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再訪を期すローヌ谷
Montreux > Visp > Spiez > Interlaken Ost
   
CFF、 BLS
(2011/08/06)



(Aigle駅前には、色とりどりのTPC3線の列車が並ぶ)

★伝統と謎を秘めたモントルー駅

  8月6日 (土)、旅の4日目。この日はモントルーを8:05に出発し、インターラーケンへ向かいます。
 左はモントルー駅の出発時刻表。チューリッヒと比べると、本数は少ないです。
 余裕を持って駅に着きました。最初にやってきたのは7:54発のジュネーブ空港行きIR列車。昔ながらの国鉄客車で す。車体には独語、仏語、伊語の順 に、SBB、CFF、FFSと書かれています。このページでは大半がフランス語圏なので、タイトル部分はCFFとしてい ます。
 列車の後ろに見えているのはモントルーの駅舎。格調高い大きな建築です。モントルーで泊まったホテルには、昔の駅舎の 絵が掛かっていました。
  南側(レマン湖 側)から描いた絵ですね。モントルー駅を含む、ローザンヌ−Villeneuve (ヴィルヌーヴ)間が開通したのは、1860年4月2日。これはそのこ ろの様子でしょうか。
 モントルー駅は湖に面した傾斜地に位置しているので、駅前道路とホームの高さがずいぶん違います。駅 舎左手の階段(絵では手前のガラス張り?の部分)を 登ると、地下通路。ホームはさらに階段を上ります。
 左の写真は2005年の旅で 撮影。駅前通りは あまり広くないので、全景が撮れません。それでも中央の時計付近の屋根の造形が、上の絵と同じなので、 この駅舎は開業当時のものなのでしょうか。
 ホーム側から見ると、屋根裏を含めて3階建てですが、駅前から見ると堂々とした5階建てです。
  続いてやってきたのは7:58発、近郊線S3ラインのAllaman(アラマン)行き(左の写真)。アラ マンとは、ローザンヌの少し西側に ある駅です。列車は4両1編成のRABe523型。写真は021号機で、2007年の製造。近年、国鉄に限らず、こうい う先頭が丸っこいタイプが増えてい ます。
 右の写真は、その次にやってきた8:00発、同じS3ラインの反対方向、ヴィルヌーヴ行きです。やはりRABe523 型。ドアの上の黄色いラインでわか るように、近郊線ですが1両の前よりは1等席になっています。

 日本ならラッシュ時ですが、土曜日のせいか、それとも平日でもそうなのか、人は少ないです。スイスの鉄道旅行が楽しい のは、日本のような混雑がないため かもしれません。

 さて、乗車する列車の発車時刻が近づいてきました。Brig(ブリーク)行きのIR1417列車です。RE460型機 関車が引っ張る客車列車です。1等 車は前寄り、3番ホームのCセクションに停車です。
 そう書いていて気がつきました。モントルー駅には2番ホームがありません。上の方に書いた、駅舎に面したローザンヌ方 面行きの国鉄本線ホームは1番線な のに、その向かい側のブリーク方面行き国鉄本線はなぜか3番線です。以下、MOBやMTRのホームが4〜8番線と続きま す。かつて、ある時期には2番線が 存在したのでしょうか。

 発車するとすぐに、シヨン城の横を通り抜けます。美しいですね。背後に見えるギザギザの山並みは、Dents du Midi(ダン・デュ・ミディ)、その名も「南の歯」です。
 この写真は城の手前、北側からの撮影ですが、城の横を通り過ぎ、南側を走り抜ける列車を、背後のシヨン城とともに写し た写真は、スイスの鉄道写真の定番 です。ちなみに、シヨン城は2005年の旅でしっかり見学しました。

★多様な私鉄、多様な電車

  モントルーを発 車して10分、8:15に最初の停車駅、Aigle(エーグル)に止まりました。
 ホームのガラスに、乗車しているIR1417列車が映っています。モントルー駅で最初に見たジュネー ブ空港行きIR列車と同様の、昔ながらの客車列車で す。
 エーグル駅から動き始める と、駅舎の南側に派 手なカラーリングの電車が見えました。AOMCとの文字が見えます。
 これはTransport Publics du Chablais (シャブレー公共交通、TPC)のエーグル・オロン・モンティ・シャンペリ線(AOMC)です。
 その次に見えたのが、このページのトップに掲げた風景。見えているのはいずれもTPCの電車です。AOMCの向こう 側、緑色の電車と、その陰にちょっと だけ見える青い電車は、エーグル・セペ・ディアブルレ線(ASD)、その向こうのクリーム色に茶色のラインの電車がエー グル・レザン線(AL)です。
 さらに次の写真(上)だと、緑の電車の隣の青い電車がよく見えます。いずれも軌間1000ミリのこの3線は、1999 年の元日に合併するまでは、それぞ れ別の鉄道会社でした。最も古いのはALで、1900年の設立。AOMCは、1907年設立のエーグル・オロン・モン ティ鉄道(AOM)と、1908年設 立のモンティ・シャンペリ・モルガン鉄道(MCM)が1946年に合併した会社。ASDは1913年の設立です。
 また、いつも参考にさせてもらっている長真弓さんの「スイスの鉄道」(JTBキャンブックス)には「つつましやかな国 鉄エーグル駅前広場には3本の私鉄 の線路が並んでいるが、それでもそれぞれの路線の始発電車である」と書かれています。他の本の写真を見ると、ホームらし いホームのない広場に、電車がたむ ろしているような独特の光景でした。
 しかし、現在ではこの3線は駅前広場ではなく、駅舎の南側、国鉄ホームに平行する場所にホームが造られています。かつ て見られたASDとAOMCの平面 交差もなくなったようです。ちょっと残念ですね。

 モントルーの南側には、この後も次々と私鉄の接続駅が続きます。その多くはラックレールを使っており、当然関心も高 かったのですが、今回の旅の優先順位 からは外れてしまいました。でも、次回は必ずこのあたりを集中的に訪れたいと考えています。

  次の停車駅、 Bex(ベー)でも、駅前広場の一角に、赤とオレンジ色の電車が止まっていました。これもTPCの一 員、ベー・ヴィラール・ブルタイユ線(BVB)です。
 BVBは、1898年にベーからBévieux(ベビュー)までの区間が開業している古い路線です。

 ベーを発車すると、今度は右手から国鉄線に合流してくる線路があります。ベーの次の駅、St.Maurice(サン・ モーリス)と、レマン湖南岸のフ ランス国境に接するSt.Gingolph (サン・ジンゴルフ)駅を結ぶ国鉄の支線です。サン・モーリスは側線の多い、大きな駅でした。
  サン・モーリス を出て、次の停車駅Martigny(マルティニ)が近づいてくると、右手の山肌を登っていく線路が見 えます。何か看板が掲げてあります。
 左の写真の線路沿いにある白い看板です。この写真からは読み取れませんが、Martigny- Chatelard-Chamonic(マルティニ・シャ トラール・シャモニー)と書いてあります。
 そう、国境を越えてフランス・シャモニーまで行くTransports de Martigny et Régions(マルティニ地方交通、TMR)のマルティニ・シャトラール線(MC)です。このあたり はシュトループ式のラックレールを使った200パー ミルの急傾斜です。
 この路線もぜひ乗りたい場所ですが、今回はすべて切り捨てました。
 マルティニ駅に着くと、紅白に塗り分けた真新しい電車が止まっていました。車体にはセントバーナード犬のイラスト入 り。これはTMRのもうひとつの路 線、マルティニ・オルシエール線(MO)です。Orsières(オルシエール)は、セントバーナード犬が活躍したサ ン・ベルナール (St.Bernard、英語読みでセントバーナード)峠へ向かう道筋にあり、この電車にも「Saint- Bernard Express」と書かれています。ただし行き先は、オルシエールではなく、途中のSembrancher(サンブラン シェ)で分かれるLe Chable(ル・シャブル)のようです。

 さて、マルティニで線路は90度方向を変え、今度は東に向かいます。ずっとローヌ川に沿った広い谷間が続きます。この あたりは、スイス一のブドウの産地 です。
  やがて左手の丘 の上に建つ大きな教会が見えてくると、ヴァレー州の主都、Sion(シオン)です。
 教会はヴァレール教会、後ろに見える城跡はトゥールビヨン城です。2つの丘が特徴的なシオンの街も、 ぜひ訪れてみたいところです。今回はすべてパス、パ スで素通りです。
 シオンの次の停車駅、Sierre/Siders(シエール/ジーデルス)は、その駅名表記でわかるように、フランス 語圏とドイツ語圏の境界にある街。 ジュネーブ到着以来、ずっとフランス語圏でしたが、ここからはドイツ語圏に入ります。

★新型特急で新トンネルへ

 今回の旅の目的地は、大きく3つに分かれています。
 1つ目はジュネーブとモントルー周辺、2つ目はインターラーケン周辺、そして3つ目がザンクト・ガレンやシャフハウゼ ンなど、スイスの北東部です。
 モントルーとインターラーケンを結ぶルートとしては、パノラマ列車が走るゴールデンパスラインが有名です。2005年 の旅では、そのルートを通りまし た。しかし、ゴールデンパスルートは、山間部を走る単線のため、距離は近いのに時間がかかります。これに対してローヌ谷 を通る国鉄路線は、平地を走る複線 の大幹線。そして、2007年6月に開通したレッチベルク・ベーストンネルの効果で、さらに時間が短縮されました。

 手元にあるトーマスクックのEuropean Rail Timetable、2005年春版によると、モントルーを朝7:40に出るIR1715列車に乗ると、ブリーク着が 9:01。9:13発の旧レッチベル ク・トンネル経由のIC821列車に乗り換え、シュピーツ着は10:17です。それが今回は25分遅い8:05に出発し ても、シュピーツ着は24分早い 9:53に到着します。ちなみにゴールデンパスルートだと、現在のダイヤで、モントルー7:45発、シュピーツ 10:21着となります。
 フィスプ駅到着の直前、左手からレッチベルク・ベーストンネルを抜けた線路が立体交差で合流してきました。開通からも う4年たっていますが、まだ真新し い感じです。
 そしてフィスプに9:22着。6分後、9:28発のバーゼル行きEC50列車に乗り換えです。5番ホームから発車の予 定で、地下通路を急ぎました。

 ところがEC50列車はイタリア・ミラノが始発。そのためか数分遅れるとのアナウンス。上の写真のようにすでに予定の 発車時刻は過ぎています。
 駅舎側のホームには、ツェルマットに向かうマッターホルン・ゴッタルド鉄道(MGB)の新しい電車が止まっています。
 やがてまたアナウンスがありました。すると、ホームにいた大勢の乗客が、ぞろぞろと移動を始めました。ホームの出発案 内機を見ると、さっき出ていた EC50列車の表示がありません。どうやら発車番線が変更になったようです。
 線路を挟んだ 7番ホームを見ると、そちらに表示が出ていました。慌ただしくまた地下通路を移動し、7番ホームに到 着。案内表示を見ると、黄色の文字で「6分遅れ」と出 ています。
 ようやくやってきたEC50列車は、2日ぶりの新型特急列車、ETR610型でした。
 モントルー方向へ戻る形で出発し、9:36発のジュネーブ空港行きIR1414列車としばし併走した後、 St.German信号場からレッチベルク・ ベーストンネルへの路線に入りました。ここでは右側通行です。ベーストンネルはフィスプ側は複線ですが、途中から北側 は、まだ単線しか完成していません。 また、国策として完成したベーストンネルですが、路線は旧トンネルと同じベルン・レッチベルク・シンプロン鉄道(BLS AG)が運営しているのでしょうか。「スイス鉄道地図帳」や「Bahnprofil Schweiz CH+」を見ると、鉄道会社名は単にBLSとなっています。

 さて、通ってみたかったトンネルですが、入ってしまうと、景色が見えないので、することがありません。それで、2日目 のジュネーブ、モントルー間では じっくりと観察できなかったETR610型のディテールを写してみました。
 窓ガラスの上部に紅白の丸印が付いている窓があります。上の表示を読んでみると、「緊急用ハンマーを使って、印の部分 を何度もたたいてガラスを割れ」と 書いてあります。どうやら、ここが非常口の役割を果たしているようです。それで「緊急用ハンマー」はどこにあるのかと、 あたりを見回してみると、通路の 端、出入りドアの横にありました。
  窓の上には指定 席の表示もあります。これまでは紙を差していましたが、LED表示です。4か国語で「自由」と出ていま す。
 指定席になると、指定区間が 表示されるので しょう。

 また通路の天井部分には大型のモニターが何台かついており、様々な案内表示がでていました。
 左の写真はETR610型が走っている路線の案内図ですね。
 モニターには、列車の編成案内も映っていました。動いている時に写したので、ピンぼけですがご容赦を。列車は7両編成 で、前3両が1等車で、3両目には 食堂車も。後ろより4両が2等車になっています。国際特急だけあって、1等の比率が高いです。

  トンネルを抜け ると、右手にアルプスの雪山が見えました。
 空は今にも泣き出しそうな黒雲に覆われていたが、雲の下はそこそこ見通すことができそうです。
 これから向かうユングフラウ3山が、無事見えるかどうか。不安を抱きながら、シュピーツに到着しまし た。
 シュピーツでも遅れを取り戻せませんでしたが、乗り換え時間は12分あったので、問題なく10:05発のR6116列 車に乗り継ぎ。トゥーン湖を左に見 ながら20分余り、10:28にインターラーケン・オスト駅に到着しました。
 


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