スイス鉄道の旅
2002.08公開

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港 の見える街から
(辻本のホームページ)




レッチベルク鉄道(BLS)
または、レッチュベルク鉄道
 
Lotchbergbahn



(KanderstegとKandergrund間のΩカーブを走るIC810列車)

★交通の要衝・Brig

 Brig(ブリーク)は人口約1万1600人の町ですが、鉄道の幹線が集まる重要な場所に位置し、左の写真のように、 駅も町の規模に比べると大変立派で す。右は駅前広場の様子で、右端が駅舎、左手に見えているのがFOとBVZの駅(乗り場)です。
 ちなみに、スイスの横断歩道というのは、このように黄色でペイントされています。

 Brig駅は9番線まであり、ホームの長い大規模な駅です。上の写真はホームの東端からイタリア方面を眺めたと ころ。残念ながら シンプロントンネルの入り口は見えませんでした。いろんな列車が留置されています。先頭が斜めになった白い列車は最 新の「チザルピーノ」でしょうか。

 左の写真は西側を眺めたところ。ずっと先までホームが伸びています。9番線に停まっている のが乗車したIC801列 車。Brigが始発で、Bern、Zurichを経て、ドイツ国境にあるボーデン湖畔にある 町、Romanshorn(ロマンスホルン)まで行きます。

 緑色の客車を何両もつないだ長大編成。発車時刻が迫っていたので、編成全体を確認出来ませんでした。
 で、この写真で手前に電気機関車がついていますが、進行方向は前方であり、いわゆる「推進運転」方式です。英語で は「プッシュプル運転」、ドイツ語では 「Pendelzug(ペンデルツーク)」と呼びます。先頭には運転台がついた専用の客車がつながれています。この ページのトップの写真でわかるように、 運転台部分が機関車の色に合わせるかのように赤く塗られているため、「赤鬼の面を付けたようだ」と言われることもあ るようです。
 ちなみに、Pendelは振り子、zugは列車。このため、Pendelzugとは運転方式の名前と言うよりは、 そのまま行って戻れる、つまりどちらに も走れる列車の意味のようです。こういうと、当たり前じゃないかと思われそうですが、ヨーロッパでは特に長距離列車 は、まだまだ機関車牽引の客車列車が主 体なので、こういう言葉があるようです。日本では推進運転というと、駅付近での入れ換えだけというイメージですが、 スイスでは国鉄の現在の主力である Re460型電気機関車などが長大編成を押したまま時速200kmで走っています。機関車 のページでもまた紹介します。
 ところで、最近はドイツではプッシュプル運転の列車をPendelzugとはいわずにWendezug(ヴェンデ ツーク)と呼ぶのが一般的だそうです。 Wendenとは転換とか方向転換、ひっくり返すとかいう意味。辻本が思うに、Pendelzugと呼ぶと、いわゆ る日本でいう振り子電車、つまり車体を 傾けてカーブを速く曲がれるようにした車両のことを想像するからではないでしょうか。イタリアでは振り子式車両を 「ペンドリーノ」と呼び、これが広まって います。このため、ドイツ語では振り子式車両はNeigezug(ナイゲツーク=傾斜列車)と呼びます。ややこしい ですね。

 ところで「推進」は直訳すれば「プッシュ」であり、「プ ル」は牽引。だか ら、「推進運転」が「プッシュプル」になるのはおかしいようにも思えます。実際、アメリカでは「推進運転」のこ とは「プッシング運転」と呼んでいるとのご 指摘もありました。だから、峠の上り坂でよくあるように、牽引機関車のほかに、最後尾から押す補助機関車を付け たような運転を「プッシュプル」と呼ぶので はないかとの意見もあります。ただ、「ペンデルツーク」が、往復のイメージがあるので、それに合わせる意味か ら、「プッシュプル」としておいても良いので はないかと考えています。(2005.06.13)


 さてこの写真はIC801列車の1等車。ごらんのとおりガラガラでした。わりと新しい車両 のようで、ビジネスライク な感じ。窓は開かないので撮影には不便です。
 トップの写真でわかるように、窓ガラスはぶ厚いようです。二重窓なのかな。

 せっかく、BLSのカーブを通過する列車を撮ろうと思っていたのに、うまく撮影できませんでした。

★私鉄なのに重要幹線

 上の地図はスイス国鉄のページから拝借しました。赤い線が国鉄。黒い線が私鉄。そして太い線が幹 線です。これでわ かるとおり、私鉄で太い線になっているのはただ1か所。首都ベルンから南下してイタリア方面に向かう路線。これがBLS です。軌間は標準軌の1435mm だし、国際列車もばんばん走っているので、私鉄であることを意識することはあまりありません。今回乗った列車も国鉄の特 急にあたるIC(インターシティ) です。
 普通Lotschberg(レッチベルク、レッチュベルク)鉄道と呼びますが、略称の由来はBern- Lotschberg-Simplon(ベルン・ レッチベルク・シンプロン)です。ただし、正確にはBernではなく、その南のThun(トゥーン)からBrigまで と、途中のSpiez(シュピーツ) からInterlaken Ost(インターラーケン・オスト)まで(ここも幹線)です。その他、ホームページを見ると、Thun湖や Brienz(ブリエンツ)湖の汽船も経営して いるようです。
 上の地図はLotschbergトンネルの両側の拡大図。右がBrig付近。右端の線路が集まっているところが Brig。左へまっすぐに伸びるのが国鉄 で、Vispまで寄り添っているのがBVZ。北側を少し離れてくねくねと標高を上げてトンネルに向かうのがBLSです。
 左側はトンネルの北側のダブルΩカーブの部分です。

★トンネルとカートレイン

 さて、7月26日(金)の09:59、IC801列車は定時に出発。すぐに山肌に張り付くように なり、左手には先 ほど乗ってきたBVZの線路がよく見えます。
 左の写真はVisp(フィスプ)の手前にあるBVZの車両基地。広々としています。右は車両基地の横を通り過ぎる氷河 急行のパノラマカー。これは Zermattを08:50に発車した2本目の氷河急行で、この時点ではパノラマカーだけ5両?という編成。現在では夏 場は4往復の氷河急行が走っていま すが、この時刻の列車が開業以来の伝統ある列車のようです。

 Brig駅に止まっていたパノラマカーと2等車は、この列車に増結されるのかもしれません。
 左はVispの町並み。人口は約6400人ですが、もともとはBrigより歴史のある、この地方 最大の集落でした。写真の奥がZermattに向かう マッター谷の入り口です。

 Vispからは短いトンネルを経て、Gopenstein(ゴッペンシュタイン)に停車すると 14,612mの Lotschbergトンネルに突入。トンネルを出るとKandersteg(カンデルシュテー ク)駅。左の写真のように、車を積んでトンネルをくぐる カートレインの乗り場があります。旗下に車が並んでいるのがわかるでしょうか。

 BLSにとってこのカートレインは重要な収入源のようで、ホームページでも詳しく説明しています。FOのページでも書 いたように、フルカ・ベーストンネ ルなどにもカートレインがありますが、あっちは道路もあり、冬場が中心のようです。それに対して、こちらは道路がありま せん。このため利用する車ははるか に多いようです。いろんな個人のホームページを見ていても、ドライブや団体旅行で、レッチベルクのカートレインを利用し たという記述がいっぱい出てきま す。観光バスもサイドミラーを取り外して貨車に乗せるようです。

 Kanderstegを過ぎると、次のKandergrund(カンデルグルント)との間で、上に掲げた地図のよう に、2つのΩカーブでどんどん標高を 下げていきます。ちなみにLotschbergトンネル入り口のGopensteinが標高1217m、トンネル内の最 高点が1240m、 Kanderstegが1176mですが、Kandergrundでは859mにまで下がります。
 なお、Ωカーブのことをターミナル・ループと呼ぶこともあります。これは「閉じていないループ」のことです。これに対 して、トンネルを利用して完全に一 周するループを「スパイラル」と呼びます。またスパイラルは普通はトンネルを使うのですが、たまに高架橋を使ったスパイ ラルがあり、これを特に「オープ ン・スパイラル」と呼んだりします。RhBのベルニナ線にあるのが有名です。

 さてIC801列車は定時の11:03にSpiezに到着。予定ではInterlaken Ostまで11:07発の普通列車に乗り継ぐ計画でしたが、ホームに出てみると様子が違います。どうやら10:59発の IC969列車が10分ほど遅れて いて、まだ到着していないようです。ということで、まもなくホームに入ってきたこの列車に乗り込みました。   

 左はInterlaken West駅のホームの案内表示。こういうタイプは他ではあまり見かけませんでした。一番下に出てい るのが「10分遅れています」という表示のようです。

 結局、Interlaken Ostには当初の予定に近い11:30頃に到着。ホームの反対側に停まっていたBOBの列車に乗り換えることができまし た。


Lotchbergbahn

最初の開業年月日

1872年
(?)

全長

102km

軌間

1435mm

最急勾配

27パーミル

ラック型式

なし

ホームページ

www.bls.ch/


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