Zeiss Jena Notarem10x40B
旧東ドイツのツアイス、つまり「ツアイス・イエナ」ブランドの中型ダハです。
1960年代の後半から、ドイツが統一後の91年まで製造されました。
ラバー外装のモデルもありますが、これはクラシックな革張りタイプ。
頑丈な革製ハードケースも付いています。
10x40というサイズは、ニコンのエスパシオと同じですが、
サイズは少し小さめ。重さも 55g軽い620g。
これは中型機としては比較的軽量の部類です。
外観の特徴は、中央のピントリング。
二重になっており、手前が左側レンズ、奥が右側レンズのピントを合わせます。
固めにかみ合っているので、通常は一緒に回ります。
つまり最初に左右の目の視度に合わせて調節しておけば、
その後は普通に一緒に回せばいいわけです。
二つのリングの中央には、目安に▼▲印が付いていて、
左右の視度が同じ場合はこれをそろえればいいわけです。
手前のリングには矢印と無限大マークが刻まれており、
ピントを合わせる方向がわかります。
また右手前のボディーに赤い指標があり、
ここにピントリングの赤いマークを合わせると、
通常の風景を見る場合は、かなりの範囲にピントが合って、
とっさの場合に便利なように出来ています。
ただ少し残念なことに、視度の調節範囲は-3dpまでしかないようで、
近視の辻本は裸眼では、無限大でのピントが合いません。
それでもっぱら眼鏡を付けたまま覗くことになります。
見口はゴム製ですが、折り返しさえすれば、アイレリーフは長いので、
眼鏡もままでも支障はありません。
ピント合わせは接眼レンズに近いところにある内部のレンズが動きます。
対物レンズはツアイス独特の赤紫色のマルチコーティング。
深みのある色合いは何とも言えない味があります。
プリズムの位相差補正コートの有無は不明ですが、
夜に街灯の明かりを見ても、フレアは少ないので、コート付きかもしれません。
また東独や旧ソ連の双眼鏡は、軍事目的で敵を発見しやすくなるように、
コントラストを高めるため、視野に黄色の着色が付いていることが多いのですが、
これは着色はありません。
その代わり、対物レンズにはめる黄緑色のフィルターが付属しています。
装着はきつからず緩からずと、絶妙の精度です。
こんなところにドイツの工業製品の質感を感じてしまいます。
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