New Canonet QL17 

初代のCanonetはベストセラーになったカメラでした。
キヤノンのカメラはこういう例がよくあります。
一眼レフでは「連写一眼」をキャッチフレーズにしたAE-1もそうでした。

このカメラはNewが付いているとおり、二代目のCanonetで、
重さ620gと一回り小さくなり、デザインも洗練されました。
QLはクイックローディングの略で、フィルムを装填しやすくする機構付きです。
最近のカメラはほとんど、フィルムを少し引き出して装填し、ふたを閉めるだけですが、
かつては、巻き取り軸のスリットにフィルムの先を通し、少し巻いてから
外れないように注意して裏ぶたを閉め、カウンターがゼロになるまで空写しをしたものです。
このカメラのQL機構は、いま見ると大げさな装置のようですが、
利用者にとっては、大変ありがたい装置でした。
こういうところは、キヤノンという会社の上手なところです。

カメラそのものの性能の優れています。
機械式シャッター速度優先AEに加えてマニュアルも可能。
ファインダーには、近距離撮影での視野と撮影範囲のずれを防ぐための
パララックス補正機能もついていました。

特筆すべきはレンズで、40mmF1.7という大口径です。
当時はコンパクトカメラのレンズの大口径化競争があり、
ほぼ同時期に出たOlympus35SPも42mmF1.7のレンズを誇っていました。
最近のコンパクトカメラは、ズームレンズなら明るくてもF5.6程度、
望遠側ならF11なんていうのもあるくらいですから、
その明るさのすごさがわかると思います。

こんな優れたカメラなのに、94年7月に買ったときは
ケース付きでわずか6180円でした。
発売は69年7月。当時の定価は本体のみ2万6500円でした。
30年以上前のカメラなのに、今でも撮影可能です。
よく売れたカメラなので、中古市場では安いですが、
こんな値段で買えるのなら、中古カメラの入門機として最適ではないでしょうか。

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