★ Rollei35の変遷

【ドイツ製造とシンガポール製造】2004年7月1日・修正&追加
 さて、1966年(あるいは67年くらい)に誕生したRollei35は、細かな改良が続けられます。
 改良はまず、1967年に、巻き上げギアを改良し、巻き戻しクランクの基部が金属製から樹脂製に変わりました。また1968年には、裏ぶた開閉のロックレバーが、細長い俵型から三角形のおむすび型に変わっています。この違いについては、「Global Rollei Club」というサイトのこのページをみるとよくわかります。

 そして大きな動きがあったのが71年。それまで西独ブラウンシュヴァイクの本社工場で製造されていたRollei35は、この年からシンガポールの工場で生産されることになりました。日本製品の進出に対抗するためのコストダウンがその理由だったようです。
 同時にツアイスのレンズは自社でライセンス生産することになり、レンズの周囲に誇らしげに刻まれていた「CarlZeiss」の文字が消えました。また露出計とシャッターも自社製に変わりました。このため、裏ぶたに刻まれていた「MADE IN GERMANY BY Rollei」との文字も、「MADE BY Rollei SINGAPOLE」と変わりました。

 この時に、ファインダーの倍率が0.75倍から0.6倍になったりする改良(改悪?)もあるのですが、このあたり、ドイツ製造分とシンガポール製造分できっちりわかれているわけではなく、ネットに出ている製品を見ていると、シンガポール製造の刻印があっても、「CarlZeiss」の文字が入っている純正レンズが付いているのもあるようで、過渡期にありがちな入り乱れ状態になっているようです。

 ドイツ本国製を示す裏ぶたの表示。
 1971年までの限られた期間なので、中古品の相場では、古いドイツ製のほうが高値になっています。


 製造場所は違っても、ローライでは、いずれも品質は同じだとしており、いろんな本でも、そう述べられています。これは、現在、京セラが製造しているコンタックスシリーズについても同じことが言えます。さらに言えば、アップルも早くからシンガポールやマレーシア、アイルランドなどでMacを製造しており、最近のiMacやPowerBookはほとんど台湾製です。
 国際的な企業というのは、そういうもんでしょう。でもマニアが、「MADE IN GERMANY」にこだわりたい気持ちも理解できます。

 裏ぶたを外したところ。フィルムガイドレールはもちろん金属製。フィルムのパトローネは右側に納めます。
 パトローネ室に書いてある文字は、電池の種類。露出計用の電池はパトローネ室の上部に入れるので、撮影中は交換できません。
 なお電池は水銀電池のMR-9(H-D)型。最近は水銀電池が販売禁止になりました。このためLR44を使うためのアダプターが市販されていますが、高価ですね。

 フィルムの巻き取り軸は、内側へ巻き込んでいく、「逆巻き式」です。


【多くのファミリー】
 Rollei35のレンズは先に述べたように40ミリF3.5のテッサーでしたが、後に一回り明るいF2.8のゾナーを付けたモデルが作られ、Rollei35Sと名付けられました。同時にテッサー付きはRollei35Tと呼ばれることになりました。
 その他、多くの派生モデルが生み出されました。以下に簡単に説明しておきます。

・Rollei35   オリジナル(ドイツで製造)
・Rollei35   シンガポールで製造。
Rollei35S  F2.8ゾナー付き。
・Rollei35T  F3.5テッサー付き。(35Sが出てから区別するために表示を変更した)
・Rollei35SE  35Sの露出計をファインダー内の3点LED方式に変えたもの。
・Rollei35TE  35Tの露出計を同様にLED方式に変えたもの。

・RolleiB35  Rollei35の露出計を、電池のいらないセレン式に変え、
        レンズはトリプレットタイプの「トリオター」に変更、
        さらにシャッターの低速側を1/30秒までにした普及型。
        正面の2つのダイヤルはなくなり、シャッターと絞りは鏡胴部で操作。
・RolleiC35  RolleiB35の露出計を省略した、普及型の普及型。
・Rollei35LED RolleiB35の露出計をファインダー内の3点LED方式に変えたもの。
        受光素子はSEやTEのCdSとは違い、SPDを使っている。
・Rollei35Classic  最近になって作られたプレミアム的高級品。
           ホットシューはようやく上部に変更された。

 ストラップの取り付け部。国産品にはあまり見られない形をしています。取り付ける時はパチリとはめるだけ。それでも簡単には外れません。
 ストラップは純正でハンドストラップとネックストラップの2種類が用意されていました。辻本もディズニーランドで落としたのに懲りて、ネックストラップも買い足しました。


 以上で、ひとまず終わりです。
 まだまだ書き漏らしたことも多いと思うので、書き足すこともあるかもしれません。


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