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港の見 える街から
(辻本のホームページ)

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スイス交通博物館

ゴッタルド線の旅・その7



(スイス交通博物館の見どころの一つ、ヴァッセン付近を再現したゴッタルド線のレイア ウト模型)


★乗り物ファン必見の博物館

 ルツェルンの街には、「スイス交通 博物館」があります。フラン スのミュールーズや、イギリスのヨークにある博物館と並んでヨーロッパ最大級として知られており、鉄道だけでなく、自動 車、船、飛行機と、陸海空の乗り物 が並んでいます。特にルツェルンはゴッタルド線の北の起点とも言えるだけに、ゴッタルド線にちなんだ展示が特徴となって います。

 まず最初はクロコダイルことBe6/8 II型13254号機の展示。二つめは「ゴッタルド・トンネル・ショー」。三つ目ががゴッタルド線を再現したレイアウト 模型です。

 クロコダイルについては、前のページで紹介したので、ここではあと何枚か写真を紹介しておきます。博物館の入口を入っ て左手、順路の最初に登場します。
 前ページとは反対側から見たBe6/8 II型13254号機。隣の人と比べて大きさがわかるでしょうか。全長は19.46m、重量は126トンです。
 左の写真は正面から見たところ。右手に並んでいるのは「ミニクロコ」と呼ばれるレーティッシュ鉄道のGe6/6 型402号機。こちらは全長13.3m、重量66トンです。右の写真は、時代を感じさせる前照灯のディテール。

★レトロな雰囲気のトンネルショー

 「ゴッタルド・トンネル・ショー」とは、遊園地にあるようなトロッコに乗って進みながらトンネル 工事の歴史を学ぶ アトラクションです。トロッコには一度に18人が乗れ、所要時間は30分。博物館がオープンして30分後の午前10時か ら、午後5時まで、常時行われてい ます。
 2002年に訪れたときは行列が出来ていたのでパスしたのですが、2005年には開館時刻に合わせて再訪し、真っ先に 見に行きました。
 入口で大きなトランシーバーのようなものを渡されます。スピーカーが付いており、耳に当てると解説が流れてきます。各 国語が用意されているようでした が、辻本には「これで良いだろう」という感じで英語版を渡してくれました。

  1グループ18 人がまとまると入口のドアが開いてアトラクションの中へ入ります。トロッコはまだありません。
 ここはゴッタルドトンネルの北側に位置するゲシェネンの町のようです。人形が何体も並んでいて、それ ぞれがしゃべり出します。というか、手に持った解説 機から声が聞こえてきます。しゃべっている人形にはスポットライトが当たっています。
 すぐにトロッコに乗ると思っ ていたので、この 場面はすぐに終わるのかと思っていたら、意外と長々としゃべってくれます。
 人形はリアルなタイプではなくとぼけた顔つきでした。
 こちらは女性の人形が並んでいます。工事が始まる直前のゲシェネンの風景のようですが、よくわかりま せんでした。
 英語力の乏しさを実感することになってしまいました。

  いよいよトロッ コに乗り込んでトンネルの中に入っていきます。中は完全に真っ暗で、隣の人の顔も見えません。トロッコ がどういう動きをしているのかもよくわかりません。
 所々で止まると、また人形がしゃべり出したり、トンネルの壁面に映像が映し出されたりして解説が続い ていきます。人形の中には工事責任者だったルイ・ ファーブルらしきものもありました。
 これはゲシェネン側の現場監 督フェローが考案 したという圧縮空気を使った削岩機。硬い片麻岩を1分間に450回打って、深さ6センチの穴を開けるこ とができたそうです。
 模型かな。いや本物でしょうね。この削岩機は「The Swiss Railway Saga」にも載っていた有名な機械なので、ストロボを光らせて写真に納めました。

 こんどはゴッタルド鉄道の会長、アルフレッド・エッシャーの執務室のようです。人形はそれらしい顔つきに作られていま す。壁に馬車の絵が掛かっていま す。これは鉄道の歴史を語る中でよく出てくる有名な絵です。
 右の写真がそれで、「The Swiss Raiway Saga」から引用しました。これは鉄道開通前の時代に、アルプスの峠をフルスピードで下る5頭だての郵便馬車 (mail-coach)の絵で、作者は Rudolf Kollerです。こういう有名な絵をさりげなく配置するなんて、細部にこだわった演出はさすがですね。
2013.10.02追記】2011年にチューリッヒを 再訪したとき、この絵の実物と対面することができました。またこの絵とエッシャーの縁についても知ることができました。 詳しくは「2011年の旅」のこのページを ご覧下さ い。
  トロッコを降り てからも順路が続いており、昔の客車の中を通り抜けるようになっています。
 網棚の上にテレビが見えますが、これは荷物ではなくて、ここに解説が流れていました。
 ところでこういう網棚の配置は日本では見かけませんが、スイスではロカルノからベリンツォーナへ向か うときに乗ったローカル列車が、今もこの形式の網棚 でした。(このページを 参照)



 アトラクションを出たところには、ゴッタルド線関係の展示がいくつかありました。
 左の写真は当時の測量機器と、アイロロにある工事犠牲者の慰霊碑に取り付けられているレリーフの模型 です。
 上の写真はトンネル開通を記念して技師に与えられた銀製メダルと、労働者に与えられたブロンズ製メダ ル。写真ではわかりにくいですが、銀のメダルにはト ンネルの絵と、「1880年2月29日」という貫通の年月日が刻まれています。

★リアルで楽しい沿線模型
 鉄道模型のレイアウトは、幅13m、奥行き5.6m。ゴッタルド線のうち、エルストフェルトからヴァッセンまでの路線 を再現したもので、線路の長さはの べ 350m。交通博物館のHPによると、ルツェルンの鉄道愛好家が3万時間もかけて作り上げたそうです。午前10時30分 から1時間ごとに8分間にわたって 列車が走ります。

 このページのトップに掲げたのが全景。中央にヴァッセンの教会があります。上の写真は教会の右側、マイエンロイス川に 3つの鉄橋がかかっているところで す。「中橋」にはRe6/6とRe4/4の重連が引く貨物列車が走り、「下橋」にはトラックを載せたピギーバック列車が 見えます。 
  16本の列車が 同時に走れるようで、実にさまざまな列車と機関車を見ることができます。
 左はホッパ車を引っ張るクロコダイルのBe6/8 III型13302号機。パンタグラフは片方だけ上げています。
 こちらはRe460型機。模 型のある場所が意 外と暗く、列車もかなりのスピードで走っているので、ブレブレになってしまいました。でも特徴あるスタ イルは判別できると思います。
 ヴァッセンの風景の裏側にも線路はつながっています。こちらにはエルストフェルトの駅があります。
 ごらんの通り、特徴ある機関庫が再現されています。このページの 実際の風景と見比べてください。機関車や貨物ばかりではなく、手前の中央にはチザルピーノの姿も見えます。
 日本の鉄道博物館や交通科学博物館の模型では、運転が始まると子供たちでいっぱいになり、間近で楽しむのは難しいです が、ここは空いていたので、じっく りと観察することができました。

2008年8月2日・追加】 これまでこの模型のことを「ジオラマ」と書いていましたが、鉄道模型の世界では、列車が走る模型を「レイアウト」、列車 が固定されているものを「ジオラマ」と使い分けているようなの で、それに従いました。


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