★ Rollei35の外観(続き)

【ズシリとした存在感】
 さて、ここでRollei35の大きさについても述べておきましょう。
 寸法や重さについては、誕生の年代と同じく、本によって少し相違があります。現代カメラ新書の「ローライ物語」によると幅97ミリ、高さ60ミリ、奥行き32ミリ、重さ390グラム。先に紹介した「クラシックカメラ専科」では幅99ミリ、高さ68ミリ、奥行き32ミリ、重さは同じ390グラムです。このため、実際にノギスで測ってみることにしました。

 その結果、まず突起部を含まないボディ本体でみると、
幅96.5ミリ、高さ60.5ミリ、奥行き32.2ミリでした。
 次ぎに突起部も含めてみると、
幅がストラップ取り付け部を含んで98.7ミリ、高さが68.2ミリ、奥行きが沈胴状態でレンズキャップを外して39.9ミリでした。

 ファインダーは左の端っこにあります。
 その右の小さなレバーは、フィルムを巻き戻すときの切り替えレバーです。
 わかりづらいですが、巻き上げレバーの指がかかる部分の下に、シリアルナンバーが刻まれており、辻本のカメラは3211463です。


 さて、この大きさは、最近の肥大したコンパクトカメラと比べると、非常に小さく見えます。そして反対に390グラムという重さは、見た目の予想よりはるかに重く、手に取るとずっしりと感じます。これが、最初にも述べた、「中味の詰まった精密感」につながっているのです。
 そして、全金属製のこのカメラは、さすがドイツ製というべきか、精密機械でありながら、非常に頑丈に出来ています。辻本は東京ディズニーランドで地面に落としてしまい、向かって右下の隅が少し凹んでしまいました。それでも撮影には何ら差し支えはありませんでした。

【追加】 最近Yahooのオークションを見ていて、Rollei35の出品者が興味深いことを書いていました。それはローライ35シリーズは、最近の車と同様の「クラッシャブルボディ」であり、ぶつけたときは柔らかいボディが変形して衝撃を吸収することで、内部のメカニズムを守るということです。このため、「Rollei-Dent(凹み)」「Rollei-Ding(ゴン!ガン!)」「Rollei-Dimple(えくぼ)」と呼ばれる凹みや傷があるのは世界の常識だということです。
 辻本が落としたときの凹みも、そういうわけです。

★ Rollei35の性能

【ツアイスレンズの優秀さ】
 さて、今度は見た目ではなく、カメラとしての性能の話です。Rollei35は単に見た目がいいだけのカメラではなく、その性能も優れていたから、歴史に名を残す結果となりました。
 最初に書いたとおり、それはレンズ、シャッター、露出計のいずれも最高の部品を使っていることによるのですが、中でもツアイスレンズの優秀さが目立っています。

 ツアイスの「テッサー」は、1902年に誕生し、世界の写真界に一大センセーションを巻き起こしたという屈指の名レンズです。ツアイス社の特許が切れると各社がこの3群4枚のタイプを模倣することになり、「テッサー型」は今でも生き続けています。
 Rollei35のテッサーは40ミリF3.5です。当時の小型カメラではF3.5クラスには3群3枚の「トリプレット型」を使い、テッサー型は明るいF2.8クラスに使うのが普通だったそうで、Rollei35では、ひとクラス上を使っているわけです。

 辻本は写真機は好きですが、写真撮影はそれほど得意ではないので、レンズの味わいをうまく説明することは出来ませんが、カラーの色合いが非常に美しいことは確かです。特に黒がしっとりと写り、「カラスの濡れ羽色」とはこういう色をいうのかな、と思ったりしました。

【明るいファインダー】
 Rollei35のファインダーは倍率0.75倍と、明るく見やすいのが特徴です。0.4倍程度がほとんどの最近のコンパクトカメラしか知らない人が覗くと、きっと驚くことでしょう。
 ファインダーの中は大変シンプルで、撮影範囲を示す白いフレームがうっすらと見えるだけ。ほとんど素通しのようにも思えます。
 ただ、1971年以降に生産されたモデルでは、倍率が0.6倍に落とされています。どうしてなのかよく分かりませんが、この年から、Rollei35はドイツではなく、シンガポールの工場で作られており、(このことは後でもまた触れます)、それが関係しているのかもしれません。
 正面からよく見てみると、倍率の低いモデルでは、ファインダーが少し奥目のように見えて、違いが少し分かります。

 サンパックの一番小さいストロボ、「auto140」(ガイドナンバー14)を取り付けたところ。Rollei35の小ささがよく分かると思います。
 ちなみにこのauto140、ホットシュートでの接続のほかに、シンクロターミナル用の接続コードが本体にくっついています。辻本の持っている古いコンパクトカメラはホットシューのないものが多いので、このストロボは重宝しています。


【フルシンクロが可能】
 さらに、自動露出(AEまたはEEと呼んだりしました)のないマニュアルカメラで、しかもレンズシャッターカメラのいいところは、ストロボの同調範囲が広いことです。
 一眼レフの場合、高級機で1/250秒、普及機なら1/125か1/80秒がストロボ同調の最高速なのに対し、Rollei35は1/500秒まですべて同調します。詳しい説明は省略しますが、これは日中シンクロ撮影の場合に有利になってきます。
 自動露出が付いているコンパクトカメラの場合は、ストロボを装着した場合、自動的にシャッター速度が1/60秒や1/30秒に固定されてしまうことが多いのと比べると、撮影の自由度が増すわけです。

 ただし、残念なことに、辻本のRollei35は、現在シンクロが不調。ストロボ撮影すると、めちゃくちゃアンダーになってしまいます。やはり、電気系統は故障の可能性があるのでしょうか。修理すべきかどうか、迷っている状況です。

 【追加】その後、シンクロ不調は自然に直りました。ストロボの接触不良だったのでしょうか。シンプルで頑丈なカメラなので、旅行のサブカメラには最適。2002年7月のスイスの鉄道を巡る旅にもつき合ってくれました。

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