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★ 石鎚山登山記録(その2)

3)成就社から夜明峠まで

 登山口の楼門をくぐると、しばらくはだらだらとした下り坂が続きます。成就社の標高が1420m 前後です。ここか ら約900m、その名も「八丁坂」と呼ばれる坂道を下り、登山口から約15分で着く1300mの地点が「八丁」です。こ こから本格的な上り坂が始まりま す。

 坂道の急な場所には、このような木の階段が設けられています。
 横木の間隔が狭いので、大人の足にはぴったりときません。つま先だけ引っかけて登るような形にな りますが、疲れてくるとそうもいきません。横木を土踏ま ずに合わせるのがいいのだ、という説もあります。
 とにかく、このあたりはまだ元気なので、どんどん登っていきました。おかげであとで予想以上に疲 れてしまいました。やはりペース配分が難しいです。

 急な坂を約30分登ると、右に「試し鎖」への道が分かれる地点に来ました。その手前で我々を追い越していったベテラン 登山者らしいおじさんが分岐点で 待っていてくれ、「試し鎖を登るんなら、ここを行って、すぐに左の方へ行きなさい。右へ行くと登れないよ」と教えてくれ ました。
 それで、その通りに行ったのですが、道が判然とせず、岩場はあったのですが、鎖が見つからない。そのうちに、迂回路の ほうへ合流してしまった。よくわか りません。
 元の道に戻ってしばらく行くと、「前社が森」小屋に着きます。ここは売店があって、「力水」や一般的な飲み物を売って います。まだ持っていった水が十分 にあったので、ここは素通りする事にしました。
 もうしばらく登ると、道が平坦になり、夜明(よあかし)峠です。ここで眼前に北壁や鎖場の大パノラマが広がります。

 写真は夜明峠の少し手前です。
 真っ青な空に、岩山がそびえています。右側のこぶがいわゆる山頂の弥山(1974m)、左側のこ ぶの中央が最高峰の天狗岳(1982m)です。弥山の下 には見える青い建物が二の鎖小屋です。
 もう少し近づいて撮影したのが下の写真。手前、道の脇に解説板の立っているあたりが峠です。

4)鎖場に挑戦

 さて、夜明峠で一休みして9時56分に出発。さらに少し登ると「一の鎖」の下に着きます。鎖の長 さは諸説ありま す。参考にした山と渓谷社の「四国の山」には30mとあります。愛媛大学山岳会編の「愛媛の山と渓谷・中予編(改訂 版)」(愛媛文化双書)には27mと なっています。順路を少し先走りますが、「二の鎖」の下にあった看板では次のようになっています。

 ちなみに「四国の山」では、二の鎖65m、三の鎖68m。「愛媛の山と渓谷」では、49mと62mとなっていま す。
 今治藩の藩医で国学者でもあった半井悟庵が1869年(明治2年)に出版した「愛媛面影」には、1862年(文久 2年)に石鎚山に登ったことが記されて いますが、そこには「一の鎖」は17尋(ひろ)、二が33尋、三が75尋と書かれています。尋というのは、両手を広 げた長さなので、当時だと1.5mくら いでしょうか。そうすると、一が25m、二が49m、三が112mにもなります。

 いずれにせよ、鎖がいつからかけられているのかは記録がないそうです。1779年には、鎖 が切れたとの記録があるそ うですから、江戸時代中ごろにはすでにあったわけです。
 現実の一の鎖は左の通り。辻本はこの手のものは得意なので、言われているほどの難所とは思い ませんでした。二筋あるのは、左が登り、右が下り用です。

 しかし、実際には下りに使う人はほとんどいないようです。
 ではどうするのかというと、「迂回路」というのが設けられています。下りはほとんど全員がこの迂回路を選びます。 で、名前は迂回路ですが、現実には登り でもこちらがメーンルートのようで、鎖場にチャレンジするのは、辻本のような物好きだけなのでしょうか。
 ただ、鎖場の本来の目的を考えると、登山ルートというよりは、「行場」なのでしょう。信者さんたちにとっては、登 山は単なる山登りではなくて、修行の場 であるのです。

 さて10時23分に「二の鎖」下に到着。ここは残念ながら通行止めでした。このような通行 止めはしばしばあるようで す。それで右手の迂回路に進みました。
 鎖の下には、先ほど上に示した解説板と、「雨の日や雨上がりは滑って危険なので、自信のない 人は迂回路を選びましょう」という、警察の看板も立っていま す。その通り、雨の日の鎖は大変だと思います。
 で、その迂回路ですが、おもったより簡単に鎖場の上に到着しました。距離的にもそんなに迂回 しているわけではないようです。

 最後の三の鎖はこんな感じ。見た目にも一番長く思えました。
 登る前に息を整えるために下でしばらく休んでいましたが、ほかに鎖にチャレンジしたのは二人 だけでした。ほとんどの人は、迂回路を選ぶようです。
 鎖のつなぎ目の輪の部分はかなり大きいので、普通の靴ならつま先が入ります。鎖は2本あるの で、交互に足を入れていくと楽に登れました。ごつい登山靴で は無理でしょう。

 鎖を登り終えると、そこが山頂(弥山)です。

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