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失敗、失敗、また失敗

ジュネーヴからモントルーへ(2011/08/03、 04)




(Genève駅で出発を待つMilano行きEC39列車。最新のETR610形)

★市街地隣接の国際空港

 アムステルダムからのKLMオランダ航空KL1933便は、定刻の18:35ごろにジュネーヴ空 港に着陸。スイス はEUには加盟し ていないが、シェンゲン条約には入っているため、入国審査はアムステルダムで実施済み。このため、すぐに荷物引き取りの ターンテーブルへ。無事にスーツ ケースを引き取り、さあジュネーヴ市内へ。

 ジュネーヴ国際空港は小規模で、市街地にも近いのです。トーマス・クックのEuropean Rail Timetableに載っている空港アクセスの一覧表「Airport Links」を見ると、距離は6km、所要時間は6分!。一覧表に載っている約200か所の中で、イタリア・ピサの「ガ リレオ・ガリレイ空港から2km、 5分」に次ぐ近さとなっています。

 こんなに近いためか、うれしいことに、空港から市内へは無料で移動できるのです。
 2008年1月から、ジュネーヴ空港に到着した利用者は、ジュネーヴ周辺の鉄道、路面電車(トラム)、バスが80分間 乗り放題になるのです。周辺の交通 機関は「Unireso」 という組織 を作っていま す。チューリッヒ周辺もそうですが、1枚の切符で、交通機関の種類を問わずに乗り降りできる、大変便利な仕組みです。
 ジュネーヴ空港のHPを見ると、アクセスのところに「到着フロアの荷物引き取りエリアに、発券機がある」との説明があ り、チケット発券機の写真まで載っ ています
 

 このため、スーツケースを引き取った後、出口近くを注意深く探すと、発券機がありました。で も、あまり利用者がいま せん。我々のほかには、南欧系らしい家族連れが、「これかな」と不安げに見ているだけでした。
 左の写真がその無料チケット。発券時の時刻が記載され、「ジュネーヴすべて、80分間、自由に回 遊」と書かれています。「Unireso」も見えます。

 
 一安心して、空港駅(Genève-Aéroport)へ向かいます。駅はターミナルビルの東端の地下にあり、思った より距離がありましたが、案内表に 沿って迷わず到着しました。
 切符はありますが、窓口ですることが一つ。スイスパスの「バリデーション」です。「使用開始日」を記入し、スタンプを 押してもらう必要があるのです。
 今回、スイスには到着日、出発日を含めると11日間いたのですが、スイスパスの有効期間は8日間用の次は15日間用に なります。今回は経費を切り詰める 必 要があったため、スイスパスは8日間用で我慢し、2日目から9日目まで使うことにしました。(10日目、11日目は、 チューリッヒ・カードを使用。後 述)。こ のため、バリデーションは翌日でもよかったのですが、そうすると、ホテルから駅までの間、トラムに乗ることができませ ん、それで、初日に、「明日から有 効にしてください」とお願いする必要がありました。
 そういうことが可能かどうかわからなかったので、英語が得意な妻にお願い。あっさりとスタンプを押してもらえました。 2005年の旅で、チューリッヒ空 港駅でお願いしたときは、「パスポートを見せてください」と言われ、パスポート番号も書き入れてくれました。そのため、 今回もパスポートを添えて出したの に、窓口嬢は見もせず、番号も記入してくれませんでした。

 時刻は19時を回っていました。ホームの方に向かうと、次の列車は19:05との表示。急いで階段を降りると、何か雰 囲気が違います。降りたホームは 1、2番線でしたが、発車は隣の4番線からでした。あわてて移動しましたが、間に合わず。次の列車は19:27発で、貴 重な20分を無駄にしてしまいまし た。3、4番ホームへ降りる階段が、少し離れたところにあり、目の前にあった1、2番ホームへの階段を降りてしまったこ とが原因。妻からは「思い込みの せいだ」と非難されてしまいました。
 これが「失敗・その1」。この時は、まだまだ失敗が続くとは思ってもいませんでした。

★トラムで迷走、情けない・・・

 19:27発は、Sion行きの急行列車。地下ホームから出発し、地上へ出るとすぐにジュネーヴ駅(コルナヴァン駅) に到着。フランスに隣接するジュ ネーヴとあって、新旧2種類のTGVも止まっています。
 駅舎はシンプル、かつ重厚な造り。ただし、他のスイスの駅の例にもれず、この駅舎に乗客に関係のある施設はあまりあり ません。

 さて、ホテルまではトラムで移動。あらかじめ路線を調べておいたので、トラム16番の乗り場を探しました。ところが駅 前の乗り場には見あたらない。乗り 場案内の看板を見つけ、駅前ではなく、駅舎の西側、線路と直行する高架下部分に16番の乗り場があるとわかりました。 さっそくそこへ向かうと、ちょうど 16番のトラムが来ました。
  事前に調べてい たトラムの路線図は左の通り(Eisenbahnatlas Schweiz、2004年発行)。ホテルの最寄りは、右下に見えるRiveなので、起点のジュネーヴ 駅(Gare Cornavin)で16番に乗れ ば、問題なく行けると思っていました。

 ところが、トラムが動き出したとたん、違和感を感じました。南の方向へ向かうと思っていたのに、どう も違う方向へ走っています。あわててiPhoneの マップを起動し、現在地を示してみました。すると、トラムは北西方向へ、目的地とは反対へ走っていまし た。
 後になって、ホテルで最新の 交通案内図を入手 したところ、トラムの路線が延びていました。左の図の太い黄土色の線がトラム。16番は、駅から北西方 向へと延びていたのです。

 あわてて次の停留所で降り、反対側の乗り場へ。ここで落ち着けばよかったのですが、焦りが焦りを呼 び、ミスの再生産をしてしまいました。
 よく確かめて、反対方向の16番に乗るべきところ、すぐやってきた14番のトラムに乗ってしまったの です。ローヌ川を渡って、左折するはずのトラムがど んどん南へ進んでいく・・・。
 仕方ありません。また次の停留所で降り、再び反対方向へ。今度は16番は無いので、とにかく来たトラムにのり、16番 の路線と合流するところまで戻るこ とにしました。そして図の中央にあるBel-Airで降り、その後にやってきた16番に乗り換え、無事、目的地の Riveにたどり着きました。ただ、よく 考えると、その前に乗ったのは12番のトラムで、Bel-Airで乗り換えなくても、そのままRiveまで行けたのでし た。
 すべて、古い路線図を信じてしまったことと、あせってしまってトラムの番号をよく確かめなかったことが原因。これが 「失敗・その2」です。得た教訓は 「急(せ)いては事をしそんじる」です。だが実は、2度あることは、3度あったのです・・・。

★せっかくの最新型も楽しめず

  旧市街の一角に あるホテルに着き、チェックインを済ませると、「交通カードは要りませんか?」と聞かれました。ジュ ネーヴでは、ホテルに泊まると、2日間乗り放題のカー ドがもらえるのです。
 翌日からはスイスパスが使えますが、この日の夜に使うかもしれないので、しっかりいただきました。空 港からの無料券といい、ジュネーヴは太っ腹です。

 
さて、翌 日は午前中にジュネーヴ市内を観光。そのため、朝イチで駅へ向かい、モントルーへ向けて荷物を発送しました。ファーストバゲージです。カバンの マークを探すと、駅舎ではなく、ホームの方へ 導かれていくので、おかしいなあと思いながらも辿っていくと、4、5、6番線ホームの東寄りに、事務所があり、 そこが手荷物預かり窓口でした。
 ちゃんと窓口に係員がおり、問題なく受け付け。1個20フランは高いですが、手ぶらの楽ちんさは値段に代え難 いので仕方ありません。手続きはパソコンを 使って行われ、プリンターで打ち出した書類1枚と、チケットの半券をもらいました。

 市内観光では短い時間ながら、定番のサン・ピエール聖堂や宗教改革記念碑をはじめ、ジュネーヴ最古のチョコ レート屋さんや人気のフランス料理店など、 しっかり歩きました。この日はトラムは、朝、駅へ向かうときと、昼食後に駅へ戻るときの2回乗っただけ。前日は 慌ただしかったので、あまり写真も撮れませ んでした。この日、1枚だけ撮影。
 旧市街の西側、Neuve広場を通る12番か17番のトラム。これはシンプルな色ですが、さまざまな広告塗装の車両も 走っています。ひんぱんに走ってお り、多くの人が利用していました。スイスのトラムに乗るたび、その便利さと日本の不自由さを比べてしまいます。

  さあ、ジュネー ヴを離れる時が来ました。13:42発のイタリア・ミラノ中央駅行きの国際列車です。
 このページのトップの写真がそれで、グレーに青色のラインが入った精悍な車両。2005年に乗った 「チザルピーノETR470形」の後継車両で、 2009年の夏に登場しました。
 同年12月からは、ジュネーヴやバーゼルから、シンプロン・トンネルを抜けてミラノに向かう7往復は、すべてこの形式 になりました。

 初めて乗る新しい車両の1等車に落ち着き、ほっとして水筒の水を飲もうとして、愕然としました。2002年のスイスの 旅に備えて購入し、2005年の旅 はもちろん、国内旅行でも活躍してくれたTHERMOSの水筒が見当たりません。昼飯を食べたレストランまでは確かにあ りました。その後の行動を思い返し てみると、食後にデパートのトイレに入った際、置き忘れてきたとしか考えられません。また妻に冷たい目でにらまれてしま いました。
 
 ということで、せっかくの新型車両も、美しい車窓風景もあんまり楽しめず、ひたすら反省の時間。ようやく写真を撮った のはローザンヌを発車するとき。

  上が発車直後に ローザンヌ駅を見たところ。振り子式のRABDe500形(左)と、Re460形電気機関車(右)が見 えます。

 左の写真は高速でカーブ走行中の場面。水平線や垂直の架線柱と比べ、車両の傾きがよくわかります。
 ETR610形も、振り子式で、ジュネーヴからモントルーまで、84.79kmを、1駅停車の56 分、評定速度90.8km/hで駆け抜けました。

 


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