは観光目的の登山 鉄道なので、スイスパスは50%の割引のみです。窓口でパスを見せ、往復キップを購入しました。往復で半額になって1人 40フランでした。このころ1スイスフランが100円を超えていたので、4,000円以上です。高いけれど、移動手段と いうよりは、乗ること自体が目的のアトラクションなので、仕方ないでしょう。
 客車は2両。後方の機関車寄りの客車 は窓がフルオープンで開放的ですが、前の車両は窓が閉まっています。走行中に機関車を入れた写真を写す ためには出来 るだけ機関車から遠い前方に乗る必要があるので、窓が閉まっていると困ります。しばらく座席を決めかね て悩んでいましたが、窓は簡単に開閉できることがわ かりました。それなら問題ありません。前の車両の最前部に近い場所に座りました。
 後ろの車両には日本人の団体ツアー客が乗っており、添乗員さんが所要時間などを説明していました。。

 BRBの路線図は右の通り。これは山上駅に掲示してあった地図です。湖畔の「Brienz BRB」駅から、山上の「Rothorn Kulm(ロトホルン・クルム)」駅を目指します。
 ところでこの地図には山上駅は「Rothorn Kulm」となっていますが、スイス国鉄の公式時刻 表などでは、「Brienzer Rothorn(ブリエンツァー・ロトホルン)」となっています。最近、変更されたのでしょう。
 この鉄道も途中駅や信号場があり、地図には「行き違い可能」を示すらしい記号が描かれ ています。
 9:40に発車すると、ブリエンツの 街の向こうに氷河が溶けて独特の色をしたブリエンツ湖が見えました。
 お客はみんなカメラを向けています。立ち上がっている人も見えます。こういう観光列車は写真を撮るの に遠慮しなくていいから気が楽です。
 また最前部から後ろをふり返って撮っているので、背後の人を邪魔する心配もありません。 
 窓の開かない都市間特急列車と違 い、観光列車の楽しみは、自然の風を感じながら美しい風景の中を走って行くところだと思います。
 あっという間に登っていき、街全体が見渡せました。このあともぐいぐいと標高を上げていきます。 
 途中駅で 停まると、対向列車が山を降りてきました。こちらはSLではなくて、ディーゼル機関車の牽引です。
 SL列車で有名なBRBですが、ディーゼル機関車も何両かあり、乗ろうとした列車がディーゼル牽引だ と、ちょっとがっかりすると思います。きちんとしたツアーなら、ちゃんと調べていると思います が・・・。
 BRBは全線で7.6km。最急勾配(というか、ほぼ全線)が250パーミル。麓のBrienz BRB駅が標高566m、山上のBrienzer Rothorn駅が2,244mで、標高差は1,678m です。ラック形式はアプト式です。
 線路の横では牛が放牧されていて、ガランガランというカウベルの音が響いています。牧場があるということで、右の写真 のように、こんな上の方まで車が通れる道がついています。あたりは森林限界を越えて見晴らしがよくなりました。山上駅ま であと少しです。

さあ、山頂まであと少し

 出発してから50分余り、定刻の 10:35より少し早い33分くらいに山上駅、Brienzer Rothorn駅に到着です。

 客車の陰になっていますが、向こう側にブリエンツ湖を見下ろす眺望が広がっています。心配した天候で すが、雲は相変わらず多いものの、青空も見えてきました。
 進行方向を見ると、すぐ前方にピークが見えます。ブリエン ツァー・ロトホルン(標高2,349.7m)です。山上駅の名前も、山の名前に合わせたのでしょう。
 駅の標高が2,244mなので比高はわずか105.7m。歩く距離はわかりませんが、下りの列車の発 車時刻は40分後の11:15。それまでには往復できる列車設定になっているはずです。
 途中で振り返ると、斜面の途中に作られた駅の構造がよくわかりました。線路は2線で、右側線路の奥には車庫が見えま す。右手の建物はトイレ。団体ツアー客がトイレのあたりに固まっています。登ってくる様子が見えないので不思議に思って いました。
 歩き始めて約15分。頂上に到着しました。期待どおりの絶景です。正面の遠く、雲の間から雪山の連なりが見えています が、ユングフラウ三山は、残念ながら識別できませんでした。でも手前の湖の対岸には、前日に訪れたギースバッハの滝のホ テルと船着き場が見え、しばらくするとブリエンツに向かう観光船も確認できました。
 満足して駅に戻ることにしました。帰りは楽々で、出発時刻までに余裕をもって戻ってきました。団体の人たちが乗り込 むところでした。どうやらブリエンツァー・ロトホルンの山頂には行かなかったようです。ここまで来 て、目の前の山頂に登らない行動が理解できません。辻本が団体旅行を好まないのは、こういうところ です。
 もちろん主催者側の論理はよくわかります。参加者が健脚ばかりとは限らない全員で登れば、帰りの出発時刻に間に合わないか もしれない。かといって元気な人だけ登るのを認めれば不公平になるし・・・。
 でも、こういう 駅での折り返し時刻というのは、山頂往復を見込んだ時間設定だろうと 思います。ミシュランのガイドブックにも「往復3時間。うち 2時間20分は登山鉄道」と書かれています。やっぱり頂上を目指 すのが正 しいのではないでしょうか。と 他人事ながら考えてしまいまし た。

下りは満員。写真撮 影は一休み
 出発を待つSL15号機。傾斜した線 路上でボイラーが水平になるように造られているため、平坦な駅では前傾姿勢になります。
 登山鉄道の例にもれず、機関車は常に山麓側に付けられます。駅には転車台はないため、帰りはバックで 進 むことになります。
 このページのトップに掲げたBRBのロゴは、この機関車から拝借しました。
 帰りも空いている後ろの客車に乗ろうと思ったら、「前に移れ」 と言われ、全員が1両に詰め込まれてしまいました。帰りの列車には乗らない登山客もいるので、お客が 減ったのかもしれませんが、ちょっと窮屈です。寒いので窓を閉めている人が多く、撮影のため開けるのも 遠慮しがちでした。 
 だ からというわけではありませんが、帰りは写真は 控え、もっぱらP7000で動画を撮って いました。

 動画は揺れていますが、実際の乗り心地はそれほど悪くはありません。やはり1両目だと、登りよりも SLの見え方が少なくなってしまいます。

 2本目の動 画は途中のPlanalp(プランアルプ)駅での様子。行き違い待ちをしていると、下 からちょっと変 わった列車がやってきました。客車の前に貨物車が付いており、車内もどこか賑やかで す。どうやら夏場だけ臨時に走る「Sausage Express」でした。いわゆる「ビール列車」ですね。
 もうひとつ、この動画で気がつくのは、やってきた機関車が盛大に煙を噴き上げている ことです。辻本が乗っている15号機は、登りの写真でも、上の動画でも、あまり煙を吐 いてくれません。これは実は12号機から16号機は1992年以降に製造された新しい 機関車で、石炭ではなくオイル(重油?)を燃やして走っているためです。対向の機関車 は2号機(1891年製造)で、しっかり石炭を燃やしているため煙が出ているのでし た。もちろん煙が出る方がSLらしいです。



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