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チーズとワインとチャップリン
Montreux > Gruyères > Chexbres > Vevey
 
TPF、 CFF、VCh
(2011/08/05)



(ブドウ畑の中、Chexbres-Villageに到着した「ワイン列車」)

★古典客車に「落とし穴」

  旅の3日目、8 月5日(金)のスタートは、モントルー駅8:47発のR2216列車。2005年の旅で、「ゴールデン パス・パノラミック」のVIP席で楽しんだルート を、途中の Montbovon(モンボヴォン)までたどります。
 列車には、ク ラシックタイプの客車が連結されていました。
 1930年代に走っていたワゴン・リ社の豪華客車を復活させ、2005年5月から運行を始めた 客車で、2005 年の旅の時、すれ違ってうらやましく思ったものでした。
 計画を立てたときには、気にしておらず、うれしいサプライズでした。
 実は、モントルーから、チーズの町Gruyères(グリュイエール)とチーズ工場、そして、Bloc(ブロ)にある チョコレート工場を訪問する 「Train du Chocolat(トラン・デュ・ショコラ=チョコレート・トレイン)」というツアー列車が運行されており、やはりクラ シック客車を使っています。これに も 乗りたかったのですが、同じ路線を往復するだけなのと、この日に訪ねたい他の場所が行けなくなるので、断念していまし た。それだけに、クラシック客車 に乗ることができたのは本当にうれしかったのです。

 機関車はMOBのGDe4/4型6005号機。かっこいいですね。スイスに数ある電気機関車のうち、もっとも好きなタ イプのひとつです。シンプルで角 張ったスタイルに、前面のクラシックなデッキがアクセントになっています。
 2005 年の旅ですれ違ったGDe4/4は、紺色とクリーム色のツートンカラーでしたが、この機関車は「ゴールデン パス色」です。6005号機は1983 年の製造。出力は1,053kWで、最高速度は90km/hです。

 客車内はこん な感じ。木製の内装と、ソファーのような座席が特徴で、照明も白熱灯が使われています。網棚は座席の頭 の部分にあります。
 また、この写真ではわかりにくいですが、向かい合わせの座席の間にあるテーブルは大きくて分厚く、地 図を広げたり、日記を書いたり、注文した飲物を置い たりするのに便利です。
 大きなカーブを繰り返し、森の中を抜けていきます。機関車の次につないでいるのは2等車でしょうか。グリュイエールへ の乗換駅、モンボヴォンの到着予定 は9:31。スイスの鉄道としては珍しく、列車は少し遅れていました。乗り換え時間は9分。それには間に合うでしょう が、ちょっと気になりました。
 早めにデッキ に出て、停車を待ちました。モンボヴォンに着くと、左側に次に乗る列車が見えたため、左側のドアを開け ようとしました。ドアも古典的。ノブを回して、押し たり引いたりしましたが、ドアは開きません。
 反対側だったのかと思い、右側のドアも試しましたが、やっぱり開きません。ほかに降りる人はおらず、 乗る人もいません。
 あせっているうちに、列車は動き出してしまいました。ダメ元で車両を移動し、女性車掌に事情を話しましたが、「もう止 められない」とのこと。車掌さんは 時刻表を開き、「9:47着のChateau-d'Oex(シャトー・デー)で降り、10:06発の列車で戻れば、1時 間遅れでグリュイエールに着ける」 と説明してくれました。
 仕方ありません。もとの車両に戻るのは恥ずかしいので、近くの席に座りました。車掌さんが、改めて時刻表の冊子を持っ てきてくれました。

 遅れを取り戻せないまま、9:54にシャトー・デーに到着。今度はちゃんと降りました。出発する列車を見送っている と、何か様子が変です。我々が降りら れなかったドアのところで、やっぱり困っている乗客がいました。今度は係員(上の写真の柱の影にいるオレンジ色の作業服 の人)が気がつき、無線で連絡。車 掌さんが中から駆けつけ、開けようとしましたが、開きません。どうやら、何らかのロックがかかったままだったらしく、車 掌さんは天井近くのスイッチか何か を操作して開けていました。
 それなら我々も助けてほしかったと、ちょっと思いましたが、まあ、自分のミスでは無かったことがわかったので、少し気 分が楽になりました。何せ、今回の 旅は、初日から失敗の連続だったので・・・。

  気を取り直し て、次の列車を待つことにしました。
 シャトー・デーは、1月に開かれる熱気球の世界大会で有名なところ。ホームの屋根の軒にも花が吊さ れ、スイスらしい雰囲気がでています。駅舎はこの沿線 に共通する木造の山小屋タイプです。
 やがて10:06発のモント ルー行き R2213列車が到 着しました。今度はGe4/4型の機関車が引っ張っています。普通の客車とパノラマタイプが混在してい ます。
 このルートは単線なので、この列車も12分遅れで到着。さっきのトラブルのため、遅れが拡大していま した。

★丘の上の中世の町へ

 モンボヴォン 駅には約10分遅れの10:30頃に到着(上の写真)。右手のパノラマ車両に乗ってきました
 ここから、Transports publics fribourgeois(フ リブールジョワ公共交通、TPF)に乗り換えです。
 R555列車はMOBの列車の後ろで待っています。2005年の旅でみたのとは違う、派手な色でし た。
 スイスの小さな駅の場合、乗 り換え列車があっ ても、到着した列車は駅舎側のドアが開くようです。乗降が終わり、駅舎側の列車が出発してから、駅舎と は遠いホームの列車に乗り込むわけです。
 モンボヴォンの駅舎も山小屋風です。
 モンボヴォン駅出発は、定刻 の10:40。
 小さな集落をいくつか過ぎ、約15分はしると、右手の丘の上にグリュイエールの町とお城が見えてきま した。

 町(村?)までは徒歩で約15分の距離。バスもあるようですが、これくらいの距離なら歩いて行く予定 です。

 グリュイエールの駅は近代的で、あまり風情はありません。右の写真のようにホームはそのまま道路に続いています。駅舎 に続く大きな建物は、 「Relais(ルレ)」とあるので、食事の出来るホテルのようです。
  早速、右手の踏 切を渡って、グリュイエールの町を目指します。
 左の地図はiPhoneアプリ「Swiss Map Mobile」で見たグリュイエールの町と駅。左側の駅から丘の上にバス道路が延びています。しかしバ ス道路は避けて歩きました。
 地図で踏切の横にある746の数字のところの点線の道を歩き出し、振り返ったのが上の写真。右にグリュイエール駅。広 場を挟んで駅の向かいにある大きな 建物はチーズ工場で、「チョコレート・トレイン」に乗ると、最初にこの工場を見学します。
 小さな丘を越え、バス通りを横切ってさらに坂道を登ると、グリュイエールの町に到着しました。
 町の入口から見たグリュイエールの 町。これがすべてです。11時を過ぎていますが、観光客はそれほど多くありません。でも次第に賑わってきました。
 とにかく正面に見えるグリュイエール城へ。入場料は9.5フランですが、スイスパスがあれば無料です。お城は好きなの で、日本語のパンフレットをもら い、じっくり見学しました。

 昼食は上の写真の噴水の左手にあるレストランで。もちろんチーズフォンデュに、ハムやソーセージ。食べていると、どこ かで見た人たちも入ってきました。 モンボヴォンに着いたときに一緒に降りた家族連れです。(写真にも写っています)。

★チーズの後はワイン

 グリュイエール駅の出発は13:58。到着が1時間遅れたため、滞在時間を切り詰めることも考え ましたが、思った 以上にお城が見応えがあったため、予定通り3時間の滞在となりました。後の予定はすべて1時間遅れに。このあたりは個人 旅行の気安さで、なんとでもなりま す。スイスの鉄道は、ローカル線でも1時間に1本は運転されていることが多いので、計画変更時も簡単です。さらに 「SBB Mobile」という強い味方もあります。
 グリュイエールからPalézieux(パレジュー)へ向かうR563列車も、来たときと同じ紅白の塗り分けです。
 出発するとすぐに、グリュイエールの町の全容が見えました。すぐ後ろに、ネコ耳型の山がそびえています。左のピーク が、Dent de Broc(ダン・ドゥ・ブロ)1,829m、右のピークがDent du Chamois(ダン・デュ・シャモワ)1,830mでしょうか。

 約10分で、 このあたりの中心都市Bulle(ビュール)に到着。ここからは、チョコレート工場があるBroc(ブ ロ)へ支線が延びています。
 また、ベルンとローザンヌを結ぶ国鉄幹線にあるRomont(ローモン)とを結ぶ標準軌間の路線もあ るはずだったのに、SBB Mobileの検索では出てきません。TPFのHPにもなく、廃線になったようです。
 上の写真で、右手から左前方 へ分かれていくの がその路線跡です。線路はそのままでした。

 ビュールをすぎると広々とした平野の中を走っていきます。農地なのか牧草地なのか、それとも単なる空 き地なのか、よくわかりません。
 14:39、Chatel-St-Denis(シャテル・サン・ドニ)に到着。ここでスイッチ・バック式に方向を変え ます。1969年までは、ここから 真っ直ぐに南下し、ヴヴェイに近い、St-Légier(サン・レジエ)へ至る路線もありました。今は西へ向かい、ベル ンからローザンヌへの幹線にある Palézieux(パレジュー)へ向かいます。
  パレジューには 14:55に到着。さすがに本線の駅で、駅舎もなかなか立派です。ここも窓辺のベゴニアの花がアクセン トになっています。
 乗り換え駅とはいえ、特急は通過するので、駅前もホームも閑散。駅のキオスクは棚卸し中(?)で、飲 物も買えませんでした。
 ここから国鉄の都市圏電車、 S21ラインで、 次の乗り換え駅、Puidoux-Chexbres(ピュイドー・シェーブル)へ。15:18に発車 し、到着は15:25と、ほんの2駅です。
 電車は1987年の登場以来、国鉄ローカル線の主力になっているRBDe560型でしょうか。
 ピュイドー・シェーブルでは 11分の乗り換 え。駅舎に面したホームではなく、線路に挟まれたホームに到着したため、駅前まで出ることはやめて、 ホームの側からの撮影ですませました。
 この駅も古いタイプの立派な駅舎です。
 お目当てのワイン列車「Le Train des Vignes(ル・トラン・デ・ヴィーニュ)」は、ホームの反対側にすでに止まっていました。さっき乗ったのと同じ RBDe560型のバリエーションで、 わずか2両の 編成。色は鮮やかな黄色で、車体に「ワイン列車」のロゴが入る派手な姿です。

 ピュイドー・シェーブルからヴヴェイに向かう路線は、1904年5月2日に開通。路線としては「ヴヴェイ・シェーブル 鉄道、VCh」ですが、運行は国鉄 (フランス語圏なのでCFF)が担当しているようで、「スイス鉄道地図」には、「国鉄にリースされている」となっていま す。詳しい資料はドイツ語やフラン ス語なので、よくわかりません。「Bahnfrofil Schweiz CH+」には、単にVChとCFFが併記されています。

  さて、ピュイ ドー・シェーブルを15:36に発車し、右に分かれる本線を見て、左へカーブしていくと、すぐに Chexbres-Village (シェーブル・ヴィラージュ) 駅に到着。本線の古い木造の駅とは違い、ピンク色の瀟洒な駅舎でした。
 このページのトップの写真は、この駅についたワイン列車です。ホームが低いので、ベビーカーで乗り込 むのは一苦労です。
 このあたり、つまりローザン ヌからモントルー にかけてのレマン湖北岸は、南向きの斜面全体にブドウ畑が広がっています。
 石垣で段々畑になっているところも多く、太陽とレマン湖の湖面での反射、そして石垣の照り返しがブド ウの生育に適しているそうです。愛媛のミカンとおな じですね。
 そしてこのあたりのブドウ畑は、2007年に「ラヴォーのブドウ段々畑」としてユネスコの世界遺産に登録されました。
 もともと旅の計画を作るときは、同じルートを往復するのではなく、回遊コースが基本なので、この路線を通ることは決め ていました。そんな時、たまたま見 たテレビ番組で、シェーブル・ヴィラージュ駅から徒歩5分というワイン製造所「Domaine Bovy」のこと をしりました。辻本も妻もワインが大 好き。駅から5分なら、行くしかないでしょう。
 訪ねてみる と、応答がありません。どうしたものかと思っていると、ご主人の友達だという男性が出てきて、妻に「今 留守だけど、電話したので、もうすぐ帰ってく る」と言ってくれ、待つことにしました。
 やがてご主人のボヴィーさんが戻ってきました。地下の大きな樽から熟成中の白ワインを試飲。さらに古 木の白ワイン、ロゼ、ピノノワールの赤と4種類をテ イス ティング。お代わりもいただきました。

 一番おいしかった最初の白ワインを買って帰ることにしました。ラベルにはジャン・コクトー風の線画が 描かれています。「コクトーみたいですね」と言う と、「オヤジが書いたんです」とのこと。
 世界遺産登録で日本人観光客も増えているらしく、ボヴィーさんは「日本語も習っている」と笑っていま した。

 いい気分になって、周辺のブドウ畑の中の道を少し散策し、シェーブル・ヴィラージュ駅に戻りました。今度は17:40 発の「ワイン列車」でヴヴェイに向 かいます。
  ヴヴェイには 17:49着。立派な駅ですが、駅前に樹木があって、駅舎が隠れてしまっています。

 ヴヴェイはチャップリンやオードリー・ヘプバーンが晩年を過ごした町。ネスレの本社もあります。
 湖畔にあるネスレの旧本社は食品博物館になっています。
 もう時刻が遅いので、植物博物館は閉まっていますが、その前にチャップリンの銅像が建っているので、そこまで散歩する ことにしました。小雨がふるなか、 商店街を通り抜けて湖畔を歩き、駅に戻ってきました。モントルーへは、19:36発の列車で帰りました。
 


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