Nikon カルナ8 8x20 DCF 

辻本が初めて自分で買った双眼鏡です。
当時、鳥取市に住んでいたので、「鳥取大丸」のアウトドア用品売り場で買いました。
百貨店なので、定価通りの2万3000円でした。
20年前なので、いま思うと高い買い物です。

辻本が本格的な双眼鏡を手にしたのは、高校生のころ。
父親がビクセンのポロ式双眼鏡を買ってきました。
倍率、口径とも覚えていませんが、
8x30くらいの、ごくごく普通の機種だったと思います。
(双眼鏡の表記の約束事で、最初の数字が倍率。後ろが対物レンズの口径)
でも、それがまともな双眼鏡だったため、いい印象を抱きました。
一人で行った北海道旅行にも持っていき、
函館の立待岬から双眼鏡で見た、津軽海峡の光景は忘れられません。

そんなわけで、ごく一般的なポロ型から入ったんですが、
これを買ったときは、仕事で使う都合で、コンパクトなもの、というのが前提でした。
デパートなんかで買ってるのが、鳥取らしいです。
鳥取大丸は、ホントに小さデパートなので、そこでも売っていたと言うことは
この機種が当時の一般的な機種だったのでしょうか。

カルナ8との名の通り、倍率8倍なのですが、
姉妹機として10倍のカルナ10があったような気がします。
10倍を選ばずに8倍を選んでいるのは、なかなか賢明なのですが、
当時、深く考えて買ったかどうかは不明です。
単に安かった方を買ったのかもしれません。
それでも、最初にトップブランドの双眼鏡を買ったことが、
その後、双眼鏡ファンになった原因の一つであることは間違いありません。
というのも、双眼鏡にはほんとにひどいものも多いからです。

新聞の通販の広告に出ている双眼鏡には、
「100倍」「25-150倍ズーム」なんていう文字が氾濫しています。
なかには視野の写真が載っている場合もあります。
知らない人は、ホントにそう見えるのかと思ってしまいますが、
実際にのぞくと、絶対にあんな風には見えません。

双眼鏡の性能を表す数字は、倍率のほかに、対物レンズの口径や、
明るさ、視野角、最短合焦距離、重さ、アイレリーフの長さなどがあります。
またスペックとして数値では表せない部分ですが、
ピントの具合やコントラストなどは、スペック以上に重要と言えます。
これらは実際にのぞいてみないと判断できないのですが、
スペックだけで判断できるのは明るさです。

双眼鏡の明るさは、
「対物レンズの口径(mm)を倍率で割った数値の二乗」で表します。
つまり、20倍の双眼鏡は10倍の双眼鏡の4分の1の明るさだし、
100倍だと10倍の100分の1の明るさしかありません。
こんなのが使い物になるわけはないでしょう。
写真撮影の場合は、長時間露出すれば、暗いレンズでも撮影できます。
でも、人間の目は、長時間見たからと言って、暗いものが明るくはなりません。

上の式から、明るくするためには、倍率を下げるか、口径を大きくすればいいわけです。
口径を大きくすると、必然的に重く、大きくなります。
また上の式のうち、二乗する前の
口径を倍率で割った数値を「ひとみ径」といいます。
人間の瞳(瞳孔)は、昼間だと直径3mmくらい、夜間だと7mmくらいだそうです。
このため、人間の瞳と同じくらいの「ひとみ径」があると、
「十分明るい」と思えるわけです。
8x20だと2.5mmなので、ちょっと少ないけど、なんとか許容範囲。
それでコンパクトタイプは8x20や10x25あたりが多いわけです。

話がカルナ8からそれてしまいました。
この機種は今見てもなかなかスタイリッシュです。
ニコンのカタログによると、NewYorkの近代美術館(MOMA)の展示品になったといいます。
最近の機種で、このカルナに近い雰囲気を持っているのはチタン製のこの機種でしょうか。
最近のニコンは、スタイリッシュな双眼鏡が出てないので、頑張ってほしいものです。

2004年6月14日】また別の資料によると、発売開始は1978年のようです。
上の方には、「姉妹機としてカルナ10があったようだ」と書きましたが、
10倍ではなくて、6倍があったみたいです。


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